『おらが四十八滝(読み切り)』 ... ジャンル:ショート*2 リアル・現代
作者:天野をぶね                

     あらすじ・作品紹介
ある田舎町の選挙。こんな人たちに町政をまかせていいのか。

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 山あいの尾良賀町で、現職の任期満了に伴う町長選挙が行われることになった。
 選挙戦は現職と建設会社社長の雨森との一騎打ちとなった。新人の雨森は観光資源をいかした活気あふれる街づくりを公約に掲げていた。
 町域の大半を山林が占める尾良賀町の山中には、大小とりまぜ多数の滝が存在しており、尾良賀四十八滝と名づけられている。雨森はこれらの滝を、遠方にまで名をとどろかす自然のテーマパークとして整備することを政策の目玉としていた。
 ある日、雨森の街頭演説が行われた。雨森はこれからは農業や林業だけではなく、観光産業にも力を入れていかなければならない、と町政の課題に触れ、わが町には尾良賀四十八滝という誇るべき観光資源があると続けた。
「このような多岐にわたったすばらしい自然のオブジェを活かし……」
そのあとはろくに聞いていなかった。このさえない田舎町も気の利いた演説のできる町長を頭とあおぐ、さぞかしいかした町になることだろう。帰宅してしょうもない歌を詠んだ。

 候補者が多岐にわたってうるわしと押し売りをする四十八滝

 翌日、現職の街頭演説を聞きに行った。
「えー、昨日の、おー、雨森候補のご高説、わたくしも確かに拝聴いたしました。水もしたたるユーモアをまじえて、まことに高邁な理想を語ってくださいました。雨森だけに、と言いますか、雨漏りのする古びた家の中にいるかのようなうそ寒い心地がいたしました。そもそも……」
現職はその後財源をどう確保するのか、施設の恒久的な管理はどうするのか、といった問題点を列挙し、力強い次の言葉で演説をしめくくった。
「おらが町をほらが町にしてはならないのです!」
二人のうちどちらに町政を委ねたものか、いまだに決めかねている。

2012/02/24(Fri)20:44:05 公開 / 天野をぶね
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■作者からのメッセージ
「もふ」という名前で題詠blog2012というイベントに参加しています。
「滝」という題がどうしても詠めず、オヤジギャグで逃げました。

写真集『滝』にみられる流水の多岐にわたったさまに見とれる

くだらなさのダメ押しでこんなものを書いてしまいました。

ギャグとしてはまことにくらだないのですが、こういうばかばかしさも政治の一面ではないかと思います。

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2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。