『都会のオオカミ〜オオカミとハブ〜』作者:manami.S / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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 二学期が始まって、一週間が経った。
そろそろみんなも夏休みボケが直り、通常の学校モードに戻っていた。
そんなある日、美枝のクラスに転入生がやってきた。
月曜日、朝会が終わり教室に戻ると、担任の大谷は、やけにうきうきしていた。
「みんなに嬉しい知らせがあるぞ〜!なんと、転入生がやってきたんだ!」
大谷が大きな声でクラス中に伝えると、みんなはワッ、と騒ぎ出した。
美枝にはどうでも良い事だった。
どうせ、その転入生とやらもすぐにどこかのグループへとけ込み、普通に暮らしてゆく。私のオオカミは何もかわらないまま。ま、私は全然悲しくもなんともないけどね。
クラス中がざわついているのをさえぎるように、教室の前のドアがガラッと開いた。
肩につくかつかないくらいのウェーブがかかった髪の毛の、かわいい女の子が入ってきた。
男子達は口笛を吹いたりして、はやしたてた。というか、ただ単に盛り上がった。
女子達も、「かわいい子だねー」などと言い、転入生が自己紹介をするのを、心待ちにしているようだった。
転入生の口が開きかけた。ざわつきは、一気におさまった。
「父の転勤で、大分県から転校してきました。藤井由依です。よろしくおねがいします」
ちょっと気の弱そうな、かわいい声だった。
パチパチと、拍手の音があがった。
「普通なら転入生は後ろの席だが、早くなじめるよう、藤井の席は真ん中にしておいた。ホラ、高橋から後ろ、一個づつ下がれ!」
大谷が机とイスを廊下からガタガタと運んできながら言った。
大谷は、変わっている。
ちょうど真ん中の席の、高橋から後ろは、言われるがままに後ろへ一個づつ下がった。そこへ、大谷が机を運んだ。
大谷が運んできた机に鞄をかけ、由依は席にすわった。
すると、たちまち回りの生徒が由依に話しかけはじめた。
美枝の席からは、由依が右ナナメ前のほうに見える。美枝の席は、一番窓側の席だ。
「静かに!おしゃべりをするのは休み時間になってからにしなさい!えぇと、それで、今日の予定は放課後に委員会があり・・」
大谷がいつもの通り、一日の予定を話し始めた。
私が由依の横顔に目を向けると、由依はとてもワクワクしている表情で、大谷の話を聞いていた。
2004-09-12 12:52:39公開 / 作者:manami.S
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■作者からのメッセージ
しばらく間を空けてしまい、申し訳ありませんでした。
今回も短いかもしれませんが、楽しんでいただければ、光栄です。
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2004-09-13 17:34:18【☆☆☆☆☆】メイルマン
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