『クラスメイトのお願い』 ... ジャンル:恋愛小説 リアル・現代
作者:未織流                

     あらすじ・作品紹介
超る日同じクラス委員の明坂に呼び出される俺、椎名雅也。そして彼女から『あるお願い』をされる。しかし俺はそんなラブコメみたいなフラグには騙されな……ってダメだ。明坂にこんな顔されたらやってやるしかないじゃねーかよ!超王道ラブコメ!

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「椎名くん」
掃除の時間、後ろから可愛らしい優しい声で呼ばれた。顔を見なくても声だけでわかる。
「なんだ明坂?」
振り返ってみるとやはりそこにいたのは同じクラス委員の明坂千帆だった。
「今日って放課後空いてる?」
女子にこういうセリフを言われるとドキッとするが別にこれから告白されるわけでもなんでもない。
「あぁ。空いてるよ」
それがわかってるから別に深読みせずに普通に答える。
俺が女子に告白されるなんてイベント、起こるわけが無い。だから変に期待するだけ無駄なのだ。
「クラス委員の用事でもあるのか?」
まぁ俺が呼ばれる理由などこのあたりが妥当だろう。そう思い明坂に訪ねた。
でもこれといってクラス委員の仕事はなかったはずだが…まぁいいか。どうせ先生か誰かの頼まれごとだろう。
「なに手伝えばいいんだ?」
いくらモテない俺でも女子には優しくしないとな。とかちょっと心の中でカッコつけてみる。
だが明坂の答えは俺の予想とは全く違っていた。
「あのね、クラス委員の仕事じゃなくて椎名くんに個人的に用があるの」
騙されるな俺、騙されるな俺。別にこれはフラグでもイベントなんかでもない。変な深読みをするな椎名雅也。平静を保つんだ。
「な、なんだ。俺に用事って」
少し声が震えてしまったが、バレてないよな?
「あの、放課後に話すから校門で待っててもらっていい?」
騙されるな俺、騙されるな俺。
「まぁいいよ。どうせ何もないし」
今度はちゃんと言えたよな…。
「ありがとう椎名くん。じゃあまた後でね」
「あぁわかった」
はて俺への用事っていったい何なのか。考えていてもさっぱりわからない。
「まぁ行けばわかるか」
俺はさっさと掃除を済ませ校門へ向かった。

校門で待ってる間俺はなんだかドキドキしてしまっていた。個人的に呼び出されるなんて小学校のときにサッカーをしてて校長室の窓をぶち破ったくらい…ってそれは関係ねーや。
でもいったい何の用なのか。俺みたいな凡人を個人的に呼び出すなんていじめ以外に思いつかないな。…ってさっきから思考がネガティブ過ぎる。
何かほかのこと考えよう。うん、そうしよう。
議題、なぜ生命は誕生したのか。
まずこの議題を話し合うにあたって前提として掲げなければならないのは全ての生命の原点はバクテリアということでそこから様々な生命へと進化していったことである。ではなぜバクテリアは生まれたのか。それについては…
「なに難しい顔してるの椎名くん。考えごと?」
「うわっ!」
突然声をかけられて俺は思わず声をあげてしまった。恥ずかしい、そして申し訳ない。
「うわっ、じゃないよ。ひどいなぁ」
明坂はほっぺを膨らませていかにも怒ってますよ的な顔をした。しかしそれは怒っているというよりむしろ可愛く見えてしまう。
「ごめんごめん」
そう言って明坂をなだめる。
そしてどうやら明坂は機嫌を直したらしく
「よし、許す!」
と可愛らしく笑った。単純な俺の心はその笑顔にドキンと胸が高鳴った。
それにしてもなんだか今日の明坂は元気がいいな。
別に普段の明坂が暗いわけではなく、むしろ明るいほうだがなんだか今日の明坂はなんというか可愛く見える。
しかし変に期待などするべからず。期待していいことなど何もないと俺は中学のときに思い知った。だから俺は平常心で訪ねた。
「で、用事ってなんだ?」
本題を切り出されると明坂は急にモジモジし始めて…ってこのパターンはまさか、でも期待して損するのは俺だぞ…でもこれは告白以外に思いつかない。
俺の頭の中であーだこーだと議論している中、明坂はなにかを決心したように口を開いた。
「椎名くん、あのね…」
「う、うん」
ゴクリ。なんかすげー緊張してきた。返事はどうしよう。明坂は結構、ってかかなり可愛いし、あぁ〜。
「わ、私とデートしてください!」
明坂は大声でそう言い放った。
当然周りの人の目線は一斉に俺たちに集まる。しかも場所が校門ってのがやばかった。ちょうど帰る頃の生徒たちが大勢いたからだ。
俺は平静を装いとりあえず明坂の耳元で告げた。
「ここだとちょっと人の視線がアレだから場所変えようぜ?」
すると明坂は辺りを見回し、ボンッと音がするくらい一気に真っ赤になった。そしてバッと俺の腕を掴み、声にならない声をあげながら走って校門を出ていった。

「恥ずかしすぎるぅ〜」
学校からかなり離れてやっと止まった明坂はさっきからずっとこのように悶えていた。まぁあんな大勢の前で告白みたいなことすれば誰でも恥ずかし…ってそうだ!さっきのは告白なのか? でも好きとは言われてないし、でもデートしてくださいってのは遠まわしには告白と受け取れる気がしないまでもない。
いったいどっちなんだ。もうこれは本人に聞いた方がいいな。よし。
「な、なぁ明坂。さっきのデ、デートして欲しいっていうのはどういうことだ?」
すると明坂はハッとして俺のほうを向いた。
やっぱりかなり可愛いな。
ふとそんなことを思ってしまう。ってダメだ。こんなの俺らしくないぞ!変な期待なんかするな。状況を冷静に考えろ!
「あのね、あ、アレは別に告白とかじゃなくてね…」
あ、違うんだ。…ってなにショックうけてんだ俺。この結果はむしろ当たり前のことだろうが。
「実はね週に1回、私とデートして欲しいなって」
はい? これはいったいどういうことだ。告白ではないがデートをして欲しい。しかも週に1回? もう訳がわからない。
「えっと、それはなんで? そしてどうして俺なの?」
とりあえず俺は思った疑問を明坂に訪ねた。明坂は少しなにかを考えてから口を開いた。
「えっとね、それは…」
そこまで言うと明坂は口をつぐんでしまった。どうやら言いづらいことらしい。しかしこっちは何がなんだかよくわからない。でも、困った顔の明坂を見ているとなんか…。
「それはやらないと明坂が困るのか?」
「え、うん」
明坂は下を向いて返事をする。
うぅ、クソっ。やっぱり今日の俺は少しおかしいぞ。こんな顔の明坂を放って
おくなんてできねぇよ。
「相手は俺でいいのか?」
「できれば知っている人に手伝って欲しいかなって。あと椎名くん優しいし」
あぁ、もうこうなったらこのまま決めてやるよ。少しくらい女子の前でカッコつけてやるよ!
「わかった、手伝うよ。詳しいことも聞かない」
「い、いいの?」
明坂が不安そうに俺を見上げる。
「あぁ、いいよ。…俺も明坂みたいな可愛い子とデートできるなんて嬉しいし」
やっぱり俺はどうかしてんな。もしかしたら中学の頃の二の舞になるかもしれないってのに、このバカは治らないんだろうな。
「か、可愛い、私が? ふわぁ〜」
明坂は顔を赤くしてあたふたしてる。可愛すぎるだろ、おい。

こうして俺と明坂のなんとも不思議な週1デートの関係が始まったのだった。

2013/05/19(Sun)10:10:14 公開 / 未織流
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