『のほほん日記』作者:イソップ物語 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約3枚
母 睦月まみ子。
同   桃子。
朝から母は騒がしく音を立てる。
騒がしいよと怒る娘。
「お母さん。煩いよ。少しは静かに出来ないの?」
ガチャガチャ ドンドン パッパッ
洗濯物のハンガーが壁にぶつかる音。
「できないわよ。出来るわけないでしょ、忙しいんだから。」
娘は宿題をしている。
宿題のノートを目の前にイラ付いている。
「あら、出来ないの?ぅんじゃあ、母さんに貸してみなさい。どれどれ?」
「んなっ!?いいよ、お母さんは自分のことだけやってればっ。てか、返して!」
ギャーギャー ワーワー
口喧嘩が始まった。
あわてて物も見せようとしない娘。
無理矢理取ろうとする母。
「なによ。母さんだってねぇ、これくらい出来るんだよ。えっとぉ-…」
そして、母はついに娘から取ったノートを見る。
娘は母がノートを見ている姿を見ているだけ。
「・・・・」
母の言葉がない。
「…ね、言ったでしょ?私がやったほうが早いから。私に貸してよ、それ。」
「…ちょ、ちょっと待って。これがこうで、あれがあーで…あらら?」
計算の出来ない母。
娘のノートにあるのは「二次方程式」。母、それを前にして固まる。
「だから、言ってるのに。」
「あーーっ、だーっ!あぁ、たんま!たんま!…ぁー・・」
無理に式の答えを解こうとする母。
「あ、たんまって。お母さん…」
こうして、午前中に仕上げるはずの宿題は午後になっても続いたのでした。
「…ぅ〜ん…」
「お母さん?」
カラスが凄くいっぱい飛んでる。もう、夕方か。
「・・・・・・」
娘の話など、耳に届いていない母。
「お母さぁ〜〜んっ!!!! ちょっと、聞いてるっ!?」
「ぅ〜…」
「・・・・。(駄目だこりゃ。聞いてない。)」
母は数学のノートとにらめっこ。
娘は数学の教科書と一応、にらめっこ。
「あのね、お母さん。これはね、こうするの。いい?」
「え?・・・・・。あら、これをこう、あれをああ移項すればいいのねっ。」
「それでね、(あれ?なんか、変。多分、一番最初お母さんが私に数学を教えよう
としてノートとにらめっこしつつあったのになぜか、私がお母さんに…あれ?)」
カチ カチ カチ  ペラ パラッ パ
教科書をあちこちを開いては閉じ、開いては閉じと繰り返しの作業と
シャープペンシルで書いているため途中途中にシャー心が折れる。
だから、それの入れ替えを途切れ途切れ繰り返しながら数学の宿題部分をノートに少しずつ書き入れていく。
「あ〜、やっと終わったぁーっ!」
「・・ふぅ。母さんも少しは出来るでしょ?桃ちゃん。」
「あ、そうだね。お母さんご苦労様。」
「桃ちゃんもね。」
こうして、睦月親子の一日は数学のノートを閉じると同時に終わったのでした。

   END.
2004-06-20 10:42:25公開 / 作者:イソップ物語
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■作者からのメッセージ
初めまして。少ないでしょうか?
この作品に対する感想 - 昇順
題名の通り“のほほん”としていて可愛いお話でした♪わたしはこのくらいの長さだと気軽に読めて好きです♪でも他の方の作品と比べると短い(少ない)かもしれませんね。あとは「…」は「……」と使うのが好ましいようです☆次回投稿する際に気をつけてみてください。作品のほうは教える立場が主人公に代わっていく、その過程が自然だったように思いました♪次回作もがんばってください!
2004-06-22 16:25:23【☆☆☆☆☆】律
計:0点
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