『生徒会長の普通の生活』 ... ジャンル:リアル・現代 お笑い
作者:江保場狂壱                

     あらすじ・作品紹介
 シークレット・ノーマッドに登場する雷丸学園生徒会会長満月陽氷の日常が明かされる。生徒会役員とのほのぼのとした何気ない日々を過ごす。生徒会の知られざる一面が明かされる。

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 そこは冷たいコンクリートの部屋だった。光は一切差さず、肌を突き刺す冷たい風が吹いている。天井にぶら下がりふらふら揺れる裸電球だけが唯一の明かりだ。部屋の隅には冷え切った布団に洋式のトイレがあるだけである。牢獄だ、それが僕の世界なのだ。
 毎日決められた時間に牢獄から出されるが、その時間帯ほど恐ろしいものはなかった。注射を打たれ、電気を与えられ、ひたすら実験動物のような扱いを受ける。法律などなく、道徳などない。狂気に彩られた世界なのだ。
 その世界の主は宇野博士(うの・ひろし)といい、他の人間にはドクター宇野と呼ばれている。容姿は六〇代くらいの男で、身長は百五十くらいの小男で白衣を着ている。背が低いので白衣は地面すれすれになっていた。肌は浅黒く焼けており、頭は禿げ上がって、もみあげ部分は真っ白でちぢれている。ビン底メガネをかけており、ちょび髭をはやし、出っ歯であった。まるで童話に出てくる醜悪な小鬼と思ってくれればいい。
 この男は僕を嫌っていた。実験と称して僕をいじめて楽しんでいるのだ。この男の脂ぎった顔、甲高い声、吐く息の臭いなど、僕が好きになる要素はどこにもない。
「お前はなぁ、作られた存在なんだよ。遺伝子操作をされて成長が通常の四倍速いのさ。お前は十二歳に見えるが、まだ三歳なのだ。まったく科学の進歩はすごいね。こんな化け物が簡単に作れるのだからな」
 そういって宇野は厭らしい笑みを浮かべた。
 僕は化け物なんだ。化け物は太陽の下で緑の上を歩き、新鮮な空気を吸う行為は許されない。僕は悪魔に魅入られた存在なのだ。
 どうして僕は生まれてきたのだろう。どうして僕はここにいるのだろうか。いったい僕は何をするために……。なぜ……。
 そこで目が覚める。身体は汗でびっしょりと濡れていた。僕の目を覚ましたのは目覚まし時計のベルの音だ。僕は自分が敷布団の上で寝ていることを実感した。
 悪夢を見ていたのか。
 ここしばらく見ていなかったのに、いやな気分だ。
 でも僕は首を横に振った。僕の右側には僕の大切な人が眠っていたからだ。
 人形のように整った顔立ちに、銀髪をまとめ上げ、ピンクと白の縞々のパジャマを着て、ネコのように丸くなっている。
 名前は円谷皐月(つぶらや・さつき)。僕を護ってくれる人だ。天使のような愛らしい人なのだが、性別は男。男の娘と呼ばれているらしい。僕には何の事だかわからない。だけど皐月は僕にとってはお母さんだ。優しく抱き寄せ、時には叱ってくれる。暖かくて、安心できる人なのだ。股間に僕と同じものがあるけど気にしていない。
「あ、おはよう」
 皐月が目を覚ました。僕も挨拶する。
「うん、おはよう。今日もいい天気だね」
 僕の名前は満月陽氷(みつき・ようひょう)。新宿区雷丸学園高等学校の三年生で生徒会長を務めている。

 *

 僕は生徒会の寮に住んでいる。戸籍では新宿区内に僕の両親はいるけど、そちらには顔を出していない。僕の親代わりの人で、赤の他人だけど、とても優しい人たちだ。日曜日に一度は帰宅している。そこで掃除や洗濯などをして過ごしているのだ。
 ここの寮では生徒会の構成員が住んでいた。生徒会役員はもちろんのこと、生徒会執行委員、そして影の生徒会、ザラーム・ジャイシュが住んでいる。
 生徒会役員は生徒会長の僕。
 副会長の三年生、乙戸帝治(おっど・ていち)
 書記は二年生の皐月。
 会計は一年生の鮫泥可南華(さめどろ・かなか)と美土里(みどり)の双子だ。
 執行委員は乙戸の部下で、元不良で構成されている。不良と言ってもそこらへんにいる一山いくらではない。全員がグアムで特殊部隊の訓練を受けた猛者たちだ。拳銃やナイフは達人級だし、人によっては爆発物処理や、遠距離の狙撃、医者や弁護士もいるのである。もっともこれには裏技があるのだが。
 ザラーム・ジャイシュはセッル共和国から来た留学生たちだ。セッル共和国は僕と皐月が介入して革命を起こさせた国である。僕と皐月はお尋ね者だ。逃亡する際に脅迫データを持ち出し、それをネタに相手をゆすって金を引き出す。それを元手に小国ひとつを買ったのだ。日本のマネーの力は、力のない小国ひとつを買い取るなど容易いこと。そして新しい商売の場所を作り出すことも可能なのだ。
 留学生たちは将来セッル共和国を担う若者たちである。医学や農業、セッル共和国にはない、大学を作るための人材を育て上げるのだ。セッル共和国を自立させる力をつけさせる。それを恩に売り、僕らを守ってくれるようにするのだと皐月は言っていた。
 僕は台所に向かった。そこでは他のみんなが朝食をとったり、準備で忙しく動いている。
「よう、陽氷。お目覚めかね」
 声をかけてきたのは帝治だ。彼は小岩のようにごろんとした体型で、実際とても強い。他の生徒は野獣のように恐れているが、僕にとって帝治は可愛い人間だ。なぜ彼を怖がるのかわからない。
 帝治はテーブルに付いており、どんぶり飯を平らげている。彼の豪快な食べっぷりは見ていて惚れ惚れするんだ。僕もテーブルに付き、朝食を待つ。
「会長、朝食です」
 横から声をかけたのは小学生ほどの体型で赤毛の三つ編み、眼鏡にそばかすの少女だ。彼女は可南華。鮫泥姉妹の姉である。
 彼女はテーブルに皿を置いた。そこにはホカホカのホットケーキが三枚重ねで乗っていたのだ。これは僕の大好物である。毎朝ホットケーキを食べることが僕の一日の始まりなのだ。アツアツのホットケーキにバターがとろりと溶けている。それに甘いはちみつがたっぷりかけられているのだ。朝から食欲がそそるものである。
 さて妹の美土里はどこにいるだろうか。 彼女は台所でみんなの朝食を作っていた。
 ガスレンジは二つあり、彼女はフライパンで僕のホットケーキを焼く一方、もう一つのフライパンで目玉焼きを三つほど焼いていた。そしてもう一つのガスレンジでは味噌汁の鍋があり、卵焼きを焼く鉄板が置かれているのだ。彼女は千手観音の如く手を動かし、それらの作業をこなしている。
 美土里は姉と違い無口だが、料理の腕は天下一だ。それも同時に別の仕事をしながら並行でこなすのだからすごい。よく生徒たちが美土里は姉と違って無能というらしいが、美土里は料理の天才で無能なんかじゃない。
 彼女の焼くホットケーキは焼き加減が最高なのだ。前は皐月が焼いてくれたけど、美土里のほうが気に入ったので、彼女に作ってもらっている。皐月は残念そうだったけどね。
「毎朝ホットケーキか。飽きないな」
 帝治の言葉に僕は胸が痛んだ。まるで特別にホットケーキを食べる僕がわがままのように聞こえたからだ。僕は少し腹が立った。
「僕にとってホットケーキは皐月との深いつながりがあるんだ。僕は今まで冷たいご飯と栄養剤しか食べたことがなかった。皐月が初めて作ってくれた料理がホットケーキなんだ。僕にとってホットケーキは神聖な食べ物なんだよ」
 僕の迫力に帝治は呆気にとられたようだ。少し惚けていたが頭をポリポリ掻いた。
「すまない。嫌味で言ったわけではないのだ。単純に毎日食べて飽きないのかと訊いただけだが、気に障ったようなら許してくれ」
 帝治はすぐ頭を下げる。自分に非があればすぐ反省し謝罪するのだ。僕は帝治のこういうところが大好きである。
 帝治は小学生時代父親に虐待された時期があった。たぶんろくに食べ物を与えてられなかったのだろう。父親が事故死し、施設に預けられたが、食生活は貧しかった。そして今は生徒会役員として食生活は豊かになっている。帝治は今まで食べられなかったものを食べたいだけなのだ。僕がホットケーキを飽きないのは、世の中にいろいろあるのにという意味だ。深い意味はない。
「でもホットケーキを焼いたのはドリーちゃんですけどね」
 可南華がつぶやいた。ドリーちゃんとは美土里のあだ名である。可南華はたまに毒を吐くのが難点だけど、そんな彼女も大好きだ。

 *

 雷丸学園の生徒会は忙しい。それは学校側に無茶を言い続けた僕らに責任がある。僕には夢があった。逃亡中に拾った漫画、超人学園ジュヴナイラーのような学校に通いたいということだ。もちろん実現するなんて不可能だが、皐月は頭脳をフル回転させたおかげで今の学校に通えたのである。
 僕が雷丸学園の生徒会長になったこと、そして生徒会の構成を強引に変え、教師や他の生徒たちに迷惑をかけた。だからこそ彼らには恩返しの意味で学校の関係者に相談事を聞くことにしているのだ。大抵午前の休み時間に相談している。
「僕はみんなにいじめられています。なんとかしてください」
「いじめられる原因は大抵本人が気の利かないことに原因がある。それを修正してあげよう」
 いじめの場合、相手をいじめて快楽を得ているのだ。それをやめさせるには、いじめ以上の快楽を与えればいいのである。それもあるがいじめられる本人にも非がある場合があるのだ。気が利くことは相手に媚を売ることではない。その考えが自己中心的なんである。気遣いができれば自然に相手を守ろうとする。もっともいじめをかばって自分が新しい標的にされる場合もあるので難しい。その解決方法はあとで説明する。
「ストーカーに悩まされています。メールを大量に送り、夜中でも平気で電話をかけてくるのです」
「一年の父母でモンスターペアレントがいます。おかげでノイローゼ気味になりました」
 ちなみに僕は人前では私と呼んでいる。僕だと威厳がないからやめなさいと皐月に注意されたからだ。
 さてこれらの問題を解決する秘密道具がある。それはサイコプリンターというものだ。見た感じでは美容院にある頭を乾かす装置だが、人間の脳に膨大な情報量を刷り込むすぐれものなのだ。ただし使いすぎると人格障害を起こす場合があるので間を空けて使用するのが吉である。
 いじめられっこの場合は気遣いができるように知識を刷り込み、ストーカーなどは司法試験に合格できるように知識を刷り込む。モンスターペアレントも同じだ。余計なことを考えるから他者を攻撃したくなる。そうさせないための処置だ。人形みたいで気味が悪いと言われるが、前よりはましになったと喜ばれている。
「僕の実家の工場が借金で困っています。どうしたらいいでしょう」
「その借金は生徒会が代わりに払おう。そして実家の工場は閉鎖したほうがいい。代わりにセッル共和国の留学生たちに物づくりの技術を教える学校を作ってもらう。そうすれば安定した収入もあるし、技術が衰退することもない」
 借金問題はまず生徒会が肩代わりをする。だが借金を返すだけでは終わらない。相手がその幸運で満足してはだめなのだ。また借金をしても誰かが助けてくれると信じ切ってしまう。この場合自立させる手伝いをするのだ。世間体を気にして自己破産を恐れ、結局は最悪な事態へたどる。その前にちっぽけなプライドを粉砕し、新しい道を切り開くのだ。もちろん相手を尊重し、その人しかできないことをさせるのだ。
 これはみんな皐月の受け売りだ。僕は暗い地下王国から逃げた後、皐月は日常生活やその他もろもろを教えてくれた。皐月がいなくなっても一人で生活できる知識は叩き込まれている。人を救うというのはただ施しをするだけではだめだ。相手が自分の脚できちんと立って歩けるようにするのが、本当の救いである。生徒会はそんな困った人たちを手助けするためにいるのだ。
「最近旦那が貧弱で困っている。なんとかするのだな」
 彼女は二年生の担当の大槻愛子(おおつき・あいこ)だ。
 二十代後半ですらりと背の高く、腰まで伸びている黒髪に前髪を切りそろえてあり、ふちなしの眼鏡をかけている。水色のスーツに白衣を着ており、あだ名は教授だ。その理由は東大の理学部の教授の肩書を持っているためだ。
 風紀委員会の顧問をしており、雷丸学園で唯一生徒会に刃向う女性だ。ちなみに風紀委員長の同級生である市松水守(いちまつ・みもり)は彼女の妹で、こちらも生徒会に反発している。性格は真面目で、姉とは似ていない。なぜか彼女は上から目線だけど相談するなら対等にするのが僕の流儀である。
「旦那が貧弱だと? なぜ貧弱なのだ?」
「私が夜中にがんばりすぎるからだろうな。毎日裸でプロレスごっこをしているからね」
 プロレスごっこ? いい大人が夜中に寝る間を惜しんで遊んでいるのか。正直呆れた。それで旦那を貧弱呼ばわりはひどい気がする。
「プロレスごっことはな……。男と女では体格に差があるだろう。勝負にはならないと思うが……」
「うっふっふ。それがねぇ、男と女のプロレスだと、女に軍配があがるのさ。どうしてか、聞きたいかい?」
 大槻がにやにや笑っている。うむ、男女の差が埋められるのは非常に気になるな。聞いてみよう。
「ちょっと待った!!」
 そこを皐月が大声を上げた。そして僕と大槻の間に入る。肩で大きく息をしており、吐く息が苦しそうだ。
「大槻せんせぇ〜、今日は忙しいので、これで切り上げてくださいな。生徒会長は多忙なのですよ」
 あれ、僕はそんなに忙しくないよ。なんで皐月は嘘をつくのだろう。うそつきは泥棒の始まりで、嘘ついたら針千本飲ませると言ったのに。
「それは残念。満月生徒会長と私でくんずほぐれず、保健体育を楽しみたかったのにね」
 大槻は残念そうにやれやれと両手を振った。保健体育だって。なぁんだ、あれのことを言っていたのか。
「ああ、あなたの言っていることは、せ……」
 僕は最後まで言えなかった。皐月が僕の口を塞いだからだ。大槻は僕に保健体育を歪曲して教えたのか。でも皐月がその単語を塞ぐことは理解できなかったな。皐月の目が爛々と光っていてちょっと怖かった。それを見た大槻は笑っている。何がおかしいのかわからなかったけどね。

 *

 お昼休み、僕ら生徒会役員は学食から取り寄せた食事を摂っている。週に一度、学食には三ツ星シェフが調理に来るのだ。これは生徒会が生み出した横の繋がりである。すべてが脅迫で繋がっているわけではない。
 今日はイタリアンレストランのシェフが担当している。みんなスパゲッティを食べていた。
 帝治はナポリタンでひときわ大きいお皿で豪快に食べている。他にもパンとサラダを一緒にしていた。
 可南華はヴォンゴレで、美土里はボロネーゼだ。ただし互いにフォークで自分の皿のスパゲティを相手に食べさせていた。美土里だけピザも一緒に食べている。
 皐月はネーロだ。イカ墨のスパゲッティである。執行委員やザラーム・ジャイシュの面々は学食にいた。
 そして僕だけがお子様ランチだ。お子様ランチ。うふふ。
 僕はすぐに手を付けず、じっと眺めていた。お子様ランチは僕の夢だ。安い牛丼やラーメンに興味はない。このお子様ランチである。ただ僕の体格がお子様に見えないので学食で特別に作らせているのだ。もちろん守秘義務はある。
 美土里がじっと見つめている。そしてぽつりとつぶやいた。
「お子様ランチ。ガキっぽいね」
 皐月の表情がこわばった。僕もガキっぽいのは理解しているけど、はっきり言われるとつらい。
「美土里!! あなたは会長がお子様ランチを食べることに不服なの!! 食べたいなら食べたいと言いなさい!!」
「……いらない。お腹が膨れる方がいい」
 皐月の怒りを美土里はそっぽを向いてさらっと受け流した。美土里は基本的に無口だけど、こういう時はきついな。可南華以上だ。皐月のこめかみに血管がぴくぴく動いている。自分のためではなく僕のために怒ってくれているのだ。
「ドリーちゃん。無神経なことを言ってはダメよ。会長はともかく、円谷先輩の会長に対する変質的な愛は、狂信者じみているからね」
 いや可南華も妹以上に毒舌だ。そこに帝治が助け舟を出した。
「鮫泥妹はお子様ランチに興味はない。単純に訊いただけだ。円谷もそんなに目くじらを立てるな」
「というよりガキっぽいという言葉に悪意を感じたのだけど」
 皐月が突っ込む。それだけは補佐できない。すると美土里は両手で胸をつかんだ。彼女の体型は小学生並みだが、胸の大きさはグラビアアイドル顔負けだ。なんでも小学四年生でブラジャーをつけていたという。
 美土里は胸をゆさゆさとゆする。それを皐月に見せつけていた。何の符号なのだろうか。
「み〜ど〜り〜!! それは嫌味か、私に対するあてつけかしら、そうかしら!?」
 うわぁ、皐月の目が血走っている。どうして緑の胸を見て怒り出したのかわからない。僕は皐月の洗濯板が大好きなのに。前に帝治に言ったら「円谷は男だからな」と返された。皐月は男だけど、僕のお母さんみたいな人なんだ。
 突如、携帯の着信音がした。それは帝治の物だった。帝治は話をした後電話を切った。
「東郷からの連絡だ。校舎裏に消音器付きの拳銃を所持した男たちを四人捕まえたそうだ。これから生活指導室に連れて行って、自白剤で自白させることにした」
 東郷は執行委員の一人で、帝治の右腕だ。戦闘力は高いが、事務処理能力も高く、皐月の代わりに手伝ってくれる。
「自白ですって。どうせ相手は暴力団の下っ端よ。手柄を得るために上層部の命令を無視して、暴走したってところかしら。社会のクズに自白剤なんてもったいない」
「あのな、前に相手の手の指を切り落として生活指導室が血まみれになっただろう。あの後、掃除するの大変だったのだぞ。そうだ、東郷から自白剤の残りが少なくなったから補充してくれと言われた」
 皐月はふてくされ、帝治がなだめる。帝治は乱暴者に見えるが、気遣いのできる人間だ。代わりに皐月は感情を優先することが多いので心配だけどね。

 *

 放課後、生徒会役員は歌舞伎町に来た。理由はひとつ、雷丸学園の教師と生徒たちがある闇金業者に取り立てられているという。闇金とは貸金業の登録をしていない貸金業者のことだ。彼らは法定金利を超える高金利を請求するのである。虎落(もが)ることを生業にしているのだ。
 五階建ての飯生(いなり)ビルがあり、吉根(きつね)金融がすべてのテナントだ。彼らのせいでうちの教師が自殺未遂を起こし、生徒が一家心中されるところだった。学園での犠牲者はまだ出していないが他の人は一家心中し、子供や若い娘は海外に売り飛ばされたそうだ。被害が広まる前に叩き潰すことにした。
「吉根金融は指定暴力団虎古(とらぶる)組の傘下よ。それも下っ端ね。構成員は全部で五〇人ほどいるわ。虎古組には話をつけている。構成員一人に付き一千万、合計五億支払うことにしたわ。あとは生徒会が所持しているテナントを三つほど進呈した。ぶちのめしても問題はない」
 生徒会というか、皐月は脅迫データを利用して金を引き出し、株で稼いでいる。その金でビルを数十ほど購入しており、使用料でかなり稼いでいるのだ。
 あと暴力団を敵に回すのはよくない。もっともこちらは金で解決できることがある。そのための金なのだ。虎の子の金と言える。
「さて始めようか」
 飯生ビルの入り口には男が二人立っていた。二人とも茶髪で無精ひげを生やし、耳や鼻にピアスを付け、アロハシャツを着ていた。ガムを噛みながらニヤニヤ笑っている。おそらく吉根組の構成員だろう。典型的なチンピラだ。
 虎口のはずなのに、チンピラ二人に任せるとは正気ではない。ここは虎穴ではない、狐の巣だ。
 僕は彼らの前に出た。なんだお前と言われたが、僕は答えない。こいつらは外道だ。地獄の鬼というより、いたずら好きな小鬼だ。地獄の鬼は罪人である亡者に罰を与えるのが仕事である。こいつらは真面目に生きている人をからかったり、面白半分で命を奪うのだ。
 僕は両腕を天につきだした。そしてYの字のように構えると、胸元が風船を膨らませたかのように大きくなる。そして学生服が紙のようにびりびりと破れ、上半身裸になった。ああ、あとで皐月に怒られるな。
 力がどんどんあふれてくる。
「フゴォォォ!!」
「ドガガガガァ!!」
 チンピラは奇声をあげ、ポケットからバタフライナイフを取り出し、やたら滅多に振り回す。僕は慌てない。あふれ出す力は両腕に集まってきた。大地から気を吸い取る大樹のように湧いてくる。そして僕は一気に放つ。
「サリーブ・バラク!!」
「プギャアァァァ!!」
 腕を十字に交差させると、気の力が放たれる。そいつは目の前のチンピラ二人が自動車に衝突したように吹き飛び、入り口のガラスの扉を粉砕した。
 サリーブ・バラクは十字の稲妻と呼ぶ。これはセッルレスリングと呼ばれるものだ。セッル共和国がまだ王政だったころ、王族は自分の身を守るために一子相伝で身に付けた技である。幼少時から薬草を毎日飲むことで体の構成を変えるため、技を盗んでも使うことができない。セッル共和国になった際に、セッルレスリングを知った。それを皐月が僕に習わせたのである。
 さて僕の目の前は土煙で見えなくなっている。ビルの内部では異変を知り、音の元に来るだろう。さてこのビルは五階だ。最上階の社長室を潰そう。
「てめぇ!! 殴り込みか!!」
「このキ印野郎!!」
 騒ぎを聞きつけて、暴力団員がドスやチャカを持ってやってきた。全部で七人。全員目が血走っている。目の前の惨状に興奮しているようだ。それはそうだろう。入り口はめちゃくちゃに壊されているし、それを見張るチンピラはロビーの中で血の泡を吹いて倒れている。
 僕は再び体に力を終結させる。今度は脚だ。暴力団員はそれを見て、僕が怖気づいたと思い込んでいる。一斉にドスを僕に向けて突進してきた。脚には気の力が集結し、熱くなってきている。
「イサール・ヤルクル!!」
「ブゲゲゲゲェ!!」
 僕は体を竜巻のように回転させ、暴力団員を薙ぎ払った。これもセッルレスリングの技だ。全員壁に叩き付けられている。顔を潰され、血が垂れていたり、胸を強く打ちアバラを折って血を吐くものなどがいたけど、同情はしない。学園とは関係ないけどこいつらのせいで自殺に追い込まれた人たちを思うと胸が熱くなる。
 イサール・ヤルクルには空中で放つ『サマー・イサール・ヤルクル』と、炎を纏う『ショーラ・イサール・ヤルクル』がある。だけど僕には使えない。それこそ幼少時から数十年修行を続けたセッル王族くらいしか使えないそうだ。
 僕は天井を見上げた。僕の強さを見せつけるには普通ではだめだ。
「タドミール・ザウバア!!」
 全身に力を込め、拳に力を集める。そして一気に力を解放した。僕は一階の天井を拳で突き破る。天井は発砲スチロールの如く破壊された。そしてそのまま二階へと降り立った。
「ひぃ、ひぃ、あひぃ……」
  それを見た暴力団員は口に泡を吹きながら目を回す。そしてチャカをぶっ放した。だがそれは当たらない。僕は彼らが向ける銃口でどこを撃つかわかる。さすがの僕も音速で飛ぶ弾丸を捕えることはできない。銃弾がどこに飛ぶか想像し、対策することができる。
 銃を撃つ瞬間、僕はそいつの顔面に突きを入れた。
「ボゲェ!!」
 鼻は一瞬で潰れ、情けない悲鳴を上げる。それだけで戦意喪失だ。惨状を見て怯えだす三下は逃げ出そうとするが、逃がさない。後ろ姿にサリーブ・バラクを当てる。そいつらは窓まで吹き飛ばされて、外へ落ちた。表は帝治を始めとした執行委員が待機しており、消防が使うトランポリンを用意しているはずだ。
 そして僕は最上階にたどり着いた。そこは吉根金融の社長である吉根金吉(こんきち)四十五歳がいた。キツネ顔で小ズルそうな感じがする。部下が十人ほど囲っており、拳銃を持っている。だけどそんなものは通用しない。全員イサール・ヤルクルで薙ぎ払った。
 「ちくしょう! お前は終わりだ、自分は虎古組の傘下で、偉いんだ。例え自分を殴っても虎古組は復讐してくれる、お前に関わるものは家族だけでなく、芋づる式で報復されるのだ。自分がとりなしてやるから殴らないでくれ!!」
 吉根は土下座をしながら大声を張り上げた。虎の威を借る狐とはこのことだ。吉根のあくどさは虎古組ですら持て余していたという。こいつは負債者が一家心中する様子をビデオで納めてDVDで海外に売るというとんでもない商売をしている。虎古組の虎の尾を踏んだのだ。こいつらが売られたのもそれが理由なのである。キツネのくせに虎狼の心を持つ男だ。古狐ほどではない。
 こいつは虎古組に裏切られたことを知らないようだ。かわいそうなのでそいつの頭を踏みつぶした。蛙がつぶれたような声をだし、床にめり込み、口から血の泡を吹いている。
 これで仕事は終わりだ。僕は社長室の窓から顔を出した。外には皐月を始めとした生徒会役員たちが手を振っている。僕もそれに応じた。そして窓から地上へ飛び降りる。僕は華麗に着地した。 
あとは坂田大学病院や金を握らせた救急車がやってきて処理をする。こいつらは入院するが、身体をバラバラにして臓器を売るのである。どうせ真面目な人間を泣かせるクズだ、身体で贖罪してもらう。虎は死して皮を留めるが、こいつらは何も残さない。人は死して名を残すというが、虎古組会長くらいしか名を残さないだろう。吉根の行為は虎を画きて犬に類すといったところか。
心中DVDを購入した連中にも報復する。ザラーム・ジャイシュに命じてそいつらの目を切り裂くように命じた。外道の目など潰しても問題はない。まあ皐月の受け売りだけどね。

 *

 夕食前に僕は風呂に入った。寮には銭湯並みに広い男女と分かれた風呂がある。僕は汗でびっしょりになったので食事前に風呂に入り、身体をきれいに洗っているのだ。
 帝治も体を洗っていた。帝治の手首は義手だが、風呂用の義手があるのだ。帝治の義手はロシア人が発明したアキバボーグの技術が詰められている。一度作れば義手自体は軽自動車の車検のように二年で済むらしい。接合部分も極めて人体になじむ素材で作られており、メンテナンスをまめに行うのは、医者に勉強させるためだというのだ。
「帝治の胸って大きいね」
 僕は帝治の後ろに回り、両手で帝治の胸を揉んだ。帝治の身体はほぼ筋肉なので脂肪分は少ない。胸部は盛り上がっており、非常に硬かった。ただ背中は傷跡が目立つ。幼少時に虐待された痕だそうだ。
「……陽氷。男の胸を触って楽しいか?」
 帝治はそっけなく答える。僕が優しくなでたり、乳首をつまんでも感じないようだ。
「楽しいよ。帝治も僕の胸を揉んでもいいのだよ」
 僕は胸を指差した。皐月曰くギリシャ彫刻の黄金分割のように美しいという。傷一つなくピカピカ光っているのだ。
「女生徒たちは揉ませてくれないのか?」
「うん、女生徒たちは揉んでもいいというけど、皐月がダメっていうんだ」
 それを聞いた帝治はため息をついた。僕としては乳袋には興味がない。柔らかすぎて物足りないのだ。僕としては皐月や帝治の固い胸が好みである。
泡まみれの身体を水で流すと僕と帝治は湯船に入る。ゆったりと湯につかると、帝治が話しかけた。
「……陽氷。お前は虐待されたというが本当か?」
「なんでそんなことを訊くの?」
 僕は答えた。それは僕が思い出したくない話題だが、帝治が訊ねたから答えることにする。
「いや、お前の身体がきれいすぎるんだ。俺みたいに体に傷痕が残っていないのが不思議でな」
「それは僕の身体が普通じゃないからだよ。僕はみんなと違って成長速度が四倍速かったんだ。だから傷跡も消えたんじゃないかな?」
「……そうかもしれないな。俺はあまり頭が良くない。難しいことはよくわからないんだ。この話はこれで終わりにしよう」
 帝治は歯切れが悪そうに言った。一体何が言いたいのだろうか。

 *

 夕食は全員で取った。僕の献立はみんなと同じだ。晩だけはみんなと同じものをとると決めている。
 僕は腹が膨れたので休むことにした。ぐっすりと眠る。そして僕は悪夢を見た。
 大勢の人間が裸の僕を囲んでいた。僕の身体は小学生並みなので正確な人数はわからないが、数百人いることはわかる。老若男女が丸のように囲んでおり、僕に悪意の目を向けていた。
『お前死ねよ』
『あんたなんか消えてしまえばいいのよ』
『お前の存在を認めない』
『なんで生まれてきたんだ。誰もお前の存在なんか望んでなかったのに』
『死ね』
『消えろ』
『お前なんか存在してないのだ』
 全員が僕を否定する。僕の存在を否定するのだ。
 どうして僕を嫌うの。どうして僕をいじめるの? どうして僕を抱きしめてくれないの?
 寒い。僕は裸だ。風が吹き、僕のむき出しの肌を冷たく突き刺す。両手を見ると寒さで赤くなり、皮膚はひび割れていた。
 助けて。誰か助けてよ。
 寒いよ。人が周りにいても寂しいよ。だれか僕を抱いてよ。僕を暖めてよ。誰か、誰か……。
 僕は目が覚めた。ここは僕の部屋だ。寮では和室の六畳の部屋があてがわれている。僕は布団の中で寝ていた。左側には鮫泥可南華が赤と白の縞々のパジャマを着て、手に頬をついて寝ていた。そして僕の頭は美土里の股の上に乗っている。彼女は姉と同じパジャマを着ており、絵本を読んでいた。毎晩生徒会役員は絵本を読むのが日課だからだ。
「……白雪姫は王子様とキスをすると、目が覚めました。……そして白雪姫は王子様と結婚したのです……」
 美土里は淡々と朗読していた。読んでいる本は白雪姫だけど美土里が朗読すると、怪談のように聞こえるから不思議だ。そのせいで悪夢を見たのかもしれない。
 それに僕の額には美土里の胸が乗っている。すごい重圧で胸の熱が伝わってきた。小柄な彼女だが胸だけは異常なまでに大きいのだ。姉の可南華はそれほどでもない。双子なのに体格は成長するごとに変化するようだ。可南華は美土里の身体をわがままボディと呼んでいるが、僕が知る限り美土里はわがままを言ったことはない。なぜわがままボディなのかと可南華に訊いたら、放漫を豊満と呼び換えた言葉遊びと言われたので納得した。
「会長、なにかうなされたようですが、どうなさいましたか?」
 可南華が心配そうに声をかけた。僕は先ほどの悪夢の内容を教えた。
「……その悪夢の内容、どこかで聞いたことがありますわ。どこだったかしら……?」
「小角善喜(こずみ・ぜんき)が、幼少時に禁忌の子供と一族に忌み嫌われるシーンに似てるよ」
 美土里がぼそりと答えた。小角善喜とは超人学園ジュヴナイラーの敵キャラの一人だ。日本を憎み、外道法という秘術で日本沈没を目論んだ美少年である。主人公らに倒された彼は人を千人近く殺したけど、みんなに笑顔で手を差し伸べられて仲間になったのだ。
「それと地下室に幽閉され、実験体になったシーンもありますわね。会長が宇野という人に虐待されたという話と似ていますわ」
「というか、名前が入れ替わっているだけで、もろパクリだよね」
 美土里がさらっと言う。確かにジュヴナイラーは僕も読んだ。なんでもありの世界観に没頭したのだ。皐月と共に逃亡した後は脅迫データを利用して今の生活を手に入れた。雷丸学園を乗っ取ったのもジュヴナイラーな学園生活を望んだためである。さすがに漫画と同じはまずいので控えているが。
 そういえば小角善喜も学園を支配して多くの配下がいた。もっとも皐月や帝治、可南華と美土里とは違って特別な力を持っていたが。僕らの力は科学だ。だけど超越した化学は魔法に似ている。そして権力と財力だ。それさえあればある程度の無茶も許される世界なのだ。
 僕としてはジュヴナイラーの主人公みたいに転校生として、活躍したかったけど、皐月に止められた。帝治やその仲間たちと共に学園の生徒会を利用し、王者として君臨したほうがいいと勧められたのだ。僕が一人にならないようにする配慮である。皐月の言うことならすべて正しいから、その判断に従う。
「そういえば明日転校生が来るそうですね。二年で丸尾虹(まるお・こうしち)という名前だそうです」
 丸尾だって!? その名字は僕にとって忌々しい名前だ。僕の本名は丸尾虹六という。ちなみに皐月は丸尾虹五という名前だ。虹七は僕らの弟にあたる。今まで雷丸学園に転校生が来たが、帝治が執行委員と一緒に公衆で袋叩きにしていた。その際執行委員の数人は大けがを負い、入院する羽目になっている。転校生はスペクターだ。スペクターとは内閣隠密防衛室の諜報員だ。通称内防と呼ばれる組織で、日本の平和を陰で支えているのである。
 生徒会の運営も内防を真似して作ったものだ。規模は全国に広がっている。室長の花戸利雄(はなと・としお)が僕の父親に当るのだ。遺伝子改造されたクローン体なのである。代理母に人工授精させたのだ。母親は誰かはわからない。
 僕が見た悪夢に出ていたドクター宇野も内防の関係者だ。丸尾虹七は内防の虎の子だ。そいつが雷丸学園に転校するとなると内防もうちに力を入れたのだろう。
 僕は怖くなった。今まで帝治がスペクターを倒してくれたが丸尾シリーズは一人一人が並ではない。僕が怖いのはこの生活を壊されることだ。そしてドクター宇野の前に突き出されたら子供の用に泣きじゃくり、怯えて動けなくなるかもしれない。
 それを察したのか美土里は頭をなでなでしてくれた。僕を気遣ってくれたのだろう。
「大丈夫ですよ。私たちもいますし、書記さんもいるし、乙戸先輩もいます。会長はひとりじゃないのですから」
 可南華も慰めてくれた。
「それに会長は私たちを救ってくれました。私たちは会長に恩を返すためにここにいるのです。この命は会長の物ですわ」
 美土里も相槌を打つ。彼女らの言葉に僕の胸は熱くなった。僕は一人ではないのだ。皐月に帝治、可南華に美土里、執行委員やザラーム・ジャイシュの面々などいる。僕は涙が出てきた。
「それに美土里ちゃんの身体も会長の物です。ドリーちゃんの豊満な胸をもみもみしても構いませんわ。ねえ、ドリーちゃん?」
 美土里はこくりと頷いた。そして僕の顔に胸を押し付ける。ちょっと押し付けられて苦しくなった。
「書記さんの胸では味わえませんわよね?」
 可南華がそういうと外から大きな足音が聞こえてきた。
「ミドリィィィ!! アンタは何やっちゃってんですかァァァ!!」
 皐月が叫びながら襖を思いっきり開いた。額に青筋が浮かんでおり、目が爛々と血走っている。ちょっと怖い。皐月は紫色のネグリジェを着ている。
「あらあら、書記さんは盗み聞きが趣味のようですわね。悪趣味ですわ」
 可南華は皐月を見ても平然としている。美土里は絵本の続きを読み始めた。ちょっと空気が読めない気がする。
「なんですって〜〜〜!! あんたたちが陽氷に悪影響を及ぼさないための処置でしょうが!! 美土里!! さっさと陽氷から胸を離しなさい!」
 美土里は僕から胸を離した。正直苦しかったので助かった。皐月は僕のために気を使ってくれている。だから皐月は大好きさ。
「じゃあ、ドリーちゃんと一緒に会長の頭を挟みましょうか。ねえ、ドリーちゃん?」
 そういって可南華と美土里は僕の顔を挟むように胸を押し付けた。二人とも皐月の話を聞いていなかったのか? 胸を押し付けられて苦しいのだけど。
「だから胸を押し付けるなと言っているでしょうが!!」
 皐月が怒りの感情をむき出しにした。確かに苦しいけど、怒るほどのものだろうか。皐月の沸点が低いのが難点だな。
 僕にはみんながいる。例え丸尾虹七が転校生としてやってきても、みんながいれば乗り越えられる。そんな気がするのだ。

 終わり。

2013/10/26(Sat)18:58:01 公開 / 江保場狂壱
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■作者からのメッセージ
 シークレット・ノーマッドの外伝です。満月陽氷の一人称で進む読み切りで書きました。なるべくほのぼのとしたお笑い作品に仕上げました。
 説明が多いのは、シクノマを知らない人でもすんなり読めるようにしたためです。知人に知っていることを前提に書くとすっ飛ばしすぎだと言われたので。
 今のままだと生徒会と関わらないので、読み切りの形で書くことにしたのです。楽しんでいただければ幸いです。

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等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
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MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。