『本質』 ... ジャンル:リアル・現代 サスペンス
作者:貯蔵                

     あらすじ・作品紹介
ある男があるゲームにテスターとして参加する。その不思議な世界で起こる色々な出来事。それによって見えてくる人間の本質。男はそれによって何を感じ何を見出しそして無事に生還できるのだろうか。また他の参加者も何を見出しそして無事に帰還できるのだろうか……。

123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
 相手に合わせて笑う人々。上辺だけの笑顔。完全平等化された環境。政府にルールを完全に決められた上での生活。毎日くだらない番組がテレビから流れる毎日。同じコトの繰り返しの毎日。
 うんざりだった。みんなこんな世界に疑問を持って生きていないのか? 俺はこんなつまらない人生まっぴらだ。
 何回もこんな世界から消え去ろうと思った。だけどまだ生きているのは死ぬことの恐怖感やまだ何か起こるんじゃないかという希望。この希望を増やしていっていたのが唯一面白いと思えた政府に決められたルールから飛び出して生きる人々のニュース、これだ。
 そいつらはみんな捕まっていく、だけどきっと捕まらないやつもたくさんいるんだ。表の世界では出てこない、すごいヤツラが。
 そんなことを考えてたらまだ生きてる価値はまだあるかな、なんて思う。こんなヤツラに憧れ、なりたいとも思うけど臆病な俺には踏み出す一歩がどうもできない。
 俺は戦国の時代に生まれてきたかった。力のあるヤツが権力を握りルールを決める。そんな世の中に憧れていた。俺みたいな人は他にもいるのかな? まぁ、そんなことはどうでもいいことだ。

 3月25日、そんな俺に一通の手紙が届いた。あるゲームの試作品のテスターにならないか? という内容の手紙だった。俺の住所をどーやって調べたなんかは知らない。でもこの誘いの手紙を出したヤツは俺の気持ちを知っていて俺にこの手紙をだしたんじゃないのか?って思うぐらいの内容のゲームだった。おおまかにしかゲームの内容は書いてなかったが、すごい興味を持った。まったく不思議な気持ちだ。こいつも同じ思いの持ち主なんだろう。そう思ったら興奮してきた。
 ゲームの内容は、超バーチャルゲームで舞台は戦国の世をモチーフにした世界。
 テスターはこの世界の住人になって生活する。どんな生活を送るかは自分が決めて自分が思うがままにやっていい。
 基本的に他のテスターとコンピューターの区別はつかない。
 ゲーム開始年齢は現年齢と同じ年齢からのスタートとなる。
 ゲームを抜けて現実の世界に戻ることができるのにはいくつか条件がある。

 その一、ゲーム内で20年間生活を送る。20年超えてもまだこの世界にいたいと希望すればそれもできるが、また10年間生活しなければゲームを抜けることはできなくなる。ただしゲーム内では10年に感じても現実世界では3日しか経っていない。

 その二、この世界で一番の権力をもつ者になったとき。これもまた希望すればそのまま生活できるが地位が落ちたと認められるまでもうこの条件でゲームを抜けることはできなくなる。

 その三、千人の人間を殺したとき。これもまた希望すればそのまま生活できるがまたさらに千人殺さなければゲームを抜けることはできなくなる。

 その四、持ち金を10億円になったとき。これもまた希望すれば生活できるがまたさらにそこから持ち金が10億円分にならなければゲームを抜けることはできなくなる。

 ゲーム内で怪我及び死亡した場合は現実の肉体も怪我及び最悪死亡する可能性もあります。この条件をわかった上で参加したいかたは4月10日までに090-####-$$$$まで電話をして頂きその時に御教えする会員番号を控えて頂いてそれと身分を証明できる物を持って4月24日14時までに東京都○○区の梅田第四ビルまでおこし下さい。電話はして頂くだけで登録完了となるので面倒くさい手続きなどはございません。尚あなたの身になにが起きても私どもは一切責任を持てませんのでご了承ください。
 こういう手紙だった。
 俺は最後の一文等で少々迷いもしたがこんな世の中にただ流されるがまま生きるよりはましだろうと思ってさっそく電話を手にとった。

2006/03/29(Wed)01:28:20 公開 / 貯蔵
■この作品の著作権は貯蔵さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
規約とか読んだんですけど初心者のため間違いなどが多々あると思います……。なので指摘などして頂けると嬉しいです。そしてスキルをアップさせていきたいと思います。
続きを投稿するのは少し遅れると思います。すいません。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。