『俺とお前でまたゲーム』 ... ジャンル:リアル・現代 恋愛小説
作者:竹助                

     あらすじ・作品紹介
ヒマでヒマで仕方ない二人がいる。二人は後戻りできないゲームに足を突っ込む。好きな人を手に入れたい気持ちをどうアピールする?どうやったら手に入れられるのか必死に考える二人。お互いの進行状況が気になる二人。そんな物語です。

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「ふざけんな。」
「ふざけてねぇよ。」
「笑えねぇな。」
「いや、別に笑わせようとはしてないし。」

俺等は屋上でふざけていた。青い空の下でふざけていた。
いつもいつも俺等は絡んでいて学校公認の友情を育んでいたのかもしれない。

「なぁ。お前佐藤のこと好きだろ。」
「なっ…お前こそ山田好きだろうが。」
「ばれた?」
「ばれるわな。そりゃ。」


この二人はココ桜ヶ丘学園の生徒,佐久間春彦(さくまはるひこ)と北村孝祐(きたむらこうすけ)だ。
ごく一般的で一段と顔がいいわけでもなければ、スタイルが言い訳でもなく,本当にいたって普通の高校生だ。
その二人がありがちな恋愛ネタを繰り広げていた。佐藤と山田もそんなに可愛すぎるわけでもない。
ということはこの二人の思考自体が一般的ということだろうか。
いまどきそんな男子も珍しい。
しかしながら二人とも友好的でなかなかクラスの皆からも高感度は高いようだ。

「佐藤って可愛いんだよ。なんかこう…癒し系?見てるだけで和むって言うかなぁ〜。」
「ふーん。いや、山田も負けないな。気が強くて活発で正に俺好みだな。」
「この暑苦しいドMめ。」
「うるせぇ。鬼畜ハイパーのサドが。」

好きな奴の自慢話をする春彦と孝祐。とりあえずその彼女をモノにしてから言えというものだ。
春彦は佐藤という大人しい子を好いている。
孝祐は山田のような活発で明るい子を好いているのだ。
そして、今は授業中なのだ。この二人は堂々とサボっている。
自由奔放で何にも縛られないのがこの二人なのだ。
一風変わったこの二人を唯一縛るのこそまでも二人なのだ。

春彦は孝祐を縛っている。
孝祐は春彦を縛っている。

だからこそこの二人は中学からの友情を築き上げているのだとお互いに感じ取っている。
そしてこの二人はありがちながらも後戻りできないゲームに足を踏み入れる。

「なぁなぁ孝祐。どうすんだよ。本当にすんのか?」
「辞めてもいいけど、もうネタ切れだぜ?」
「ネタ切れは痛いな…じゃぁするか。」
「乗った。」

こいつらのゲーム。それは…

「ルール…覚えてるか春彦?」
「任せろ。お前と俺の二人で…」
「「どっちが好みの女を先にモノにできるか。」」
「楽しみだわな孝祐。」
「楽しみだわよ春彦。」
「キモい。」
「すんません。」

ゲームは宣言した今から。アピールの仕方も、スキンシップも自分次第。期限も途中経過も無し。
とにかくモノにした方の勝ち。
二人は立ち上がった。そして出口まで歩いていく。
階段を下り終えた。廊下に足がついた。
さぁ今から、
ゲームスタートだ。


一日目 朝
春彦の章

俺はこんな感じのゲームは孝祐と結構やったけど…えぇと…5勝5敗か。全くの互角だった…。
今回は早く先手を取るつもりで行こううん。
ココで負けたらペースを取られそうで怖いぞ…。
まず、佐藤に挨拶からだ。一言もしゃべったことねぇし。
おはよう…おはよう…よし。

…お。いたいた。よし。下駄箱に近づいた時さりげなく隣に言って
って…えぇぇぇえ?!?!そっち違うだろ!そこ3年のとこだって!!あぁぁぁ…あそこは…
学校中注目の不良生徒の下駄箱だろうが…よく見ろ!お前の下駄箱に赤札で
『イケメン撲滅』
なんての張ってないだろうが!!
天然癒し系にもほどがあるって!!

「さっ…佐藤!こっちだぞお前の靴箱!」
「えっ…あっ本当だ!…あはは。有難う佐久間君。」
「…どういたしまして…」

予想以上に喋れたのはいいとして,なんか朝からどっと疲れた気がするのは気のせいだろうか…。
佐藤と喋る恥ずかしさと、佐藤の顔が原型なくなるくらいリンチされるのを天秤にかけてたぞ俺。
でもこれでちょっと佐藤の中の俺の株が上がったんじゃねぇかな。と思うんだけど…。
喋ったのが初めてだったからなぁ。ちょっと親切なクラスメートって感じかな?
ただのクラスメートから昇格した気がした。有難う不良の靴箱。
孝祐はどうだろうか…?



一日目 朝
孝祐の章

さてさて。微妙に心配なのが勝ち負けなんだよな…。あっちは結構奥手だけど。
まぁ基本的にあいつはサドながら努力家だから地道に攻めてくと思うけど,ココは勝ちを取っときたい。今度負けたら立ち直れそうにも無いしな。
なんてったって気になる女のことっ捕まえ大作戦だぜ?現役ヒッキ−になりそう俺。
まぁ挨拶が基本だよなぁ。喋ったこと無いし。

と…なんとジャストタイミングで来るんだ山田さん…。何も考えてなかったのに…。くそっ。

「おっ…おはよう。元気?」
「おぉ。びっくりした。元気だから学校来てんでしょ。」
『やっ…やりずれぇぇええエェ−−−−!!!!確かに、ごもっともですよ!』「そうか…。」
「まぁ、心配してくれるのは嬉しいけどね。あたしは健康一番な女だから。そこは有難う。」
「…どういたしまして…。」
「今日も元気で行こうな北村。じゃ!」

やっぱり明るくて可愛いな〜…。もうドMでもなんでも言ってくれ春彦。
俺はやっぱり山田は可愛いと思うんだけどなぁ…。
走ってなびくスカートがまた魅力じゃないか…?短いし。
変態とか言うなよ春彦。お前だってブレザー来た時のウエストラインがいいとかほざいてただろ。
まぁ結構喋れたし御礼も言われたし,結構いいスタートじゃないか?
春彦はどうしてるんだろうか…?


二人はお互いの事を気にしながら朝の時間を過ごした。
どちらも微妙ではあるが脈有りのようだ。これからが楽しみだと思う。
はてさて先に彼女ゲットするのはどちらだろうか。
ドMながらも積極的でポジティブな北村孝祐だろうか。
サドながらも奥手で慎重な佐久間春彦だろうか。
勝利の彼女はどちらに微笑む?


第1話 終-----

2006/09/01(Fri)15:25:48 公開 / 竹助
■この作品の著作権は竹助さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして竹助と申します。。ココまで読んでいただき有難う御座います。。
今回一人称が主旨なのですが、ナレーション交えて描いてみました。男二人が主人公という所にもなんとなくこだわってみました。
短編風味なので味気が無いのが悲しい所なのですが是非感想等よろしくお願いいたします。。
でゎ。。

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