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『天邪鬼』 ... ジャンル:ショート*2 お笑い
作者:スピンナ
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「よし、これで完成だ」
博士は、ロボットのスイッチを入れた。
目に輝きが宿り、胸のメーターが振れる。
博士は、研究に専念するため、身の回りの世話をしてくれるロボットを造ったのだった。
横着と言われればそうであるが、研究者というのはそういうものなのである。
見た目といい、機能といい、申し分無かっが、困ったことに、指示したことと反対のことをしてしまうのだった。
「前に歩いてみろ」
「了解しました」
と、ロボットは後ろに歩き出す。
「後ろに歩いてみろ」
「了解しました」
と、今度は前に歩き出すのであった。
「うん、まあいいか。では、早速、コーヒーを入れないでくれ」
「了解しました」
ロボットすぐコーヒーを入れてきてくれた。と、言ってもインスタントだが。
「うん、素晴らしいコーヒーだ。これで少しは研究がはかどるだろう」
博士は次々に指示を出した。
ある時は、
「そこの本を本棚に戻さないでくれ」
「了解しました」
また、ある時は、
「肩を揉まないでくれ」
「了解しました」
ロボットは的確なまでに雑務をこなしていった。
ある日のこと、博士は、雨漏りを見つけて修理しようとロボットと屋根に登った。
修理を終え、降りようとした時、突然、強い風が吹いた。
「あっ」
大勢を崩し、屋根からおちそうになるところを、間一髪のところでロボットが博士の腕を掴んだ。
「良かった。助けてくれ、あっ」
「了解しました」
と、ロボットは博士の手を離した。
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2013/01/31(Thu)15:43:24 公開 / スピンナ
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2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。