『絵のない絵本』 ... ジャンル:ファンタジー 未分類
作者:桃栗                

     あらすじ・作品紹介
地球が意思と体を持ち、化身となって地球に降り立ったお話です。題名の通り絵本調となっています。

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 その昔、この世界はとても便利な世界でした。
 勝手に洗濯をしてくれる箱や、夜になると強い光を放つ硝子玉。更にはもの凄い速さで走る鉄の塊などがあり、人々は毎日快適に生活していました。
 しかし、それらのモノは世界に毒でした。
 木々は枯れ、空からは石像がとける雨が降り、川は黒く濁り、魚や動物がたくさん死にました。
 それを見た神様は怒り、こういいました。
 
 『チキュウは人々に恵みを与える。だが人はチキュウを壊す。この違いはなんだ?』
 
 『それは意思。人は意思があるが、チキュウにはない。どんなに悲しくとも恨めしくとも、意思がなければ何も出来ぬ』
 
 『ならば私はチキュウに意思を与えよう。そして人と同じカラダを』
  
 『私はしばらく眠る。私が寝ている間の事はチキュウに任せる。愚かなる人を生かすも殺すもチキュウの自由だ』
 
 『そして人々よ、チキュウの思いを知るがよい。そして悔いよ』

 『今までしてきた事を』


 神様は眠り、それと同時にチキュウに1人立つ少女が現れました。その少女の髪は地球を思わせる青。そして右眼は太陽の赤、左眼は月の金でした。少女の名はキィ。
 キィは自らの体の上に降り立って、100年その地に住む人間の観察をしました。
 そしてすべてを滅ぼしました。
 誰もいなくなった世界にキィは嘆きました。
 そしてその泣き声に神様が目を覚まし、地球に新たな種を蒔きました。そして神様はキィにすべてを託す事を告げ、消える前に一言いいました。
 『私が消えるという事は、もう種を蒔く者はいなくなる。どんなに人が過ちを犯そうとも、消してしまっては取り返しがつかぬという事だ。だから、常にその目で見るがよい。もう2度と泣き叫ぶ事がないように』
 そして、神様は消え、キィは世界を周る旅に出ました。

 神様の蒔いた種は少しずつ大きくなっていきました。人は火を使う事を覚え、食料を育て、ゆっくりゆっくり進化していきました。
 そしてキィはある時、稀に人の中に不思議な力を持つ者がいることに気が付きました。そして、わかったのです。
 神様が新しく蒔いた種は地球を傷つけるような技術を持っていませんでした。そして、技術の代わりに、地球の自然の力を借りた魔術がどんどん発達していきました。
 安心したキィは旅をやめ、ある一点に留まる事にしました。山奥の、誰も来ないような森の中に洞窟をつくり、そこで一時眠る事にしました。木々たちはそんなキィを護る為により一層深く生い茂りました。
 その間、人はどんどん進化をし、世界に大小いくつもの国が出来ました。人は新世界に名をつけました。
  
   『マジック・アート』 魔術の芸術
  
 

2005/10/08(Sat)23:34:43 公開 / 桃栗
■この作品の著作権は桃栗さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 これは私が前に投稿したモノの改良版です。
 以前使っていた名前をすっかり忘れてしまったので、新しく桃栗と名乗らさせていただきます。
 神様の最初の方の台詞は独り言です。きっと神様はしゃべる相手もいない孤独な存在なので。
 いつかキィが人間を滅ぼすまでの100年間を番外編としてかけたらいいなぁって思っています。あとマジック・アートを舞台にしたお話も。
 

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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