『Sky』作者:セナ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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 今日も美しい青空が広がっている。

 秋が近いせいか、空はとても澄んでいた。


 

 『わたし、死んだら空になりたいな・・』

 『なんでそんなこと言うの・・・・?』

 『んー。なんとなく』

 葵は、病気だった。

 医師が言うには、もう治らない・・と。

 僕は、葵を守ってあげたかった。

 けれど、できなかったんだ。

 葵はこの世からいなくなってしまった。

 「なんで・・。なんで僕をおいて行っちゃったんだよ!葵!!」

 幼馴染で、お互いに惹かれ合っていた。

 この前、告白をしたばかりだった。

 そして同時に約束もしたんだ。

 『いつかきっと、結婚しようね』

 ・・・・・・と。

 その約束は、果たされないまま終わってしまった。

 冷たくなった彼女の唇に、僕は口付けた。

 本当に冷たかった。

 ごめんね・・・・・・・。

 守ることができなくて・・ごめんね・・・。

 


 それから、何年もの歳月が流れた。

 僕ももう、十五歳だ。

 五年前のことは、今だって忘れていない。

 そういえば葵は、自分が死んだら空になりたいと言っていた。

 僕は綺麗な青空を見上げた。

 「葵・・・。空に・・、なれた?」

 問いかけてみる。

 当然、返事があるわけがなかった。

 しかし・・・・。

 『なれたよ・・・・。純。わたし、空になれた』

 声が聞こえた。

 「誰・・・?」

 『ありがとう、純。ごめんね、先に死んじゃって・・・』

 僕の目に、その姿が現れた。

 「・・・・あ・・おい・・?」

 『ごめんね・・・』

 それは、葵であった。

 僕は、葵を抱きしめたかった。

 だがそれは無理だ。

 「葵・・・・・・」

 不思議なことに、僕は葵に触れることができた。

 そして、おもいっきり抱きしめた。

 「葵!!」

 『純・・・』

 姿形のかわっていない葵はとても小さかった。

 『純、ごめんなさい。わたし、もう行かなきゃ』

 僕をはなそうとする葵の腕を僕は思いっきり引っ張り、二度目の口付けを交わした。

 葵はもちろんおどろいていた。

 「約束。忘れてないだろ?」

 『・・・うん・・』

 「じゃあな。葵」

 『最高の思い出を、ありがとう・・・・・・・』

 



 そうして彼女はゆっくりと消えていった。

 僕はもう悲しくなんかない。

 あの約束を胸に、生きていこう。

 空のように、広い心を持って。

 何にも負けずに進んでいこう・・・。





      〔完〕

 

 
2003-09-21 15:40:14公開 / 作者:セナ
■この作品の著作権はセナさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
暗いですね。
こんなの誰も読まないと思いますけど・・・。
まあ、死んでしまった女の子と、恋人の切ない恋のお話。・・・みたいなもんですかね・・・。でっでは!お目汚しすみませんでした!!
この作品に対する感想 - 昇順
いいんじゃないですか
2004-01-06 18:37:01【★★★★☆】はるか
計:4点
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