『シンデレラの恋』 ... ジャンル:ファンタジー 未分類
作者:ぱるーん                

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 私が、まだ幼かった頃。

 おばあさまがよく、おとぎ話をしてくれた。

 おばあさまは、最後に、シンデレラのお話をしていた。

 今となっては、その古い記憶は廃れてしまっているけれど。

「ねぇ、シャル……」

 私は、城の中で一番仲の良いメイドのシャルロットに声を掛けた。

「なんでしょう? ロザリーお嬢様」

 私の髪を梳かしながらシャルは優しい声で聞き返してきた。

「エルサおばあさまを、覚えている?」

 シャルはその名を聞いた瞬間、手を止めて、懐かしそうに目を細めた。

「えぇ、勿論ですとも。 エルサ様は心優しいお方でしたもの」

 シャルは櫛を銀の台に置いて、真珠の髪飾りを手に取った。

「でも、急にどうなさったのです? 恋しくなられましたか?」

 微かに笑みが含められたシャルの言葉に、私は首を横に振った。

「いいえ、ただ、少し懐かしくなって」

「そうですか。 今の美しいお嬢様の姿をご覧になれば、エルサ様もさぞかし、驚かれるでしょうね」

 姿見に目を向けると、絹の豪奢なドレスに身を飾った自身が映っていた。

「だと、いいけれどね」

 と、私は小さく呟いた。

「さぁ、では、エリック王子がお待ちになっています」

 広間に出ると、たくさんの紳士淑女がそこには集っていた。

2012/04/23(Mon)21:52:52 公開 / ぱるーん
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