『真夜中のストーリー』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:修羅場                

123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
真夜中のおもちゃ工場、山積みのガラクタの上で動き出したブリキ男。
今日はいつもよりなぜかご機嫌。
ショベルカーは訊ねました。
「何かいいことでもあったの?」
男は笑って言いました。
「実はこれからデートなんだ」

プロペラと針金で出来た花束のプレゼントは3日がかりの自信作。
ディリリパッパ、ダリダラッタ
彼女が僕を待っている。
背中のネジ巻きなおして早くここを抜け出そう。

「そこのおまえ!」
と呼び止められたブリキ男。
声の主はブリキポリス、最新式ソーラーペット『お出かけワンコ』も一緒だ。
「こんな夜更けに何をしてる!?外出は禁止のはずだ!!」
急いでんのにネホリハホリ、長い取調べを受ける。
おまけにワンコに追いかけられて背中のネジ食べられた。
バリバリ!ムシャムシャ! 大ピンチ!

ディリリパッパ、ダリダラッタ
何とか奴等を巻いたけど、時間はもう巻き戻せない!
さぁ彼女の元へ急ごう!

 *

どんどん意識がもうろうとしてきた。
その霧のむこうに愛しい君が待ってる、花束を君に手渡した。
そして僕はそっとキスした。
喜びに吹かれまわる心のプロペラ。

ディリリパッパ、ダリダラっ―……世界が止まったように思えた。
体がどうにも動かない。
ついにネジが切れたみたい……。

…心配は要らないさ、君のキスで僕は元どおり……。
トラブルも全部帳消し。はじめからまたやり直し!

ディリリパッパ、ダリダラッタ
おもちゃ工場を抜け出そう。
今度は遅れないように誰にも見つからないように。
そして君にたどり着いたなら一緒にワルツを踊るんだ。
あぁ、なんて素敵なんだ。
あぁ、なんて幸せなんだ。

……そうだったらいいのにと、眠りにつくブリキ男。
心だけ巻き戻して、彼女を想いつづける……。

2007/08/12(Sun)13:13:20 公開 / 修羅場
■この作品の著作権は修羅場さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。