『紅姫(修正・編集版2)』 ... ジャンル:ファンタジー 異世界
作者:美紅                

     あらすじ・作品紹介
紅の瞳を持つ、物の怪の中の姫の旅。剣の乱梅で、人の世に蔓延る物の怪を斬り倒して行く。

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 プロローグ

 私は物の怪。
 皆、私を避ける。
 私は何も悪いことしてないのに。
 私は思い立つ。
 旅に出よう。
 乱梅<みだれうめ>と共に。

 第一章 始まりの詩

 ちゅん、ちゅん―――
 鳥が囀る<さえずる>声と共に相馬 莉緒<そうま りお>は目を覚ました。
 辺りを見回すと殺風景な部屋で。
 唯一分かったのは、ここが自分の部屋ではないということ。
「ここは、何処?」
 莉緒は呟いた。
「ようやく、お目覚めになりましたか」
 ほっ、としたような声が聞こえた。
「誰だ!?」
 莉緒は声のした方を向く。
「怪しいものでは御座いませんわ。私は有賀 梢枝<ありが こずえ>と申します」
 微笑と共に自己紹介をして来る女。
 だが、莉緒は、梢枝という女から発する香りが胸糞悪く感じられて名前を呼ぶ気にもなれなかった。
 一応、莉緒も軽く自己紹介をし、早速、率直に聞いた。
「何者だ……」
 そう問うと、女は今まで浮かべていた笑みを消し、真剣な面持ちで逆に問い返してきた。
「それはこちらのお言葉ですわ。いきなり空から降ってきたんですもの」
 あ、それより……。と、いきなり風呂敷をあさり始めた。
「これが、貴女の近くに落ちてい「貴様ッ!!」え……?」
 莉緒は女が持っているものに驚愕し、慌てて奪った。
「この剣は貴様が容易に触れていい代物ではない!!!」
 女は突然、莉緒が怒ったことに驚いたらしく、ただ呆然とこちらを見つめていた。
「……世話になったの。女」
 莉緒は剣を手にし、出て行こうとした。
「ちょっとお待ちになって」
「……なんじゃ?」
 莉緒は女が引きとめたことに驚きつつも、振り向いた。
「また、来て下さいませ」
「……。気が向いたらの」
 背後で、女が微笑む気配がした。
 ―――人間の女も悪くないな。
 莉緒は、ふと思った。

 村

「……やはり、人の世はよく分からぬ」
 莉緒は、両の手に持たされた食べ物を戸惑いが混じった目で見た。
 持っていた巾着の中にも色々と詰め込まれて、軽かった荷物はずっしりと重みを増した。
「のう、乱梅」
 寂しげに腰に据えられた細身の剣を見やった。
 甘味処とやらでもらった団子を頬張りながら、道を歩く。
 そんな静かな時間も、ある声によって終焉を迎えた。
「きゃぁあああああああっ!!」
 絹を裂くような女の叫び。
「この気配は……オニかの」
 乱梅がオニに反応するかのように煌々と光る。
「参るぞ、乱梅」
 悲鳴の元へ走った。

 村中央

<ギシャアアアアッ!>
 オニの姿が見えた瞬間、莉緒の顔にさっ、と緊張が走った。
「今回の獲物は随分と大物じゃな」
 そう行って口元を歪める。
「やはり、あやつのせいかの、人の世が乱れたのも」
<ギャアッ>
 問答無用、とばかりに爪を振り下ろすオニ。
 今まで見ていた野次馬もこれには焦ったのか、逃げろ!と口々に叫ぶ。
ダンッ!!!
<グガァアアアアア>
 肉を切断した音と、この世のモノとは思えない、断末魔の叫び。
「逃げるのは、ぬしらじゃ。見物人」
 莉緒は凛、と言い放つ。
「早く、逃げろ。……でなければ」
 オニは怒りのまま、大きく口を開け始めた。
「オニに喰われるぞ」
 ひっ、と息を呑む音。
 その後に人は皆散っていった。
「……それでよい」
 莉緒は真っ直ぐにオニを見据えて、剣を一閃。
<ゴブッ>
 剣の軌跡はオニに命中していた。
 オニの体は見事に真っ二つになっていた。
「その程度か。手ごたえもない」
 冷徹な瞳をオニに向けて、その場を去った。

一時保存

2010/04/03(Sat)14:16:17 公開 / 美紅
■この作品の著作権は美紅さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どうも、美紅です。
前作(もう削除してしまいましたが。)の恋愛モノとは違う小説を書いてみたくて、
ついに書いてしまいました。
思いついたものを詰め込んだ結果がこれですorz
今回は相馬 莉緒と乱梅という剣の旅です。
まぁ、彼女等については、物語が進むにつれて、分かってくると思います。
第二話についてはとりあえず、原稿用紙10枚以上書かなければなりませんから。
とりあえず今回は一時保存ということで。
感想を下さったら嬉しいです。ハイ。

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