『平和大地 番外編 1〜5』作者:怪盗ジョーカー / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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〜都来の頭脳〜

俺の名前は都来。
平和大地と呼ばれる村に住んでいる。
俺はつい3年前まで、ネルメスの子どもと呼ばれていた、大地という、目つきがとても悪い女と住んでいた。
しかし、その大地は、儀式の次の日に、あの世行きとなってしまっている。
俺は、大地がバカとしか思えなかった。
矢の腕が村で1番なクセに、親王というヤツに、首を切られて殺されるなんて。
あの時のことは、3年経った今でも、鮮明に覚えている。俺にとって、一生忘れられない出来事となったのだ。
俺は大地とは、2度と会えることは無いと思っていた。
普通は、誰もがそう思うだろう。
しかし、大地と会えたのだ。
あれは、大地が殺されてから、3年と2日経った時だ。

〜1〜

この日都来は、いつものように朝の5時に目覚め、仲間達と狩りをしてから、朝ごはんを食べた。
そして朝ごはんを食べた後、気分的に神の木に行きたくなった。
都来は何故か急に、神の木が見たくなったのだ。
都来は何かを感じていた。
「ちょっと、神の木まで行ってくる。」
都来は長老にそう告げると、神の木までゆっくりと歩いていった。
神の木についた。
木はいつもと変わらない表情をしていた。
ふと、神の木のしげみを見た。
すると、都来の方をじっと見ている女がいた。
都来はその人と目が合った。
都来は、その女を見た瞬間、急に気分が悪くなった。
・・・頭が痛い。めまいがする・・・
都来は、あまりにも頭が痛くなって、立っていられなくなった。
そして、そのまま、神の木の横に倒れた。
・・・ドダン・・・
都来は気を失った。

〜2〜

5時間くらい経っただろうか。
都来は目を覚ました。
都来が周りを見渡すと、そこは見たこともない、家の中だった。
都来はその家のベットの上だった。
「・・・・・。」
都来は、頭の中で、なぜココにいるのか思い出そうと考えた。
しかし、どう考えても、思い出せなかった。
「なぜ、ココの部屋にいるのか分からない。・・・ヤバイ。」
都来は急いで、ベットから下りて、家のドアを開けて、飛び出そうとした。
・・・しかし・・・
「うわっ。」
都来は大声で叫んだ。
そこには、見たことも無い風景が広がっていた。
周りはすべて、灰色だった。
あちこちに白いきりがある。
そして、地面が無かった。
「・・・・・?!」
都来は声が出なかった。
しばらく都来は、その場に立ちすくんでいた。
都来は、何も考えることが出来なかった。
と、いきなり、都来の聞いた事のある声が横から聞こえた。
「よぅ。都来。」
「大地!?」
それは、大地の声だった。
都来は横を見た。
しかし、そこには、誰もいなかった。
都来は、自分の顔が青ざめていくのが良く分かった。
「あっ、ごめん。これじゃぁ、私の姿見えないよね。」
また、大地の声がする。
「・・・・・。」
都来は、体に鳥肌がたった。
「そんなに、恐れるなよ。」
「だっ・・・だっ、大地!?」
都来は声が震えた。
また、都来の横から、声がした。
「うん。そうだよ。」

〜3〜

都来の顔は青い。
「ごめん。都来。生きている者には、私の姿は見えない。」
「お・・・おい、大地。ココはドコなんだよ!?」
「ココは、神の木の中だよ。」
大地の声が、横から聞こえた。
「ほ・・本当に、大地なのか・・・?」
都来は、誰もいない横を見ながら言った。
「そうだよ。」
都来は、独り言を言ってるみたいな感じがして、少し嫌だった。
「しんじられない・・・。」
「信じろよ!!」
大地の声は、笑っていた。
「で、なんで俺は、神の木の中にいるんだよ!?」
都来は、ベットの上に座りながら言った。
「ん?私が、都来に会いたかったから、ココに連れてきた。」
今度は、大地の声が、都来の後ろから聞こえた。
「でもよぉ・・・。大地は俺の姿が見えるのだろうけど、俺は、大地の姿が見えないんだぜ!?」
「良いんだよ。」
「良くない。」
都来は、少しキツイ目をして言った。
都来は、さっきより、落ち着いて言った。
「俺だって、大地に会いたいんだよ。」
「おい、都来。本当に私の姿が見たいのか?」
「あぁ。」
「私は、首が無いぞ。」
「!?」
都来は、鳥肌がたった。
「なぜ・・・?」
震えながら都来は言った。
「死ぬ直前に、親王に剣で刺されたから。」
たんたんとした大地の声が、都来の耳の中に入っていく。
「じゃぁ大地は、口が無いのに、どうやって話をしているんだ?」
都来は、冷静になって聞いた。
「う〜ん。そういば、どうやって話をしているんだろうね?」
「はぁ?大地・・・、お前、自分でも分からないのか?」
「う・・・ん・・・。でも、心で話をしているんじゃないのかな?」
「心かぁ〜。何か変な感じ。」
 2人は、少し黙っていた。
都来はドコを見て、大地と話していいのかが、分からなかった。」
「ねぇ、都来・・・。」
急に大地の声が左からした。
おもわず都来は、「ビクッ」っとなった。
「何だ?」
「あのさぁ・・・、あの・・・3年と2日前はゴメンネ。」
「何が?」
「ほら、都来が「死ぬな。」って言ってくれたのに、死んじゃってゴメン。」
「あぁ・・・。もう。終わった事だから、仕方が無いさ。」
都来は、軽々と言った。
「大地とは、色々なコトをしたよなぁ。生まれた時から知っていたし。小さい頃、良く遊んだの、覚えてるか?」
しみじみと、都来が言った。
「うん。」
大地は照れくさそうに言った。
「あの時の事は・・・死んだ今でも、覚えてるよ。これからも、ずっと忘れないでいる。」
大地は泣いていた。空中から涙のしずくが、床に落ちたのを都来は見た。
「おい、大地泣くなよ。」
そう言ってから、ちょっと都来はためらった。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「俺さぁ。」「私さぁ。」
2人は同時に声を出して、話し出そうとした。
「ごめん、大地・・・。」
「ゴメンネ。」
「で、何?」
都来が言った。
「いや、都来から、どうぞ。」
大地は、都来にそう言った。
「じゃぁ、俺から・・・話すよ。」
「うん。」
「俺・・・、言うの照れくさいけど・・・。大地のこと、好きだから。死んでも、忘れないから!」
「あ!」
「何?」
「私も、そういうふうに、言おうとしてたの・・・。」
「え!?」
都来は、思わず笑った。
「やだなぁ、照れちゃうじゃんかよ!」
大地はそう言って、都来の肩を軽く押した。
都来しかいないはずなのに、左から右へと、都来は揺れた。
「あぁぁぁぁぁぁ!!!」
いきなり、大地が叫んだ。
「どうした?」
「ごめん!都来!魔法が切れた!」
「魔法?」
そう言って都来は、大地の声がする、左を見た。
都来は、左を見た瞬間、顔が青ざめた。

〜4〜

そこにあったのは、血だらけの、首が無い大地だった。
「わぁぁぁあぁ!」
都来は叫び、ベットから転げ落ちた。
大地が都来の肩を押した所には、大地の血が、ベッドリと付いている。
「ごめん、都来。魔法が切れた。」
「まっま・・・魔法ってなんだよ!?」
都来の体は麻痺してしまった。
「都来が、私の姿を見ないように、私の体に魔法をかけて、透明にしたの。」
「えっ・・・えぇ!?」
「でも、魔法が切れちゃった。もう、お別れだ。」
「えぇっっ!?あぁ!?何!?」
「じゃぁな。都来。」
そういう大地の声が聞こえると、都来はめまいがして、激しい頭痛がした。
そして、気を失った。

〜5〜

気がつくと都来は、平和大地の神の木の横で、倒れていた。
「大地!?」
思わず都来は、声をあげた。
しかし、そこには、大地の姿は無い。
「夢・・・夢だよな。」
そう言って、都来は起き上がった。
その時、都来は思い出した。
「神の木のしげみに隠れていた、あの女の顔は、誰だったのか。」と。
「あれは・・・、大地の顔・・・。」
都来は思わず、声に出してしまった。
「だから、夢で出会った大地は、首が無かったのか。」
そう言うと都来は、走って村に帰った。
都来は自分の肩に、大地の血がベッドリと付いていることを、村に帰って、長老に言われるまで、気がつかなかった。
「おい。都来。その肩に付いている血は何だ?」
「え・・・!?」
都来は、自分の肩を見る。
「わぁぁあぁぁぁあ!」
思わず都来は叫んだ。
「夢じゃなかったのかよ!?」
2004-03-30 19:18:45公開 / 作者:怪盗ジョーカー
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■作者からのメッセージ
平和大地の番外編を載せてみました。
ご感想やアドバイスなどを下さると嬉しいです。
この作品に対する感想 - 昇順
平和大地の番外編、いっきに全部載せてみました。
2004-03-30 19:19:59【☆☆☆☆☆】怪盗ジョーカー
前回の作品が戦いや友情を描いているとしたら、こちらの作品は「恋」ですね♪大地の魔法がきれ、殺されたときのままの姿で現れたシーンは少し胸が痛くなりました。都来は辛かっただろうなぁ。でも最後に想いを告げられて良かったと思います^^次回もがんばってくださいね☆
2004-03-30 20:54:38【★★★★☆】律
律さん、どうもありがとうございます!!
2004-03-31 08:52:08【☆☆☆☆☆】怪盗ジョーカー
計:4点
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