- 『R・P・G 序章〜第1章1』作者:道化師 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
- 全角1277文字序章
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友人が遠い街で死んだ。
届いたのは一通の手紙だけ。
骨も無い、何も無い。
葬式に来た人は皆口々に言うのだった。
「だから、いかなければよかったのに」
俺はただ一人重いリュックを背負い、この村を出る決心をした。
誰にも告げていないはずだった。
「煉夜(レンヤ)!!」
列車に乗り込もうとする俺の背に聞こえたのは、恋人の声だった。
「行かないで! このまま此処にいてよ」
涙を浮かべたその瞳はキラキラと輝く。周りに咲く赤い花々が、彼女をより一層際立てる。美しかった。
「――じゃあな、莉真(リマ)」
俺はそれ以上言わなかった。いや、言えなかった。
「馬鹿……もう知らないわよ!!」
莉真は手に持っていた鞄を投げつけた。それは俺の背中に当たり、空しく落ちた。
列車の戸が閉まった。
アイツは死んだんじゃない、殺されたんだ。
そんな思いを強く握り締めた。
「……死なないで」
莉真が囁く声は赤い花びらと共に風に吹かれた。
第1章 蝶と仮面
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「はい、お茶です。どうぞ」
小さな家だった。そこに住んでいたのは、沙茄(サナ)という女だった。女は茶色く輝かせた髪を揺らせ、俺の元に茶を持ってきた。
「――ありがとう」
俺はそっとカップに口をつけた。温かい湯気が俺の頬を撫でた。
「それにしても、此処を訪れる人なんて珍しい」
沙茄は俺の前の席に腰掛けて言った。
俺は今、アイツが死んだ街にいる。行くあてをなくした俺は沙茄に救われ、ここに泊まることになった。
「誰もいないんだな」
俺は思わずそう呟いた。他のところは寂れてしまっていた。それどころか人すら見当たらなかった。
「当たり前です。あんな事があった場所ですよ?」
沙茄はそれが普通なのだと言っているようだ。
「だが、あれは10年以上も前の話だろ? 最近は人も増えてきたと聞いたが……」
少し視線を落とす。沙茄はゆっくりと口を開く。
「……出るんですよ、ココ」
「はぁ?」
俺は呆気に採られた。まさか幽霊が出るとかで、ここまでひどいというのか?
「違いますよ。人喰い……他人の美しさを恨むあの女」
沙茄の声が低く、重く感じられた。
「――どんな奴なんだ、そいつは」
しばらくの沈黙。風の音だけが響く。
沙茄は静かに手を顔の前に持ってくる。
「――己の醜さを、仮面で隠すの」
カタカタと窓の音がした。
俺は一人、ベッドの上で考えた。もしかすると、その人喰いがアイツを殺したのかもしれない。そんなことばかり思っていた。そしてもう一つ、気になる事があった。それは――
「あ?」
窓がガタンという音を立てた。どうやら風が強くて木の枝が飛んできたようだ。
「そういえばカーテン開けっ放しだ」
カーテンを閉めに、俺はベッドからおりた。
俺は何も言う事が出来なかった。
雨に黒髪を濡らした女。白い仮面が俺を見ていた。 - 2004-04-10 16:44:11公開 / 作者:道化師
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感想・御指摘等お待ちしております。
自分の好きな作家さんの作品に同じタイトルのものがあります。
そのタイトルをみて話を思いついたのですが(汗
作家さんの影響ってすごいなぁ……
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気になります、続きが! この町で昔何があったのか・・・ー?友人の死になにか関係あるんでしょうか?更新、楽しみにしてます。まだ内容がつかめないので、点数は低めに。
2004-04-10 16:56:46【★★★★☆】白雪苺初めまして。読ませて頂きました。茶色く輝かせた髪という表現はちょっと変かな? そこ以外は中々描写が巧く、名前にはひらがながふってあり、読者のこともちゃんと考えていてくれている事が見受けられ好印象でした。物語の内容については、まだ序盤なので言うことはないです。次回も頑張って下さい。2004-04-10 17:32:02【★★★★☆】楽人読ませていただきました。時代背景等が掴めなかったので、もう少し街や家や人の描写に凝ってみたほうが読みやすいかと思いました。次回更新も頑張ってください。2004-04-11 09:35:44【★★★★☆】メイルマン計:12点
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