『学校とは僕らの聖域 1』作者:ken / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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1 始まりが終わりであるように


1986年
別にこれと言って珍しくもない年に僕は生まれた
僕は生まれつき心臓病を患っていたが
致命的な病気ではないので助かって、今の僕がいる

2004年
僕は学生生活最後の年を過ごしている
高校3年生
毎日が楽しいと言えば、楽しいが
辛いと言えば辛い
なんでこんなに辛いのだろう?
考える度に辛くなるので今はそんなことを考えてもいない
しかし、彼女がいないのがナンセンスである
別に顔はカッコよくないけど・・・・・面白い
そんな自分を美化しているからモテないのだとマツダはいつも言う
マツダは僕と一緒にいる友達だ
マツダは劣等生で本当に救いようのないほど馬鹿である
しかし、女に関してはこの学校ナンバー1は間違いない
それは顔である
マツダの顔は僕が認めるほどカッコいいのだ
マツダは別に不良とかではない
ごく普通の馬鹿だ
つまり顔という「蜜」で女が蟻のように群がってくるのだ
僕にも面白さという「蜜」があるにも関わらず
影でこんなことを言われているらしいのだ

「あの子って本当にキモいよね。面白いけどさ・・・下ネタがリアルでキモいよね」

下ネタ
僕の最大の笑いの武器を否定する汝たちよ
いつか天罰が下るぞ
そんな独自の思想を描きながら最終的にはこんなことを考えるのだ

この学校の女はみんなクソじゃ!他の学校で彼女作るわい!

自分がミジメに思えるのはこんなことを考えているからだと最近気付いた

常に地球は回り続けている
それを軸に僕らもまた回転している
それに逆らおうものなら自然の制裁が下るだろう
愚か者には血を、聖者には肉を与え、
天地創造の神に全身全霊尽くすのだ
それが人間のあるべき姿なのだ!
そんな思っていないことを僕はマツダに言った
マツダはポカーンと口を開けて聞いていた
そして、マツダは必ず決まってこう言う

「フミ。やっぱお前は天才やで!そないな言葉全然思いつかんへんわ!」

僕も自分で何を言っているかなんて分かっていない
ただ、自分自身が知っている範囲の難しい単語を並べて喋っているだけだ
その理由は「天才」という言葉を引き出す為だ
僕は天才とか面白いとか最高とか・・・そんな誉め言葉を聞くと気分が高揚する
それは誰でも言えることだが、僕は多少異常だろう
その言葉が出るまで、延々と話続けるのだ
もちろん、相手がマツダだったらすぐに聞ける言葉だ
だから、いつも誉められたい時は決まってマツダに喋る
しかし、そんな下らないことばかり続かないのが人生
時に最悪なこともある
それは教師や親に叱られることだ
教師にはクズ扱い、親には進路のことでグチグチ言われる
それが人生の中で最も退屈で最も苦痛で最も価値のない時間なのだ
そんな時間があるなら僕は自分の部屋でCDを聞きたいのだ
僕がこよなく愛する「パンク」を体に供給したいのだ

「PUNK ROCK」
これこそ最高の音楽だろう
そこら辺のJ−POPとかロックとかはただのカスだ
パンクは僕に勇気や狂気や熱気を与えてくれる唯一の音楽なのだ
パンクと一口に言っても色々ジャンル別けされている
パンクよりも暴力的な「ハードコア」
そのハードコアの暴力的な部分を残しつつメロディを足した「メロコア」
力強いボイスと大合唱が特徴の「Oiパンク」
ウッドベースを用いた「ロカビリー/パンカビリー/サイコビリー」などなど
ジャンルを挙げればきりがないが、ジャンルよりパンクに込められたエネルギーが好きなのだ
しかし、最近はHIPHOPという音楽が流行をさらっている
ブラックミュージックなどもう終わりだ
今はパンクの時代だ!
そうマツダに話したところ、マツダからこうのような回答があった

「俺もパンクよりラップやな。まぁーパンクもええねんけど
 それより、ラップはメッセージが心をグッ!掴むねん」

マツダはどうしてここまで馬鹿なのだろうか
理由を聞きたくなるほど馬鹿だ
パンクだってメッセージが心をグッ!と掴む
しかし、人それぞれなので、僕はその場を妥協した

ある時、僕が音楽を聴いていると(もちろんパンク)
サワダという精神的に受付けない奴が僕に声をかけた

「サトウ。お前何聴いての?」

まず、一回目は聞こえないフリをいて無視した
僕は心の中で、早くどっかに消えてくれと3回願った
しかし、今度は僕の肩を少し強めで叩いてきた
これはもう無視できる状況ではないと僕は悟り
イヤホンを外して、言った

「どないしてん?」

「何聴いてんの?」

「多分、お前にゆうても分かれへんよ」

「ええからゆうてみ」

「GAUZE」

「がーぜ?」

「うん。ほら。分からんやろ?」

「全然分からんわ。誰やねんそれ?」

GAUZEを聴く気もないのに質問するな!と僕は心の中で怒っていた
それでもサワダはしつこく聞いてくる
早いところコイツと同じ空間を味わいたくないので僕は手短に話した

「パンクバンドやわ」

「パンクかぁ〜。パンクよりラップ聴けや
 絶対ええで!」

「僕はラップより、パンクのほうが好きやから遠慮しとくわ」

「ってかパンクってもう古いやろ?今はラップでっせ?」

「まぁー気が変わったら聴くわ」

それからサワダは消えていった
もし、僕の右手にピストルがあったら間違いなく奴の喉を撃っていた
神に誓ってもいい
確実に殺していただろう
パンクは古い・・・・その言葉が僕の頭から離れない
しかし、音楽とはいつか終わりはくるものだ
始まりは終わり、終わりは始まり
その繰り返しで歴史は回転している
しかし、パンクが終わってしまうなら僕はラップも道連れに終わりしてやると心の中で思っていた
そして、僕はパンクを全ての若者に広めるべく
行動に移そうと決意した
その頃は丁度、中間テストで気分が沈んでいた4月29日のことである


2004-06-13 17:47:47公開 / 作者:ken
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■作者からのメッセージ
読んでくれた人、アリガトウ
まず、この小説は皆さんが楽しんで読めるように書きました
気分がブルーの時、親に叱られた時、恋人と別れてしまった時、便秘で悩んでいる時に読んでみてください。
でわ、次回も読んでくださいね
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