- 『おかあさんとすずのおと』作者:アッド / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
- 全角1006文字火照った顔が、河原から来る涼しい風で少し冷えた。
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原稿用紙約2.52枚
いつからここにいるんだっけ。
少なくとも、一時間はいるはずだけど……って、まだほんの十分しか経ってないじゃない。
あー暇だと、ほんっとに時間経つの遅い。
心の中で誰が悪いわけではない悪態をつくと、火照っていた体が十分冷えてしまった――もちろん、これだけで寒くなるわけなんてないのだけども。
……お父さんには悪いことしちゃったや。怒鳴っちゃったのは、私の責任だ。
……横には誰もいないし、それどころか、周りには誰もいない。
きゅっと、自分自身を抱きしめるようにして、急ごしらえで仕立て上げた喪服を見ないようにした。
だって。
悲しくなるから。
ある朝、私のお母さんは布団の中で冷たくなっていた。
昨日までは元気だったのに、そんなありがちな言葉が頭をよぎり、すぐに消えた。
鼻元に手を当てても、生温かい息はかかってこない。
胸に手を当てても、鼓動が無い。
ああ、死んでるや。お母さん。
頭の中が冷静すぎて、悲しみなんて湧いてこなかった。
ただ、お母さんは死んでいた。
私は、お母さんが大嫌いだ。
だって理由もないのによくぶつし、こき使うし、用事を押し付けておいてまた新たな用事を押し付けて、できないというと、ご飯はなくなった。
でも、そんなんでも私のお母さんはお母さんしかいなかったわけで。
悲しみは無いけど、ポッカリと穴が開いたみたいだ。
こういうのを『悲しい』というのかは、私には分からない。
お母さん。
いつか、大人になったら“ふくしゅう”してやろうとしていたのに、何で死んじゃったのさ。
私、自堕落すぎる生活するよ、あなたが命令した分を返すように。
お母さん、じゃあね、悔やんだりしないから。
だから、忘れないであげる。
立ち上がって、お父さんのとこに行こうとした時、お母さんが小さい頃に私にくれた、ポーチにつけた鈴が、ちりん、となった気がした。
悲しい、という気持ちは、どうしても湧いてこない。
けど、ポッカリとした穴が、心に開いた気がした。
これは、かなしいのかな。
すずのおとは、こんなにきれいなのに、すんでいるのに
どうしてわたしたちのこころは、こんなにも、きたないんだろう、よごれているんだろう - 2004-09-14 21:25:33公開 / 作者:アッド
■この作品の著作権はアッドさんにあります。無断転載は禁止です。 - ■作者からのメッセージ
パッと思いついた言葉を並べたようなものです。
そのため文法が変なところがありますが、ご容赦ください。
ストーリーについてはあえて突っ込まない方向で。
- この作品に対する感想 - 昇順
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読ませていただきました。卍丸と申します。まさかこのようなブラックなオチになるとは予想外でした。全体的に短過ぎる感も否めませんが、逆にこの短さの中でコンパクトに上手くまとめている辺りはすごいですね。主人公の心情描写で押し進められていくストーリーですが、もう少し情景描写を交えていたら、更に読み応えのあるショート作品に仕上がっていた事と思われます。しかし、個人的には好きな作風でした。この読後感がなんとも苦い辺りが、独特の余韻を残しますね。次回作にも期待しております。
2004-09-15 10:42:11【☆☆☆☆☆】卍丸計:0点
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