『酩酊少女』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:模造の冠を被ったお犬さま
あらすじ・作品紹介
みくちゃんという蝶になった人間のおはなしです。
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酩酊少女
くらふくらふ、くらふくらふ。
わたしは蝶。わたしは花。花から花へ、おいしい蜜を集めましょ。大きな大きな花園の、曲がりくねった道を往き、いちばん奥のつきあたり、名知らぬちいさな葉の翳に、忌まれる青虫がおりました。大きなからだにちいさな足がつらなって、もぞもぞ醜く這いずります。むかしむかしのおはなしです。
くらふくらふ、くらふくらふ。
やあきれい。やあきれい。まあフフ、ありがとう。翅をはたはたはためかせ、ひときわきれいな花たちの、一座にそっとおじゃまして、とってもたのしいお茶会を、ごちそう花蜜もらいましょ。黄金色の太陽照らすまばゆいばかりのテーブルで、ゆったりのんびりくつろぎます。しあわせいっぱいのひとときです。
くらふくらふ、くらふくらふ。
ねえみくちゃん、そんなに太っててかわいそう。私がダイエットに協力してあげるね。もうやめて、もうわたしに関わらないで。お弁当をこんなに食べたらまた太っちゃう。私がカロリーを考えてあげる。ぼとぼとぼとぐしゃりぐに。ヘルシーな野菜を食べなきゃダメよ。ほら食べて、口を開けて。あ、あ、あ、あ、あ、あ。見て、ホントに草食べてる信じらんねえ。いいんじゃないの、虫なんだから。
くらふくらふ、くらふくらふ。
夜に浮かぶわたしは蝶? 私は蛾? 見知った鋭い刃の腹に、意思をぎらぎらちらつかせ、恐怖を照らす月明かり、とってもたのしい晩餐を。大きな大きな我が物顔の、ひときわ卑しい人間の、一団にそっとはびこった、曲がりに曲がった心根の、咲かない花がありました。
くらふくらふ、くらふくらふ。
ねえ、あなた。まだつぼみなんてかわいそう。わたしがきれいに咲かせてあげるね。
くらふくらふ、くらふくらふ、くは、くき。
2009/10/31(Sat)04:06:46 公開 /
模造の冠を被ったお犬さま
http://clown-crown.seesaa.net/
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模造の冠を被ったお犬さまさん
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■作者からのメッセージ
わからないものばっかりでは面白くないと思うので、わかりやすいものを書きました。
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