『夏のおもかげ』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:エテナ                

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 夏のおもかげ
 
 わたしの大好きだったそのひとは、夏の日差しのようにすきとおって、手を引かれれば、どこへでも、霞んでいなくなってしまいそうな、儚いひとだったわ。十歳年上のお姉さんだった。わたしが九歳のころ、十九になろうとしていた。色が白くて、黒い髪がきれいで、深い目をしていたわ。わたしがこの丘の町の白い石畳の階段を駆け足で上ってゆくと、その人はわたしをしずかな微笑みでむかえてくれた。あなたがいま、わたしをむかえに来てくれた、あのお店よ。いまは既製服を売っているお店だけれど、むかしは仕立て屋さんだった。普通のお洋服も仕立てていたけれど、ここからすこし離れた町の、劇場の衣装も仕立ててた。そのお姉さんは、仕立て屋のお店で、劇場の衣装を手がけるお針子だった。ミシンで服の形をつくったり、針で細工をしたり、おかみさんやあすみさんに教えてもらいながら、細かいところまで注文のつく衣装を、丹念につくりあげていたわ。お姉さんの手は、おかみさんのお墨付きで、劇場のひとたちにも賞賛されて、主役の衣装も手がけるほどだったわ。
 身丈をはかったり出来上がった衣装を見るために、その主役の役者は、しきりにこの町に来たわ。お店のみんなと楽しそうにおしゃべりをして、日が傾きかけたころに帰ってゆくの。わたしもそのお兄さんと、何度も顔をあわせたわ。とってもやさしいひとだった。どきどきするくらいきれいな顔をしていたわ。主役として舞台に立っているのに、えらぶったところはなにもなかった。こどものわたしにも、隔てなく接してくれた。いっしょに散歩したこともあるのよ。手をつないでね。いまでもわすれないわ。ほんとうに、たのしい時間をくれるひとだった。お姉さんが、自分の肩を寄せようと信頼するだけのことはあったわ。あのころのわたしは、なんにも知らなかったのだけれど。
 あの日もちょうど今日のようなあつい夏の日で、わたしは、お気に入りの白いワンピースを着て、石畳の階段を上っていった。坂の道に迫る家々の庭からは、深い緑色の草々や鮮やかな花があふれていたわ。細い階段道を、わたしはすり抜けるようにして駆けていった。そして、夏空にとけるような青い看板が軒下にかかった、お姉さんのお店に行ったの。わたしがお店の硝子戸をあけると、おかみさんやあすみさん、そして、お姉さんと、お兄さんとがいたわ。みんなでいつものように話をしていたのね。みんながわたしを見て出迎えてくれたわ。おかみさんはわたしを孫のようにかわいがってくれて、お店に行くと、かならず頭をなでてくれた。よく来たわね、いらっしゃいって言いながら、わたしの頭を抱えるようにして。わたしはくすぐったくって、顔をくしゃくしゃにして笑ったわ。それを見ながらお兄さんも、やあ、また会ったね、なんて言って、笑ってくれた。お姉さんも小さなわたしに目線をあわせて、ちょうどよかった、みんなでお茶にするところだったのよって、言ってくれた。本当のことを言うとね、お兄さんが来るのはわたしにとってはめずらしいことで、いつもとはちがう、そのめずらしい光景に立ち会えることがわくわくすることだったし、お茶に出てくるお菓子をね、食べたかったの。あつかましいこどもでしょう、わたし。でも、本心だったのよ。お姉さんが焼いてくれたクッキーはおいしかった。みんなが座ったテーブルにわたしも座って、ちょっとくせのある味のお茶を呑みながら、ひとりで夢中になってお菓子を食べてたわ。みんなそれを見て笑ってね、わたしが笑わないでよおって拗ねると、おかみさんが、おいしいものを素直にたんと上がる子だから、かわいらしいと思うだけよって言うの。わたしは拗ねながらまたお菓子をつまむの。そしたらまた、みんなが笑う。わたしも思わず笑ってしまう。ほんとうにたのしい時間だったわ。夢のようなね。
 そのあとでお姉さんが紙袋を持って、わたし、これから配達に行ってくるの。いっしょに来る? って、わたしを誘ってくれた。わたしはうれしくって、もちろん大きくうなずいたわ。そしたらお兄さんも、僕もお供しようかななんて言うから、わたしは、大好きなお姉さんとお兄さんと、三人で散歩できることがうれしくて、わくわくしたわ。お姉さんが手を差し出してくれた。わたしはその手を握った。お兄さんも反対側から手を伸ばしてくれた。わたしはその手を握った。水晶のように美しい夏の石畳の町を、わたしたちは、ゆっくり歩いたわ。わたしをはさんで、いろんな話をした。わたしは自分も話に入れてもらえることがうれしかったけれど、なにより好きだったのが、お兄さんとお姉さんがふたりで交わす会話だった。わたしの知らない、もの柔らかな空気がわたしの頬をなでてとおったわ。そっととおり過ぎてゆくふたりの会話を耳にききながら、わたしは、こんな会話をしている、大人になった自分を想像したりしてみたの。あのいとおしさに満ちたふたりの会話。目線。風に流れる髪。わたしの手を握ってくれたふたりの手の柔らかさ。透けるような肌の色。そのときに見た夏の空。わすれないわ。わたしの憧れだった。
 そのあと、お客さんの家に回るお姉さんと、劇団の町に戻るお兄さんとは、分かれ道で別れたわ。わたしは仕事に回るお姉さんと別れて、お兄さんといっしょに町の下まで下りたの。もう、夕日が淡く色付いていたわ。いつの間にか、わたしたちの影も長くのびた。わたしとお兄さんは手をつないだまま、一段一段、階段を下りて行ったわ。
 ねぇ、きみはあのひとのことが好きかい?
 ふたりきりになると、お兄さんはないしょ話でもするように、そっとわたしに訊いたわ。わたしは、うん、大好きよ。お洋服もつくれるし、お菓子もつくれるし、とってもやさしいひとだものって、元気にこたえたわ。
 そうだね。僕も大好きだよ。
 お兄さんは微笑んだわ。そして、しずかに言った。
 あのひとはいつも僕の着るものをきれいに仕立ててくれる。針の一本、糸の一本にまでこころをこめてくれる。針を持っているときのあのひとの目は真剣だ。僕はね、あの目が好きだよ。実はね――あのひとにはないしょだよ。いつもあの目にキスができたらなって、思ってるんだ。
 キス?
 そう。僕はあの目を尊敬してる。大好きなんだ。
 お兄さんはそう言って、夕日を眺めたわ。いまも目の前に見えるわね。あの青い海が、あのときは明るいオレンジ色の光になっていたの。その上に、夕日が光っていたのよ。お姉さんの瞳を愛する気持ちが、お兄さんの目の中に輝いていたわ。わたしはゆるやかな風の中で、お兄さんといっしょに夕日を見ていた。きれいだったわ。なにもかも色をうしなっていく中で、あのひかりだけはあたたかくこの白い町をてらしていた。そして、みんな、長い影をのばしていたわ。家も木戸も草花も、白い石の階段も、すれちがう町のひとたちも、みんな。あのころのわたしは、ほんとうになんにも知らなかった。そのあと、お姉さんやお兄さんがあんなことになるなんて、思いもしなかった。愛情に満ちたお兄さんのあの目――わたし、いまでもわすれないわ。
 夏休みのあいだ、わたしは毎日のようにあのお店にかよったわ。学校におともだちのいなかったわたしは、あのお店でお姉さんたちと過ごすことがたのしくてしょうがなかった。あっという間に一日が過ぎていったわ。ほんとうにあの九歳の夏は幻なんかじゃなかったのか、わたしが真実に体験したことだったのか、わからなくなるときがあるくらい、たのしかったわ。お姉さんはわたしが来るとかならず一番に出迎えてくれて、いらっしゃい、待ってたわよって、微笑んでくれた。自分のミシンに座らせてくれたり、針を持たせてくれたり、仕事の合間にもわたしの相手をしてくれた。もどかしい手つきで針や糸と葛藤するわたしを、お姉さんはやさしく見守ってくれた。いっしょに手を添えて縫い方を教えてくれたこともあったわ。いつ触れてもあったかい手だった。おどろくほど柔らかかったわ。わたしが見上げると、お姉さんは白い頬におだやかな微笑みを浮かべて、手元を見ながら縫い方を説明してくれていた。胸に垂れた黒髪の毛先がほんとうにきれいだったわ。きれいなひと。ほんとうにきれいなひと。わたしもこんなひとになりたいって、思ったわ。このひとはしずかなひと。どんなひとなの。いつもどんなことを考えているの。きれいな目で、なにを見ているの。白い耳で、なにを聴いているの。黒い髪はどんな風を吸っているの。いつも接しているのに、わたしは、このひとのことをなんにも知らなかった。そして、知りたいと思ったわ。このひとがどんなひとなのか。ずっと見ていたいと思ったわ。気がついたら、お姉さんのことばっかり見ていた。わたし――わたしね、ほんとうに、憧れのひとだったの。このひとを見ているだけで、どきどきしたわ。きっと、おだやかな目の中には、いつもあのひとがいたのね。あのときのわたしにはわからなかったけれど。あのひとを思う気持ちが、お姉さんを、あそこまで澄んだひとにしたんだわ。あんな、水晶のように、消えてしまいそうなほど、きれいなひと。いつまでも、きっとわすれられないわ。わたしの胸の中には、いまでも、あのうつくしいひとが生きているの。いいえ。お姉さんは、死んでなんかいないのよ。ちゃんと生きているからね。ごめんなさい。安心して。
 お姉さんは仕事の休憩中にわたしをお店の裏のベンチに座らせて、青いアイスキャンディーを食べさせてくれた。涼しい影が落ちて、風が渡っていったわ。いつもはお菓子を食べないお姉さんも、その日はわたしとおそろいのアイスキャンディーを持って、並んで食べてくれた。わたしは足が地面に届かなかったから、ぶらぶらと遊ばせながら、青い氷菓子をかじったわ。お姉さんはきちんと座って、遠くを見ながらわたしと同じように食べてた。おだやかな顔をしていたわ。髪がやわらかく揺れてた。見上げた横顔はほんとうにきれいだったわ。さっきからほんとうにきれいだったしか言わないわね、わたし。でも、それしか言葉が浮かばないの。きれいだったわ。ほんとうに。氷菓子を落としそうになりながら食べるわたしに、手皿をしてくれたり、はんかちを膝にかけてくれたり、お母さんのようにやさしくしてくれた。わたしを見て、しあわせそうに笑ってくれたわ。
 おいしい?
 って訊かれたから、わたしは元気よく笑ってうなずいたわ。
 よかった。これ、おかみさんが買ってきてくれたのよ。町の下の駄菓子屋さんで。ソーダーのアイスなんだって。おいしいわね。
 お姉さんはそう言って氷菓子をかじったわ。町の遠くに青い水平線が見えてね、お姉さんは氷菓子をかじるたびにそっちを見るの。
 きれいね、海。
 って、大きく息をつきながらお姉さんは言ったわ。青い水平線の上には眩しいひかりの粒が帯になって輝いているの。きれいだったわ。それを見るお姉さんの目も海の光を映したようにきらきらとひかっていた。
 海の向こうにはどんな町があるのかな。
 お姉さんは、ほんとうに海の向こうに行こうとでもしているかのように、しずかに言ったわ。わたしはすこしおどろいて、
 行ってみたいの? 海の向こう。
 って訊いた。お姉さんは笑って首をふったわ。
 ううん。そういうわけではないのよ。ただね、どんな町があるのかなぁって、思っただけ。わたし、海の向こうなんて行ったことないから。
 行かなくったっていいのよ。海の向こうなんて。
 って、わたしは発作的に立ち上がって、お姉さんにさけんだわ。自分でもびっくりした。お姉さんがほんとうにいなくなってしまいそうな気がして、恐くなったの。急に。お姉さんもおどろいた顔をして、わたしを見たわ。そして、いつものようにやさしく微笑んで、そっとわたしの手を握ってくれた。
 行かないわ。海の向こうになんて。ずっとここにいるわよ、わたし。
 切ない目だったわ。わたしは無性に泣きそうになって、うわずった声で、
 ほんとうに?
 って、訊いた。
 ええ。ほんとうよ。約束するわ。
 ほんとうにほんとうね。
 ほんとうに、ほんとうよ。
 わたしはむきになって念をおしたわ。お姉さんはわたしの手を握ったまま、何度もうなずいて約束してくれた。そのときのお姉さんがどれだけ切ない気持ちだったか、九歳のころのわたしにはわからなかった。ただ、お姉さんがいなくなるかもしれないという寂しさと恐怖が胸に迫ったわ。手に持っていた棒から、氷菓子が落ちた。あ、って、ふたりで言って、地面に落ちた氷菓子を見たわ。あ然となった後、お姉さんがくすくすと笑った。
 落ちちゃったね。
 そう言ってわたしを見るから、わたしもなんだかほっとして、お姉さんといっしょに笑った。
 わたしがつまらない話をしたからね。ごめんなさい。そうだ。おわびに、オレンジのシャーベットをつくってあげる。明日もあそびにおいで。つくって待っているから。食べにいらっしゃい。
 ほんとう?
 うん。ほんとうよ。待ってるから、絶対に来てね。
 わたしはうれしくって、大きくうなずいたわ。ずっとこのままこのひとといっしょに、こどものままで、無邪気にいられると思ってた。でも、時間は流れるものなのね。わたしはいま、あのときのお姉さんと同じ歳になったわ。空の色は、あのときとなにも変わらないのに。わたしはいつの間にか大人になろうとしてる。
 そのあと、わたしはお姉さんと会うことはなかったわ。次の日、約束どおりにお店に行くと、お姉さんはいなかった。お店の中に暗い空気が漂っていたわ。おかみさんは沈んだ顔をして、あすみさんは怒ったような顔をしていた。ふたりともわたしを見ると、無理に笑ったわ。
 お姉さんはいないの?
 ってわたしが訊くと、おかみさんは首を振ったわ。
 ごめんなさいね。いないのよ。
 おかみさんは、無理な笑顔の上にうっすらと涙を浮かべていた。それを見たとき、わたしははっとしたわ。昨日の会話を思い出した。お姉さんはいなくなったのだと思ったわ。海の向こうには行かないと、わたしに約束してくれたけれど、やっぱり行ってしまったのだわと、そう思ったわ。あのときのお姉さんの切ない目を思い出した。水晶のような澄んだ目を思い出したわ。お姉さんはつらかった。だからあんな目をしていた。ほんとうは、ずっと遠くへ行きたかった。誰もいない、知らない町へ行きたかったのだと、そう思ったわ。あのとき、お姉さんは、わたしをきずつけないために、無理をして約束してくれた。そう思って、わたしは胸の上で拳を握ったわ。こうなることは、必然のような気がした。もとから儚いひとだった。いつかほんとうに霞のようになって、わたしの目の前からいなくなってしまうのかもしれない――その淡い恐怖感が、いつもわたしの胸の中にあったような気がしたわ。そして、ほんとうにいなくなってしまった。この町でお姉さんを見ることは二度となくなってしまった。わたしはなにも言えずにおかみさんを見つめていたわ。あすみさんがわたしの肩に手をかけてくれた。
 あなたにあげなくっちゃいけないものがあるのよ。あの子、いなくなるまえに、あなたにつくってあげてたものがあるの。いま、持ってきてあげるわね。
 それは、昨日お姉さんが約束してくれたオレンジのシャーベットだった。あすみさんが持ってきてくれたオレンジ色の澄んだ氷菓子を見て、わたしは泣きそうになったわ。お姉さん、ってさけんで、氷菓子を抱いて、うずくまって、泣き出したかった。シャーベットには手紙がついていて、昨日約束したものです。直接渡してあげられなくってごめんね。食べてください。って、きれいな字で書いてあった。その文字の線の中にまで、あのひとのうつくしさが宿っていたわ。信じられないくらいにきれいだった。わたしはひとりでその澄んだ氷菓子を食べたわ。いつもみんなでおしゃべりしていたテーブルに座って、泣きそうになるのをこらえながら、銀色のスプーンで氷をすくって。つめたかったわ。そして、ちょっとすっぱかった。目をこすりながら食べたあの氷菓子の味はわすれないわ。
 あとからきいた話なのだけれど、お姉さんは、いなくなる前の日、わたしとソーダーの氷菓子を食べたあの日の夜、お兄さんと会って、お別れを言ったのだって。お姉さんは気がついていたのね。お兄さんは劇団の主演役者だけれど、主役の役者には、かならず相手になる女のひとがいるのよ。お兄さんにもそうだった。お姉さんとはちがう性を持った、ひとなつこい、にぎやかなひとだったんだって。お兄さんは、その女優のひととお姉さんと、ふたりのあいだで揺れていた。どちらのことも好きだったんだって。どちらもえらべない。ふたりともに素直な愛情を持っていた。だからあの日の夜、お姉さんにその正直な気持ちを伝えたのよ。お姉さんは全部わかってた。わからないはずがないのよ。あんなに慕っていたひとだもの。嫌でも気がついてしまうわ。お姉さんは黙ったままお兄さんの言うことを最後まできいていた。自分を愛してくれたひとを責めることは、決してできなかった。しずかな風が吹く夜だったんだって。きっとあのきれいな髪が、お兄さんの目の前で揺れてたんでしょうね。そして、次の日の朝、お兄さんは、興行で劇団の町を離れていった。わたしたちのこの丘の町からも。劇団がね、遠くの町に拠点を移して活動をすることになったんだって。それで、お兄さんたちはこの土地を離れることになった。もちろん、女優さんもいっしょにね。お姉さんとお兄さんとは、とっても尊敬しあっているふたりに見えたわ。きっとふたりならしあわせになれるって、わたしは思ってた。お兄さんは、お姉さんの目を好きだと言ったわ。キスをしたいとまで言っていた。でも、それをわたしに言ってくれたときにはもう、ふたりのあいだで揺れていたのね。お兄さんの目も真剣だった。やさしかった。それなのに――ふたりは、いっしょにはならなかったわ。お姉さんか女優のひとか、お兄さんの心がほんとうのこたえを出す前に、お兄さんは、女優のひとといっしょに行ってしまった。そして、お姉さんはいなくなってしまった。
 わたしね、思うの。あれから十年がたったけれど、お姉さんはきっと、どこか遠くの町で、しあわせになってる。お兄さんとはちがう別の人といっしょになって、いまごろ、やさしいお母さんになってる。そんな気がするの。この町ではつらい経験をしたかもしれないけれど、それだけが人生のすべてではないもの。きっとしあわせになってくれてるって、思ってる。
 長い話になったわね。ごめんなさい。聞き飽きた? 今日は、お散歩に誘ってくれてありがとう。そろそろお店に戻らなくっちゃ。あすみさんがふくれっ面しちゃうわ。わたし、お姉さんのように上手にお裁縫はできないけれど、お姉さんの分までがんばらなくっちゃいけない。仕事ではあんまり針は持たなくっていいのだけれど。
 だれかと手をつないでお散歩だなんて、こどものころ以来ね。ありがとう。ほんとうに、たのしい時間だったわ。またいっしょに、お散歩しましょうね。

2011/04/19(Tue)22:53:11 公開 / エテナ
■この作品の著作権はエテナさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ごぶさたしています。エテナです。
1年4ヶ月ぶりくらいの短編でした。
もうすっかり小説からは離れた生活を送っていましたが、今回たまたま書きたい作品ができましたので。
もう小説を書く時間も体力もなくって、ほとんどこちらにおうかがいすることもないと思いますが、どこかでエテナの名前をお見かけしましたら、またよろしくしてやってくださいませ。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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