『古代の森へ・・・。』 ... ジャンル:リアル・現代 アクション
作者:HANAMI                

     あらすじ・作品紹介
 地球上の全てを、消し去る火山、噴火。それを止めるために立ち向かうのは、メラニーおばさんを幹部と呼ぶ男達、「組織」と、メラニーおばさん、そして、ヒトリの12歳少女、ケイト・・・!! 託された運命はいかに!?

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   古代の森へ・・・。

 *We never go again to the ancient foerests.
It was so weired when I was went to over
there.
 I saw a monster・・・!
                by Marron Gazer

 最初、神様は雨を降らした。そして雷、霧、もっと深い霧、そして雨。
 ケイトはうっすらと笑って、歩き始めた。
これは、先生から教わった、オレゴンのスタイル、なんだそうだ。
 それをケイトは、凄く気に入っている。
彼女の靴は濡れていて、歩く度に、彼女の靴はスポンジのように水を靴下に染み込ませていた。
 彼女は、雨の日が大好きだった。
雨は、すべての植物を育ててくれるから。
 ちょっと降り過ぎると、酷い事になるけど。
ケイトはストリートの道路から外れて、歩道を歩き始めた。
 しばらくして、その足を止める。
「・・・ジャック。」
 目の前に現れた、中年の男・・・ジャックを見つけたからだった。
ジャックはケイトの遠い親戚で、良く覚えては居ないが、メラニーおばさんの家へ行く時だけは、必ず現れた。
「ジャック、ジャックもメラニーおばさんのところへ行くの? だったら、一緒に行かない? 私もなの。」
 ケイトはにっこり笑って、ジャックを見つめた。
ジャックはそう背も高くなくて、ケイトの172cmよりも、五cm小さかった。
「久しぶりだね、ケイト。しばらくメラニーの所へ行っていなかったみたいだが?」
「うん。テストがあったの。四日間ずっとよ。OGT。」
 OGTというのは、アメリカの、その地域の学校の学力レベルを図るために行われる、
全校生徒制のシステムテストのことを言う。
 国語算数理科社会、すべての教科で行われる。
「そうか、OGTか。今回のは、難しかったかい?」
 ジャックが、にっこりと、からかうように笑って言った。
ケイトが、肩をすくめて応えてみせる。
「そうね、まぁまぁ、ってトコだった。ちょっと、やばい所もあったけど。」
 それを聞くと、ジャックはその大きな口をあけて、ガッハッハ、と笑った。
「そうか、そうか。おや、時間だ。そろそろ行かなくては。メラニーに、元気で、と伝えておいてくれないか。」
「うん。じゃぁね、ジャック。」
 ジャックは、メラニー・・・母の姉の弟で、良く家に訪れていたようだ。
ケイトはジャックを、信頼しているし、慕っている。
 何よりも頼れる人なのだ。・・・メラニーおばさんの次に。
ケイトはストリートの九番目の、赤いレンガ造りが良く似合う花壇の添えられた家へ入っていった。

 「メラニーおばさん? いないの? ケイトよ、学校から帰ってきたトコ。」
 ケイトは、無断で冷蔵庫を開けて、冷えたコカコーラを取り出した。
爪で蓋を開けると、グイッと一口飲み込む。
「メラニーおばさん?」
 不安を感じる。
何時もは暖かくて、暖房なんて要らないようなその雰囲気が、今は寒くて、暖房がない事が悔やまれるような思いだった。
「あら、ケイト。」
 声がして振り返ると、少し太った、赤いガウンを羽織った、栗色の天然パーマを一つに結わえた女性が出てきた。
「メラニーおばさんっ!!」
 ケイトは一気に幸せな気分になれて、メラニーおばさんに抱きついた。
「久しぶりね。テストはどうだったの?」
「うん、まぁ、そこそこ。ちょっと、ヤバイ、って思ったのが二問ぐらい。」
「まぁ、それはいいことね。勉強を頑張っている、という証拠よ。」
「うん。」
 ケイトは六年生・・・アメリカで言うと、もう中学生なのである。
六年生と八年生、十年生のOGTは一番大切で、これで悪い点・・・八十五以下を取ると、落第、という事になっている。
 ケイトはいつも、最上位だった。
「今回は、マーラがやばいかもしれないわ。彼女、テストの前までずっと酷い風で、学校休んでいたのよ。だから、勉強できなかったかも。」
「それでも、マーラは出来る子よ。ケイトもマーラを信じて、彼女が受かるように願ってあげてね。」
「うん!」
 ケイトは、メラニーおばさんの言う事、全てが正しいと思っている。
心が温かくなる言葉を、メラニーおばさんは全て知っていて、持っている。
 ケイトも将来、こんな素敵な人になりたいと、憧れているのだった。
 そこで、ドンドン、とドアーを叩く音がして、メラニーおばさんは椅子から立ち上がった。
「はい、ちょっと待ってください。」
 ケイトはテーブルの脇においてあった、新聞を手にとって眺めていた。
ページをめくるたびに、何故だか不安が増していく。
 ケイトがメラニーおばさんのところを振り返ると、そこには刑事のような人たちが二人、立っていた。
「だ・・・誰・・・ですか?」
 ケイトが聞くと、メラニーおばさんが急いでテーブルに椅子を二つ運んできた。
「どうぞ、座ってください。ケイト、悪いけど、二階で待っていてくれないかしら。これから、大切な話があるの。」
「・・・。」
 ケイトは、不審に思い、首を傾げたが、すぐに頷いた。
「うん。」
 二階へつながる階段を上って、部屋のベットに寝転がる。
そして、居ても立っても居られなくなって、ケイトはベットから降りて、忍び足で階段を降りた。
 完全には降りないで、見つからないように、だが声が聞こえるだけの距離を保ち、そのに座った。
「・・・で・・・んの? 私は・・・そうじゃないかと思っていたけど。」
 メラニーおばさんの声だった。
そして、男の声。
「わかっているさ、メラニー幹部。だがね、もうあの森は私たちでは支えきれないほど、
崩壊を始めて、老いて行っているんだよ。どうしても、幹部が戻ってきてもらわないと。
私達は、心を一つにして、働くことさえ出来なくなってしまう・・・。」
「ごめんなさい。私は・・・もう、組織へ戻る事は出来ないの。もう、だめなのよ。」
「・・・・・・そうか・・・。仕方ない。なら・・・・・・。」

「あの森を、見殺しにするしかないな。」
「え・・・そんな!!」
「言ったでしょう! 俺たちにはもう金がないんだ!! もうあの森を守ってやる事なんて出来ないんだよ!!」
「そんな・・・そんなことをしたら!!」
 声が、一瞬止んで、男の声が聞こえる。
「火山を・・・噴火を、止めないと。アレが、森にも多大なる影響を受けさせる。なんとしてでも、火山の噴火を止めないと!!」
「地球が滅びてしまう!!!!」

 ケイトは、耳に聞こえてくるその一言一言を、繰り返し、繰り返し呟いていた。
[地球が、滅びる。地球が、滅びる。]
「だめ・・・。そんなのダメ!!」
 ケイトが、押さえきれずにドアを開く。
「ケイト・・・!!」
「メラニーおばさん・・・、ごめんなさい。だけど・・・本当なの・・・? 本当に地球は・・・滅びちゃうの!?」
 組織、と呼ばれた男達が、ケイトに話しかける。
「噴火を止めない限りね。」
 そういうと、彼等は出口へと足を運んで、最後に一度、振り向いた。
「・・・幹部、全ては貴女に任せられているんです。考えて置いてください。」
 ドアが、ゆっくりと閉まった・・・。

「メラニーおばさん・・・。どうするの・・・? このまま、火山を噴火させるしか方法はないの・・・?」
 ケイトが、無きそうな目でメラニーおばさんを見つめる。
「私・・・私、地球の全ての植物、生きているものたちが・・・大好きなんだよ。私、
何一つ無くしたくない。お願い、メラニーおばさん!」

「噴火を、止めよう。」
「ケイト・・・。無理よ、だって・・・誰がやるの?」

「・・・私達で。地球を救おうよ。」

 皆を、守るために・・・。

2005/12/02(Fri)07:41:18 公開 / HANAMI
http://www.geocities.jp/dogandyuzulover/index.html
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■作者からのメッセージ
 DREAM・WORLDとは、また違う感じの物語です。
舞台はアメリカ。
 どうぞ、読んでみてください。
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