『for the next』作者:きか / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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「次は皆で笑おうよ」



その一言を

言いたい
























小さいころ

病気で死ぬはずだったあたしを

拓哉は助けてくれた

あたしは

小さいながらに

拓哉に全てを捧げよう

その為だけに生きよう

そう

思ったんだ













君に遭うまでは

君はあたしの色んな物を変えてった

君のせいであたしは昔のあたしじゃなくなった

世界がこんなに楽しいんだって思えた

君がいたからあたしは笑えた

君がいたからあたしは楽しめた

君がいたからあたしは夜更しもした

君がいたからあたしは泣いたりもした

君と一緒に遊園地に行って

笑って泣いて殴って転んで喧嘩して泳いで抱き合って微笑んで














拓哉は許さなかった

あたしが拓哉の言うことを聞かなくなるのを

あたしが拓哉から離れていくのを

拓哉はあたしに屋敷から出るなって言った

あたしは屋敷から出なくなった

あたしが拓哉を傷付けてるって分かったから

あたしがいるのは拓哉の御陰だから

あたしが拓哉がいたから生きられたのと同じように

拓哉はあたしがいるから生きられてんだって分かったから

昔の誓いを破るのはいやだから

あたしは拓哉と一緒にいた

拓哉が悲しむのは見たくないから













君は悲しんだ

屋敷に来て泣いたね

 お前はもっと広いとこの方が似合ってんだよって

泣いたね

あたし 

よく分かんなかった

 屋敷は広いじゃない

って言ったね

そしたら君はあたしの手を引っ張って

屋敷を抜け出した

あたしは拓哉が可哀想だからって戻ろうとした

君は許さなかった

あたしを丘の上に連れてって

地面にブッ倒した


















あたしの目に飛び込んできたのは青い青い広い広い大きい空
















それを見て泣いたあたしをそっと抱きしめてくれた

あたしはまた泣いた

何でかなんて分かんない

泣いた

泣きまくった

息が切れるまで泣いた

とことん泣いた

あたしも空のように自由になりたいと思った

あたしは何にこんなに縛られてんの

君が教えてくれたんだ

それからずっと君といたいと願った

君も願った

拓哉と話そうって言った

君も言った

拓哉に話した

あたしはここから出て行くって

あたしは拓哉が大好きだよって

あたしは今でも感謝してるよって

拓哉にも幸せになって欲しいって

拓哉もあたしたちと一緒に出て行こうって

拓哉は悲しんだ

ダメって言った

君は怒った

行くって言った

あたしはどっちが正しいのか分かんなかった

ふたりがおこってる

ふたりがかなしんでる

ふたりがしあわせじゃない

あたしのせいで












あたしは辛かった

あたしは喋れなくなった

毎日毎日喋りたいって泣いた

声は出なかった

辛かった

君も一緒に泣いた

君の声は出てた

でもあたしは悲しかった

拓哉が君に言った

 お前が死ねば遥の声は治るんだって

君は死んだ

あたしの声なんか治る筈もない

あたしは毎日毎日泣いた

声は出る筈もなかった

拓哉はあたしに言った

 これで良かったんだよって


なに言ってんの





















良い訳ねぇだろ




















あたしは拓哉を憎んだ



義理

そんなの知らない

あたしは拓哉を憎んだ

だから殺した

でも君は帰ってくるはずもなく

あたしは辛いまま













だからあたしも死のう

今度は三人で笑いたい

今回出来なかった事だから

拓哉と君とあたしで笑いあえたら


















それはとてもとてもしあわせなことだろうっておもんんだ















2004-05-29 16:04:26公開 / 作者:きか
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