『結末』 ... ジャンル:ショート*2 リアル・現代
作者:優                

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万引き。
初めてした時は恐かったけど、今ではもう一回で10冊以上の漫画が盗めます。
一回で2万以上の額が盗めます。
捕まったことはありません。だって私達はプロですから。
そう思ってた。捕まらない自分達に誇りを持っていた。けれどそれは間違いだったのかもしれません。
けれど…そんな間違いは認めたくありません。

1月21日。
捕まりました…

店を出たとき急におばさんにぶつかられスイマセンと謝り私達はその場を立ち去ろうとしたけれど動けれなかった。おばさんに腕を捕まれその場から動く事が出来なかった。
その瞬間何なのかがわかる。友達も気付き逃げようとする。けれど友達のもう一人いたおばさんに捕まえられ持っていた鞄を捕られ背中を捕まれ一緒に来てくださいと店内に入って行く。
私も友達と同じ様に鞄を捕られ背中を捕まれ友達の後につづき店内に入る。
店のサービスカウンターで立ち止まり1人のおばさんが担当を出してと店員さんに言うと店員さんは少し私達の方を睨みどこかに電話をかける。
心臓が凄いスピードで動くのがわかる。立っているのもやっとなほど目眩がする。くるくると頭の中に今起きている真実が回るが頭はそれを受け止めようとはせずずっとくるくると頭の中を回っていく。
やっと電話をしていた先の人が来てその人の案内する先に行く。
店内の奥に入ると暖房などは利いてなく出している足に冷たい凍えるような風が吹き付ける。
まるで心臓をなだめるように、今にも破裂しそうな頭を静めるように。

奥の部屋で待っていると警察が来て大声で怒鳴りながらこの紙に名前と住所あと自分が盗んだ物を書けと命令をする。
少しカタカタと震える手で出されたボールペンではなく自分の筆箱から出したボールペンで言われた所に言われた通りに書いていく。
震える手とは違いまっすぐと落ち着いた字に自分も少し驚きを隠せないが、そんな字を見ていると少しづつだが落ち着いてくる。
その後盗んだ物をナップから出しその物と一緒に写真を撮らされる。
そんな作業をしている間に頭はそれを受け入れてすっかり落ち着きを取り戻し写真を撮る時になると本当に捕まった人なんだろうか?と疑うほどの落ち着いた表情で写真に写る。

その作業が済むと今度はパトカーに乗り警察署に向かう。
行く途中友達の顔を見るととても青ざめ手が震えている。そんな友達の手に自分の手を重ね前に座っている警察に聞こえないように友達に言葉を託す。
これが助けてもらった私に出来る精一杯の事。

「なんでやったんだ。」
テレビでよく聞く台詞を警察官が言う。
「…当ててみて」
とぼけたようにそう言うと警察官の顔が怒りに染まっていくのがわかる。
けれどそんな警察官を置いといて携帯をいじっていると警察官に取り上げられた。
まあ良いや。もう全部書けたんだから。
取り上げられた携帯に少し目をやってそのまま下を向く。
「一緒にいた友達はお前を置いて逃げようとしたんだってな。友情のかけらもないな」
ずっと落ち着いた表情でいる私に少し腹を立てたのか鼻で笑いながらそう警察官が呟く
「当たり前だよ。約束をしているから」
私が捕まったら彼方は全速力でその場を逃げて私が彼方の分の罪を背負うから。
一緒に万引きを始めた頃にした約束
彼方が捕まったら私は彼方を救って囮になるからその間に絶対逃げて。
はたから聞けばありえない…理不尽な約束。けれど私と友達の間では普通の約束。
まぁそう思っているのは私だけかもしれないが…
「約束か? 自分を見捨てて逃げろという約束か。」
警察官は少し呆れたように、驚いたようにそう言い頭を掻いて困ったような表情を見せる。
「…まあ良い少し待ってろ。喉が渇いただろう水を取ってくるから」
そう言ってドアを開けたままにして部屋を出て行く。
出て行ったのを確認して取られた携帯に手を伸ばし書いていた最後の文にさようならと付けたしそのままの画面のままでフタを閉じ元の位置に置き目を閉じ友達に救ってもらったあの時を思い出す。

虐められていた私に手を差し伸べてきてくれた彼方は学校ではかなりの不良と有名だったけど、全然違った。
正反対でとても優しかった。この世界に引きずり込んだのは私だった。
脅されて。困っていた私を救う為に一緒に万引きをしてくれました。
そんな優しさは間違っているのかもしれないけれど…そんな事関係ない。だってこれが私はとても嬉しかったから。
それからずっと1年間近く万引きをやっていて次第に一緒に万引きをする仲間ができ、友達といえるのだろうか? そんな疑問もあるが一応友達が出来た。
本当は自殺をするつもりだったが彼方に手を差し伸べてもらったから1年間近く寿命が延びた。
だからね…私が死ぬ時は彼方の為に使わせてもらうって決めてたの。

目を開けてポケットの中からいつも持ち歩いているカッターナイフを取り出し決心をして喉に当てている時にコップを持った警察官が戻ってきた。
「         」
何かを言いながら私を止めに入ろうとしたが何も聞こえず、止められる前にそのままカッターナイフを首に突き刺す。
痛い痛い痛い。それは当たり前と思いながらどんどんと弱っていく力で必死に奥へ奥へと押していく。
警察官はその私手を止め傍にあった布で傷口を押さえながら大声で人を呼ぶ。
けれど…もう間に合わないだろう。
意識が薄れていく。血が抜けていくのがわかる。
…あのね携帯に遺書を書いたの。
悪いのは全部私だから、友達を放してあげて。
そう言いたいのに言えない。
そのまま暗闇の中に意識が埋まっていく。

2008/04/25(Fri)19:13:36 公開 /
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■作者からのメッセージ
4回目なのに・・・全然成長をしていない自分が憎いです。
まだまだ下手なのでアドバイスお願いします。

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