『星屑の欠片』 ... ジャンル:ファンタジー 異世界
作者:ひめねこ                

     あらすじ・作品紹介
紗那は、両親の仲が悪く、いつも一人だった。そこに、星屑の欠片というものが舞い降りる。宇宙を消滅させないために、なんとしてでも銀河の球を完成させる。五人の戦士は、旅立った。

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一章
飛び交う皿の割れる音。母の悲鳴。父の怒鳴り声。もう止めて、そう叫びたくなる気持ちを必死に抑えて、紗那(しゃな)は二階の自分の部屋へと駆け上がった。そこにまで怒鳴り声や悲鳴は聞こえてくる。唯一そんな声が聞こえない場所へ、紗那は逃げ込む。自分の部屋の外にある、小さくて今にも壊れそうな錆びれたベランダ。
――なんで私だけ……
紗那は、いつもベランダで、ひっそりと涙を流す。その涙を、一月の冷たい風が吹き飛ばして、ひっそりと屋根をぬらした。クラスメートは、笑いながら母親の小言のことへの文句を話す。紗那はそんな友達の姿をみて、心の中で思う。「私よりはましよ」と。ふと、顔に冷たいものが触れた気がした。雪だ。今年は余り降らなかったから、珍しい、そう思いながら、紗那はそっと、雪を手に載せた。たちまち、紗那の手の中の雪は水となり、零れ落ちた。そんな景色を眺めていて、ふと、雪とは違うきらめきを発見した。恐る恐る、手を差し伸べる。手に乗ったそれは、虹色に輝く結晶のようなものだった。
何だろう?……何かの、欠片?
紗那は手の上の物体をまじまじと見つめた。見たこともない不思議なものに、興味がわいてきた。その時。その物体の放つ光が、急激に強くなった。紗那は目を開けていられなくなって、目を閉じた。瞼の内側からも分かるような強い光が、少しずつ弱まっていくのが分かる。恐る恐る、目を開けてみた。そこには、綺麗な男性がいた。名式はない。外国にも、こんな綺麗な人はいるのだろうか。すると、その男が、紗那に話しかける。
「君、名前は?」
「し……紗那。彩島紗那です」
紗那は、恐る恐るこたえる。思いもよらない出来事に、ほぼ放心状態。しかも、よく見るとその男は宙に浮いているではないか! 男に話しかけられて、紗那は我に返った。
「僕はクリストファー。クリス、とよんで下さい。きっと状況を確認するのに時間がかかるでしょう。少し力を抜いてみてください」
紗那は、クリストファーと名乗った男の言うとおり、体の力を抜いた。すると、クリストファーは紗那の小さな体を抱えあげたのだ。そして、そのままふわりと浮かび上がり、紗那を家の屋根の上へとおろした。紗那はもう、何が起こっているとかわけがわからなく、ただただ唖然としているのみだった。
「僕は、さっきのとおり空を飛べる。君も、その欠片を持っていれば、飛ぶことが出来るんだ」
紗那は、まだ手で握っていた不思議な欠片に目を移す。いまだに、七色の光は消えていなかった。そうして、クリストファーに目を移す。
「君は、選ばれた。その欠片に。何らかの不幸を感じているものの悲しみや憎しみの力が、欠片を呼び寄せるんだ。その欠片は、「星屑の欠片」っていう。星屑の欠片は、五つ集まって、銀河の球というものになるんだ。100年にいちど、銀河の球は割れる。その欠片が地上に降り立って、欠片を受け取ったものが月の都へと行くんだ。そこで五人の戦士が、その欠片を雲の塔まで持っていくんだ。そこで球を作る。銀河の球がないと、宇宙は消滅してしまうんだ。君らは、皆の運命を背負うんだよ」
わけの分からない話だった。でもなぜか紗那には、納得できた。嘘だとは思えなかった。現に自分の持っている星屑の欠片と、クリストファーが宙に浮くのを見たからかもしてない。
「それで、私は?」
「いまから僕と月の都へ向かう。君が月の都に言っている間は、君という存在はなかったことになるから大丈夫だ。モチロン、戻れば元通りさ。月の都でも、頼れる用心棒たちが君たちについているし、星屑の欠片を持っていれば、魔法が使えるから大丈夫。質問は、後で受け付けるさ。心の準備は?」
紗那は、戸惑いながら頷いた。
「よし、いくよ!」
すると、クリストファーと紗那の体が、月の光に包まれる。紗那は、まぶしくて瞳を閉じた。
一章 終了

二章
光の強さが、弱まる感じ。少しずつ、自分の体が下がっていく。靴の底に、地面の感覚がしっかりとして、紗那はやっと目を開けた。
「……ぁ」
そこには、月光に照らされた月の都があった。
――きれ……ぃ
月光を受けて光を返す白の岩が、無数にも散らばる。砂も月明かりに照らされ、それぞれが異なった輝きを見せる。空は紺から空色までの綺麗なグラデーションになっていて、月の都の人のブロンドやプラチナブロンドを、月光が輝かせる。その風景はどんな絵画でも描き表すことが出来ないだろう。それを見て人が思う感想は一つしかない。
「綺麗だろう。ここが月の都さ」
「あの……クリス、さん。私は、どこへ行けばいいんですか?」
やっと、言葉が出てきた。クリストファーはこちらを向いて、微笑を浮かべると、紗那の手をとって再び宙に浮いた。
「まず、君の仲間と合流しよう。星屑の欠片をもった戦士たちだ。ついておいで」
すると、紗那の手を離す。紗那は、一瞬目を強く瞑った。
落ち……ない?
「言っただろう? 星屑の欠片は、君に魔力を与える、と」
紗那はまだ手に握っている星屑の欠片に目を移す。すると、欠片は青く光っている。
「魔法を使う時は、系統によっては色が変わるんだ。絶対、離さないようにね。いくよ!」
クリストファーは前に進んでいく。紗那は何もしなくても、体が動いていった。どうやら、星屑の欠片が紗那を動かしているらしい。そのままクリストファーについていくと、白い岩でできた、大きな建物が見えた。その前にクリストファーが着地すると、紗那も続いて着地した。それと同時に、星屑の欠片ももとの七色の光を帯びる。
「ここが、君たちを集める施設さ。さ、入った入った」
紗那がどこが扉かを迷っていると、後ろからクリストファーが微笑みながら近づいてきた。「こうするんだよ」と紗那の星屑の欠片を白岩に当てると、白岩は光に包まれ、やがて扉になった。紗那は恐る恐る、その扉を引いた。すると、四人の少女、三人の少年、月の都の人が何人かいた。紗那がじっとしていると、月の都の女性が、紗那に気づいて近づいてきた。フードつきの白いワンピースに、黒のカーディガンを羽織った、月の都の服装。フードの隙間から見える長いカールしたブロンドに、瑠璃色の目をした、美しい女性。
「あなたが最後の少女戦士ね。私はティファエル。気軽にテファとよんでね」
「少女……戦士?」
「説明不足だったかな」
クリストファーが後ろから顔を出す。
「星屑の欠片を手にするものは、限られているんだ。まぐ、不幸な人間であること、幸せな人間であると、星屑の欠片の魔力に飲み込まれてしまうからね。あと、女であること。子供であること。この二つはまだどうしてかは分からない。それを研究するのも、僕たちの仕事の一つさ。さぁ紗那、皆に挨拶しておいで」
クリストファーは紗那の背中をそっと押した。紗那は緊張しながらも、少女戦士の所へとむかった。
「あ、あのぉ……こんにちは!」
四人の目線が紗那へと移る。しばらく沈黙したなか、童顔の少女が微笑みながら紗那に近寄った。
「こんにちは。私、菜花(なのか)。よろしくね」
それをきっかけに、他の少女たちも次々に紗那に話しかける。
「私は希(のぞみ)っていいます。よろしく」希は、カールした栗色の髪をして、灰色の目をしている、美人な少女。
「あたしは笙子(しょうこ)だ! よろしくな」笙子はショートの黒髪に、真っ黒な瞳の、元気そうな少女。
「……風音(かざね)」風音は、ストレートの灰色の髪。そして、不思議なフインキを放つ、水色の目。
「私、紗那です。よろしく……」
紗那は、久しぶりに友達が出来て、嬉しかった。クリストファーが、三人の少年を連れてきた。
「君たちの用心棒をしてくれる少年たちだ。女の子だけだと、大変だからな。右から、ヴィン、ロジャー、ハリーだ」
こうして、戦士たちは合流した。
二章 終了









2009/01/24(Sat)14:00:35 公開 / ひめねこ
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■作者からのメッセージ
久しぶりに、異世界ファンタジーを書いて見ました。
下手な作品ですが、がんばって書いてみたので、みなさん、どうか暇があれば読んでやってください。
個人的に、紗那がお気に入りです。

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