『RUNE』 ... ジャンル:異世界 ファンタジー
作者:焔                

     あらすじ・作品紹介
かつて、魔道の力が失われる程の大戦があった。魔術の才をもつ者は月の一族と呼ばれた。月の一族は自分達の行方を暗ました。現在では武器に使う騎士魔法が主流となった。そして、1つの伝説が残った。「邪神が再び姿を見せるとき、月の一族が現れ、火、水、雷、風、土、氷、光、闇の8つの精霊を呼び覚まし、邪神を封ずる」

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 第一話 ハジマリ

 1000年前――
 大地は赤黒い…、今でも、魔法同士がぶつかり合う衝撃で木々は揺れ、剣同士の当たる金属音は耳に響く。
「はぁ…、はぁ…。」
 戦士は疲れ、魔術師は魔力を無くすが、戦いは終らい。全ての物事を起こした邪神が倒れていない。
「おらぁぁぁ!」
 戦士は束になって、相手に飛び掛る。相手も負けずと飛び掛る。
「……、フレイム!」
 魔術師は呪文を唱え、各々の持つ魔術を使い、見方のサポートや敵への攻撃をしている。
「はぁ…はぁ…。」
 幾人かの戦士と魔術師は邪神の元に辿り着いた。そこは邪悪な何かがある祭壇だ。
「ククク…、雑魚が群がらないでくださいな?」
「レディオス! 邪神メフィステレスの力で何をする!?」
 束の中の戦士が1人叫んだ。
「関係ないでしょう! 雑魚風情!」
 レディオスと呼ばれた男は剣を抜くと、剣の切っ先が青白く光る。
「散れ!」
 騎士魔法と呼ばれる武器に魔法をかけて、遠距離攻撃や近距離攻撃の威力を上げる魔法だ。
「うぁぁぁぁ!!」
 何人もの戦士は青白い衝撃で吹き飛ぶ。
 しかし、煙の向こうに1人の老人が立っている。
「道を間違えたかのぅ…レディオス…」
「おやおや、何用ですかな? お師匠?」
「……」
「沈黙ですか…」
 レディオスは苛立っているようだった。
「ふぉふぉ…、年貢の納め時じゃ。喰らうがよい! ブレイク・ア・ロゥ!」
 蒼い光が老人の指先から出る。
「…! 黙っていたのではなく、唱えていたのか…、クソがぁ!」
 蒼い光と共に、レディオスの姿は跡形もなくなくなっていた。


 それから1000年――
「へへ! 今日もお宝頂き!」
 16、7歳程の少年は洞窟の様な場所で宝石を2つ、お手玉している。
「ルビーとエメラルドか! 高く売れるぜ〜!!」
 少年は2つの宝石を持ち、自分の背丈の3分の2程の大剣を腰の鞘に収め、都市へと出かけた。 少年の名前はラルド。
 よく言えば盗賊、悪く言えばコソ泥。
 そして、ラルドは洞窟を出て、林道を抜け、目の前にある大都市ディバウレンの宝石屋へと足を運んでいる。

「う〜〜ん…状態が良いな、100000Gでどうだ?」
「乗った!」
 ラルドは薄暗い部屋の机を一叩きし、1000Gという大金を受け取る。
 この世界の通貨は一番下が、G(ゴールド)だ。1G〜で、10000Gはかなりの大金だ。
「へへっ! 酒場でも行くかな!」
 宝石屋の目の前には酒場が在る。
 扉を開けると、鈴の音が聞こえ、マスターが声をかける。
 そして、ラルドはカウンターから少し離れた席に座る。
「おっ! ラルド! また金が入ったのか?」
「まぁな! ブドウ酒を1瓶!」
 500Gの金貨を袋から取り出し、カウンターに投げると、マスターはそれを受け取って、変わりに100Gの硬貨を4つ投げる。
 そして、ラルドがそれを受け取ると、酒が運ばれてきた。
「ん? 見ない顔だな…、新入りか?」
「はい…、ルナと言います。」
 綺麗な、黄色と白の混ざったような、言い表せない、色のした長い髪に、美しい顔。
 ラルドは気に入ったと言わんばかりにニヤッと笑う。
「ルナはな、魔術師の血を引いてるんだ。魔法も使えるんだぜ!」
「おいおい、マスター、白昼堂々そんな事をいっていいのかよ…」
「おい! そいつは見逃せねー。」
 奥に座っていた、銀色の髪の男が黒いスーツを着て、大きな剣を持ち、カウンターに寄ってくる。
「ホラ…何か来たぞ…?」
「おい! 今、ルナって名前で魔術師っつったよな?」
「お客さん? おれが何か?」
「俺はそいつを連れてくるようにアーク様に言われてる。とっととそいつをよこせ!」
「アーク!? あの組織か!?」
「マスター、あの組織って何だよ!?」
 ラルドはルナの手を持って言う。
「暗殺や殺しの任務を引き受ける、紅牙カンパニーの犬だ!」
 マスターはカウンターから顔を覗かせてて叫ぶ。
「犬じゃねぇ!」
 男は剣を一振りする。
 マスターはしゃがんでかわしたが、後ろの酒瓶は真っ二つに割れ、中身が出ている。
「おい! チビ! その女をよこせ!」
「何故だ!?」
「俺達にはその古代の魔術師デルデントの血を引き、月の一族の血を引く娘、ルナを探してんだ! つまり…、」
「この娘の事か?」
「正解だ!」
 男は剣をラルドに垂直に振り下ろす。
 しかし、ラルドには当たらなかった。
 黒い鎧の男が剣で防いだのだ。
「おい! その娘を連れて逃げろ! 少年!」
「わ…わかった! おっさん!」
 ラルドはルナを連れて、酒場を出て、都市の外に出て、林道に入り、洞窟へ向かう。
「てめぇ…その鎧、マスターロウのブレイドか!?
「ご名答! ルーインの第一幹部ルビィティ!」
「ちっ!」
 ルビィティは一旦、飛び上がり、そのままジャンプ斬りを喰らわそうとする。
 剣が当たる瞬間、剣でそれを弾き飛ばす。
「おい! テメェに免じて、この場はひいてやる!」
 それだけ言うと、ルビィティは消え去る。

「ここまで来れば大丈夫だろう。」
 丁度、酒場ではルビィティが去った後、ラルドとルナも洞窟に着いた。
「ありがとうございます。」
「こんな可愛い娘をほっとけねーかんな!」
 ラルドは親指を見せる。
「なんで、ルナはアンナや奴らに追われてるんだ?」
「…、ラルドさん…アナタにはお話しておきます。私は古代の大魔導師と古代文明の月の一族のハーフです。アイツ達は邪神を復活させようと、私から方法を聞きだそうとしているのです。もちろん、話さなければ、私を使って、邪神の封印を解くでしょう。」
「へぇ…面白そうだな! 旅、すんのか?」
「はい…、ここから南東に炎の精霊イフリートの眠っている洞窟があるので、そこに。」
 薄暗い洞窟には深刻な声が響く。
「俺も行く…。」
「えっ…?」
「面白そうだからな! 俺も行くぜ!」
 ラルドはニッコリ笑う。
「ならば、私も同行しよう。」
「ん? あん時のおっさん! どうしてココが?」
 すると、ラルドの方から、妖精が飛び出した。
「私の相棒、エルフィアだ。姿を消して、相手に憑いて、私が追跡できる魔力を放ってくれる。」
「名前は? おっさん。」
「マスターロウのブレイドだ。」
 ラルドの顔が青ざめる。
 なんせ、ラルドの職業は怪盗(泥棒)だからだ。
「君、ラルド…、噂の宝石ハンターだね? この旅で成功をおさめれば、罪は免除してやる」
「ホントか!?」
 ブレイドは顔を上下にふる。
「皆さんに迷惑はかけられません!」
「ルナさん…、これは貴女を私達が護衛するのです。私も、実は月の一族の血を細々と受け継いでましてね…、純血ではないですが…、しかし、何か嫌な予感がするのです」
「…ありがとうございます!」
 ルナは深々と一礼する。
「目的地は?」
「…ここから一番近い砂漠の国アルデバランに行きます。」
 アルデバラン…国が砂漠化した、砂の国だ。
「なら、馬を揃えよう」
 ブレイドが言うと、ラルドはスグに手を上げる。
「名案だな! 店に行こう。」
 3人は再び、都市へと足を運ぶ事にした。

「一番、体力と足のある馬を3匹。」
 馬を扱う専門店『馬々ショップ』(変な名前だ)で合計1200Gで最高の馬を3匹買った。1200Gなど、今のラルドには大した損害にはならないが、この場はブレイドが支払ってくれた。
 馬に乗り、林道とは逆方向の門を抜け、砂漠の方向へと馬を走らせる。
「さぁ…行こう!」
 3人は馬を思い切り走らせた。

2008/02/07(Thu)20:46:31 公開 /
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