『小さな旅人小さな世界〜僕らは繋がっている〜』 ... ジャンル:異世界 ファンタジー
作者:橋本マド                

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第1話「世界は受け付けない、僕らを」

 かつて、この世界には旅人が溢れていました。それは立派な職業だったのに、いつのまにかそれは消え果てていたのです。時の流れは嫌なもので、いつのまにか旅人は異端者までに言われるようになってしまったんです。ある村では罪人とまで言われるほどでした。
 でもそんなの気にしません。だって私たちは旅が好きなんです。いろんな所を歩いて見て、驚いて泣いて笑って……。それってとても素晴らしいことです。退屈な毎日なんて絶対訪れません。毎日が楽しい。ずっと退屈しない。だから私は行くんです。
 この世界の本当の姿を見て、忘れられたこの世界の名前を見つける。きっと大変だろうけど大丈夫。私には素敵な仲間たちがいるから。

 そしてはじまりました。私たちの最初で最後の旅が……


「っておい。何1人で語ってんだ?」
「ふぇ?」
 突然後ろから呼び止められ、我に帰った。始めは目をパチパチさせていた少女も、後ろにいた少年の顔を見てにっこり笑った。相手の少年は飽きれた顔をしている。それに気づかないのは少女ぐらいだったろう。
「ノイルさんどうしたんですか?」
 いかにも天然そうな笑顔を発した。さらに飽きれた顔をしたノイルはめんどくさそうに頭を掻き、少し苛立った顔をする。
「あのな〜シイラ。こんな砂漠で立ち止まってるから困ってんだよ。わかるか?」
 まるで幼児に優しく教えるような口調。少女シイラは辺りを見回した。
 白く乾いた大地。風が吹くたびに砂が舞い、砂ぼこりが立つ。どこまでいっても同じ風景が続き遠くでは蜃気楼がいくつも重なっている。それが暑さを際立てて、乾いた大地が強く浮かび上がる。水気の無い大地には植物の生えていた跡も見当たらない。そんな大地にポツリ、と立っている自分。ようやく自分がどこにいるか理解できた。
 おもわずにこりと微笑んだ。
「どこでしたっけここ?」
「そこからか〜〜!?」
 飽きれと哀れみを投げかけ、小さくため息をついた。そんな様子をただ見守るシイラ。頬には無邪気な笑みが表れていた。
 深い濃い緑色の髪の少女シイラ。まだ幼さ残るものの、彼女は1人の小さな旅人だった。何が目的かなどは深く考えず、自分が見たい行きたい所を回っていると言う感じだった。行き当たりばったりな旅人だ。
 対してノイルは、特にどこかにいきたくも見たくもないと言う感じで、ただシイラに連れ回されているようなものだった。少し、疲れたような顔をするのは出会った時からのこと。シイラに振り回されて、とゆうこともあるが。
「でも、こんな暑いとバテそうですね」
 はっ?今更ですか?ノイルは心で突っ込んだ。もちろん伝わることなどなく、へばりついた笑顔をたやそうとしなかった。やはり、ため息がでる。苦々しい顔をしてうつむいた。顔には汗がつたった線が浮かび上がる。さすがに太陽の光が暑く感じる、喉はカラカラだ。
 ふと、シイラがキョロキョロと辺りを見回し始めた。
「どうした?」
 彼女はこちらを向いて困った顔をする。
「シェスさんが見当たらないんです。」
 そういって辺りを見回した。周りには人影は見つからず、自分たち以外の者は見当たらなかった。二人は顔を見合わせた。
「ヤバイ、な」
 ヤバイです、彼女は答えるように頷いた。どこまでも広がる砂漠には、水気などはない。もし1人でこんなところを歩いていたら、きっと干乾びてしまう。しかもそのはぐれた相手が……
「シェスさんですからね……」
 二人はため息しか出なかった。彼女1人だけとなると、嫌な予感しか浮かんでこない。どう明るい風に考えていてもやはり結果は同じだった。こんな砂漠でもう一度会えるのだろうか、ノイルは不安そうな顔をする。そんな中シイラが何か思いついたような顔をする。そして笑いながら口を開けた。
「行き倒れて死んでいるかもですね」
 彼女はにっこり笑った。そのとたん、ノイルの背中に悪寒が走った。
 ……なんだこの悪気無しの笑顔は?本当に何も考えていないのだろうか?いや、殺意が感じてくるぞ、ひしひしと。
 ガタガタ震えながらノイルはシイラを見つめていた。彼女は小首を傾げながらその視線を見つめかいした。
 

2006/07/06(Thu)13:50:06 公開 / 橋本マド
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終わるのはいつになるやら(苦)

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