『予備』 ... ジャンル:ショート*2 SF
作者:スピンナ                

     あらすじ・作品紹介
予備が欠かせない夫と、その妻の物語。

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週末のスーパー。
「そんなに買うの」
眉間にしわを寄せて妻が言った。
買い物かごには、大量のトイレットペーパーが積んである。
「いいだろ。備えあれば憂いなし。何かあった時のために予備は大切なんだ」

次の朝。男は、妻の笑顔に見送られ、いつものように家を出た。
横断報道を渡ろうとした時、突然のブレーキ音。そちらを向くと同時に、強い衝撃があり、体が中に浮いた。

電話がなった。妻は洗濯を終え、一息入れているところだった。
電話に出ると、意外な相手だった。
「もしもし、警察です」
「警察?」
「実は、お宅のご主人が事故に合われまして」
運ばれた病院の名前を聞いて、妻はそこに向かった。
病院につくと、夫はすでになくなっていた。
「残念ですが」
医者は、やりきれないという感じだった。
「そうですか。ありがとうございました」
妻はあっさり言った。その反応があまりにも意外だったのか、医者は首をかしげた。

妻は、家に戻った。
「お帰り。早かったね」
家に帰ると夫が待っていた。
「どうだった?」
「病院についた時にはダメだったわ。やっぱり、あなたの言う通りね」
「そうだろ、予備は大切なんだよ」

2013/03/31(Sun)07:52:17 公開 / スピンナ
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