『例えばこんな恋の話』 ... ジャンル:恋愛小説 リアル・現代
作者:いみや                

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 『あんたのこと、めっちゃ嫌いや』

 ユミリは、彼にそう言ったときの彼の驚愕の表情を、今も忘れてはいなかった。まだ小学生だったからか、丁度異性が受け入れられない時期だったからか、ふと言ってしまったその一言。冗談だったかもしれないが、本気だったかもしれない。彼は目元を真っ赤に染め、信じられないと言ったような見捨てられたような顔でユミリをみた。小学生同士の淡い恋といえども、ユミリは向こうが自分を好きだとはっきりと自覚していた。今思えばこそ、ユミリはひどいことをしたと反省している。幼くてかわいらしい恋心をぼろぼろにしてしまった、と。
 その後彼は、一言、頷いて何かぼそぼそと呟いた後、どこかせかせかしながら慌しく教室を出て行った。きっと泣き顔を見られたくなかったのだろう。そこから小学校を卒業するまで、ユミリと彼の間はギクシャクしていた。いや、ギクシャク何ていうものでなくて。

 
  ■ 例えばこんな恋の話 ■
 
 
 そんな話はもう五年程前のこと。現在、大崎ゆみりは中学生で、中高一貫の女子校に通っている。彼は、近所の公立の学校へ行き、交流がさっぱりと無くなってしまった頃。
 『……そういや、そんなことあったな……。』
 ぺらぺらと六年生の時の修学旅行の写真を眺めながら、ユミリは思い出す。奈良公園で撮った、鹿に怯えつつも笑って鹿せんべいを食べる友人、名前は忘れたがとにかくどこかの野原で食べたランチ。そんな風景はいつみても思わず顔がほころぶ。ただ、写真の中の自分はどこかまだ垢抜けなく、密かにユミリは恥ずかしかった。各写真には、オレンジやらピンクやらの丸い字で、その時の感想が書いてある。ユミリ自身の字、仲の良かった友達の字、それぞれ混ざって賑やかな感情がほっと芽生えてくる。ただ、百円均一で買ったその水玉模様のフォトアルバムの一番最後に、何も落書きのされていない写真が一枚だけ、あった。友人の母から貰った、彼の卒業式のときの写真。友人の母は彼のために撮ったのだが、少し焼き増しして分けてもらった記憶がユミリにはかすかにあった。なぜそうしたのかは自分でもわからなかった。……ただそうしたかったのだ。
 彼がきちんと正装を着て、胸にはリボンを下げている姿は、どことなく滑稽ではあったが、何故かかわいらしい。きりっとした男前、ではなかったが、どこか愛嬌があって親しみが持てた。写真の中の無表情の中にも、それはしっかりと写っていた。
 突然、人気歌手が今春出したばかりの曲が部屋中に響いた。ユミリはびくっと驚いたが、すぐさま枕もとに手を伸ばし、華やかにデコレートされた携帯電話に手を伸ばした。慣れた手つきで、片手でもってぱかりと開け、耳元へと持っていく。
「もしもし」
『あー、ユミリ? 俺だけど……。今、ええかな』
 ユミリは胸を高鳴らせた。友達伝手に紹介してもらい、梅雨くらいから付き合いだしたボーイフレンドからだった。女子校に入ったユミリは、あまりそういう事に縁がなくなり、久しぶりに出来た『カレシ』に大はしゃぎしていた。学校まで電車で通っているものの、電車恋愛なんてものは甘い、ということに気付いてきた頃だった。
「全然ええよ。……なにか用事?」
 カレシは、いわゆる『不良グループ』に属していたが、そこそこ見た目もよく、ユミリに対し扱いが優しかったので、段々と彼に惹かれていった。
『別に……。用事なんてものじゃないけどさぁ。あの、今度の土曜の夜、空いとる?』
 ユミリの脳裏にある事が過ぎる。この土曜の夜と言えば、港で花火大会が行われるのだ。本当はユミリから誘おうと思っていたのだが、彼からそう言ってきたのなら、と思いとりあえず聞きにまわることにした。
「えっと……、ちょっと待ってな。…………。うん、空いとるよ。どうかしたん?」
『良かったぁ。あんな、港で花火大会あんのやけど、一緒にいこか』
 ビンゴ。ユミリは左手で拳を握った。
「ほんとぉ? 知らんかったわぁ。ええよ」
『じゃあ、近所の駅で――六時前くらいに。バスが回ってるはずやから』
「了解ー。楽しみやわあ。ほんなら、おやすみ」
『うん。おやすみ。待っとるでなー』
 ぱこん、と携帯を閉じて、ユミリは自分の顔に笑みが広がっていくのを感じた。彼と手をつないだときの感触を、不意に思い出したりして、ぎゅっと黄緑のカバーが掛かった枕を抱きかかえ、ベッドにごろんと横になった。枕の下で、ふつふつと笑いがこみ上げてくる。抑えようと思っても抑えられないけど、どうしてか声を出してはいけない気がして、中途半端な笑い声が部屋中に響いた。
 耳から彼の『おやすみ』という言葉が離れない。ユミリはさらにきゅうっと枕に顔をうずめる。思い出に浸ろうとしたそのとき、もう一度電話が鳴り響いた。小さな液晶には「☆みっちゃん☆」と表示されている。カレシではない。すっぱりと空気が中断され、ユミリは不機嫌にその電話を取った。
「……はい」
『ユミリ? なんでそんな不機嫌なの』
 なぜか電話の向こう側からはアニメソングらしきものが聞こえる。この時間だと、大体「ベイルフルクラウン」の時間だろう。みっちゃんは、一言でいうとオタクで、何かしらユミリにもよくそういう話をする。ユミリはアニメの時間がわかる自分が少しだけ嫌になった。
「なんでって……。みっちゃんこそ何なんよ」
 彼女と仲良くなったのは、ただ入学当時席が隣同士だったから。そこそこ頭がよく、さっぱりした性格のみっちゃんとはどこかウマが合ったのだ。ただ趣味がちがうだけで。
『「ダウン☆ハイ」の新刊って一昨日発売だったよね? もう買った? 明日学校に持ってきてよ。もうさぁ、ネットではネタばればっかで早く読みたいっつーの!』
 みっちゃんは、いつも不自然な標準語を話す。時々ぽろっとご当地弁が出るが、大抵はそうだ。ユミリは早いうちから気にしないことにしていた。
「あー、あれな。おもろかったよ。貸したるけど、その代わり」
『その代わり? 面倒なことは嫌だよ』
 アニメソングは終わったようで、続いて声優の声が聞こえる。どうやら次週予告らしい。
「週末に、港で花火あるやろ。それ調べといて。ほんで印刷して持ってきて」
『そんなことかぁ。おっけーおっけー! 「ダウン☆ハイ」ってさぁ、ほんと買ってる人少ないから、ユミリんみたいな物好きさんって結構ウレシイんだよね。じゃあ明日よろ〜』
「はいはい。おやすみ」
 電話の向こうのほうで声優がお決まりの決め台詞をいった。もう終わりらしい。
『ばいばいき〜ん』
 通話終了のボタンを押した瞬間、ユミリはものすごい脱力感に襲われた。みっちゃんは、確かに友達としては面白いし頼りがいがあるが、コレばかりはユミリはついていけなかった。
 だが、花火のことを思い出し、またもやニヤつくのが自分自身でもわかる。そんなときは、大好きな歌手の歌を聴いて、自分の思いと歌詞を合わし重ねるのがユミリのお気に入りだった。
 ヘッドホンを引っ張り出し、CDを入れ、一曲目から順番に聞いていく。目を瞑って聞いていると、本当に恋している瞬間と言うのが実感できる。
 そんな時もつかの間、階下から母が早く風呂に入らないとお湯が冷める、ということを怒鳴った。一回目は無視したが、階段を上がっている気配がしたのでユミリは慌てて着替えを持って、風呂場へと向かった。




 
 朝イチのホームに、忙しない革靴が弾む。
 ユミリは、朝の電車が好きだった。学生はまだほとんど乗らないような朝イチの電車に乗り、長いすの端っこに座る。どこか緊張している空気の中で安らぎを見つけ、電車に揺られる。夏休みの真っ只中のこの期間、大抵は乗ってくる人と席が決まってくる。向こうの席には、銀行員らしきおじさん、暗そうな大学生の男の人二人組、膝丈のスカートをはいた女の人。つり革につかまっているのは、おそらく美大生の三人組……。誰かいない日があると、その人の体調を心配してしまう。名前も知らないのに。そんな妙な関係性を密かにユミリは面白がっていた。
 お小遣いを貯めて、ようやく此間買ったCDウォークマンのイヤホンを耳につける。曲は週明けに友達から借りたCDで、あまり好きではないが一応聞いておこうと入れてある。
 ……電車の外の風景は相変わらずであった。夏休みに入って週に一度ほどこうして部活に通うが、緑の鮮やかな田んぼはやっぱり広大であるし、空は青い。ふと眠気に襲われるが、今寝てしまっては確実に駅に着いても寝過ごすことを彼女は学習済みであったので、重い瞼が半分閉じるだけに留まった。
 そうこうしているうちに、車内のアナウンスが駅名を告げる。ユミリはイヤホンをはずし鞄にしまい、駅のホームへ降り立った。
 彼女はいつも階段近くに止まる車両に乗るようにしていたのだが、今日はなんとなく違う車両に乗った。だからホームから改札口へ行く階段まで少々歩いた後、みっちゃんの姿を見つけた。みっちゃんは長くさらさらとした細い髪がトレードマークだったが、今日はショートボブになっている。ユミリは驚いたが、なぜかこちらのほうがみっちゃんにはしっくりくるような気がした。みっちゃんがユミリに向かって手を振る。細やかな髪が首に揺れている。やはり第一声は髪のことを言うべきだろう、とユミリは言葉を用意した。
「おはよう、ユミリん!」
 いつものように、早朝とは思えぬハイテンションでみっちゃんはにっこりした。ユミリもつられてにっこりする。
「おはよ、みっちゃん。っていうかどうしたん、イメチェン? ごっつ似合ってるで!」
 みっちゃんは自慢気に更に口角をあげる。
「驚いた? 驚くよね。ちょっと、ショートもいいんじゃないかなー、なんて思ってみたり。かなり涼しいんだ、これが。ちょっともの寂しい気もしないでもないけど」
「にしても、なんか明るい感じになったなぁ。部活終わったらプリクラ撮りに行こうや、記念に」
 今日の風は田の稲を揺らすほどに強く、みっちゃんの髪がなびいた。もともとくせ毛気味のユミリには、少し羨ましくも思えた。
「うん、行こ行こ」
 駅から学校までは歩いて約五分強で、ユミリ達はその道を辿った。
「じゃあ、着いたらまずあたしから現像していい? 暗室での作業は五分でちゃっちゃと終わらすから」
「ええよ。じゃあその間に朝飯でも食べとるわ」
 みっちゃんは一年生のときから写真部に入っていた。彼女の父親が趣味で写真をやっていて、自身も写真に少なからず興味があったという。だから中学の入学祝いとして良質のカメラを買ってもらい、こうして活動しているのだ、とユミリは本人から聞いたことがあった。
「夏休み明けに提出するのって何枚やったっけ?」
 ユミリはみっちゃんに問うた。写真はデジカメでしか撮ったことがなかったユミリも彼女とともに過ごす時間が増え、写真に興味が湧き、みっちゃんの激しい勧誘も助けて去年の秋に入部した。
「えーっと、確か半切りが三枚だったっけ。もちろんそれ以上でもいいけど。文化祭に出すのも今のうちにやっといたほうがいいのかもね」
「せやなぁ。文化祭前はほとんど先輩が部室占領するしな」
「もう、ほんと先輩達も考えて活動してってかんじ。ただでさえ狭い部室なのに」
 口を尖らせみっちゃんが足元の石を歩きながら蹴った。
「…………暑いよな。あの部室」
 ユミリは、夏休み前のことを思い出した。実際部室は六畳くらいあるのだが、暗室が半分以上を占めているため、部屋といえる部屋はほとんど細く狭いスペースでしかない。
「今年はましだよ。扇風機をやっといれてもらえたんだもん。半脱水症状者が出たからね。去年の夏なんて、手についてるのは汗だか液だがわかんないくらいだったから」
「うわ、嫌や。ただでさえ酢酸臭いのに。ファ○リーズ必須やなあ」
 シュッシュッとスプレーする真似をしながらユミリは笑った。笑ったが、冗談でなく本気で必要かもしれない、と少し考えた。酢酸臭い女子中生なんて、考えたくもない。
「あ!」
 突如みっちゃんが立ち止まり、声をあげた。
「何やの、いきなり」
 不信そうに振り返りユミリが言う。
「ユミリん、アレ持ってきてくれた?」
 彼女の口調は心なしか不安そうだ。同時に責める印象も見受けられる。
「何、アレって」
「やーだー、まさか忘れたとか言うの?」
 みっちゃんが手の大きさほどの長方形を空に描く。――――しまった。ユミリはすっかり忘れていた。「ダウン☆ハイ」の六巻。ほらね、というみっちゃんの表情が彼女は妙に突き刺さる気がした。
「…………ごめんなさい」
「あー、やっぱりねー。そーだと思ったー。仕方ないよねー。カレシ君のことで頭一杯だもんねー。でもそんなユミリんのことも私は気遣ってるんだよ。友情より恋を選んだ友達にぃー。はい、コレ」
 そう言われてみっちゃんから手渡されたのは二枚のA4紙だった。開催地、帰りのバスの時間、花火のプログラム……。
 ユミリは紙から目を上げた。
「……ありがとう。ほんま私はええ友達を持ったわ」
 いつもそうだ。みっちゃんは軽い一言でも流さずに、しっかりと責任を果たす。それはユミリが彼女を好きな理由の一つでもあった。
 満足そうにみっちゃんが微笑む。
「でしょでしょー。敬いたまへ称えたまへ〜」
「はいはい」


 私立、というだけあってとりあえずは全教室冷暖房完備である。だが写真部の部室は教室とは呼べず、しかも狭いので設置されていなかった。二人はまず職員室の顧問の先生に挨拶だけし、部室のドアを開け放って、廊下の窓を開け風を通した。そこそこ涼しい風が通る。
「あー、焼き付け用の現像液がないわ。作っとくでェ」
 暗室に備え付けてあるシンクの下の棚を覗き込み、ユミリが前髪をきゅっと上にまとめた。
「はいよろしくー」
 机でフィルムケースからネガを取り出す作業をしているみっちゃんの隣を抜け、彼女は部室を出た。廊下を曲がって左側の給水室で、大きなバケツに熱湯を入れてついでに冷蔵庫の氷も2パックほど頂戴した。
 まだ液を作る作業も慣れないものの、ユミリは少し楽しみを感じていた。狭い部屋で地味な作業をしていると、何か怪しげな実験のような類の事をしている気分になるのだ。それに、古びたボトルや繊細な液には自然と愛着が湧いてくる。
 部室に戻ると、暗室のドアには「使用中」の札(先輩達が落書きしたと思われる絵付き)がかかっていた。フィルムを液に浸しネガを浮き出させる現像の作業を行っているのだろう、とその現像の一連の流れをユミリは頭の中でおさらいした。前に、フィルムを明るいところでぱっかりと開けてしまい感光させて努力が水の泡になった、という苦い思い出があるだけに、現像はユミリにとって苦手な作業であった。
 熱湯の中にコレクトール(A)と書かれた袋の中の粉を入れ、かき混ぜる。全て粉が溶けきった頃に、コレクトール(B)を入れる。若干、液が茶色ににごる。一応現像液はこれで出来上がりだが、温度を下げるためにユミリはバットの中に氷を張りその中に容器を入れた。
 彼女が一息ついて朝ご飯にと持ってきたおにぎりのサランラップを剥がしている時に、みっちゃんが暗室から出てきた。久しい光に目をしばたかせ、ネガフィルムを浸してある密封された容器の具合を見る。
「上手くできた?」
 ユミリが彼女を通すために脇に退いた。
「まあ、ここまではね。こっからは時計とお友達にならなくちゃねー」
 そう言いながらみっちゃんは棚から三本のボトルを出し、液を注ぎ込んで準備を始める。
 その隣でユミリはポケットから携帯電話を取り出し、見た。校内ではマナーモードにしてあるため、メールがきたことに気が付かなかったが、新着メールを開くとFROMの先には……。
「『★☆ゆぅくん☆★』。へぇー。カレシさん?」
 みっちゃんが泡取りのために容器を机に叩きつけながら、液晶を覗き込んだ。
「わ! ちょぉ、見やんといてや!」
「はぁー、いいこと。おてて繋いで仲良く花火デートですもんねぇ。若いなぁ。――あ、時計見てなかった。28、29……」
 慌しくみっちゃんが液をかくはんし、再び時計に目を落とす。ユミリはみっちゃんのほうを気にしながらもメールを開いた。
『昨日ゎ夜遅くにメールゴメンな(>_<)今日はユミリは何スル予定??俺は今ヵラ補習ゃで(|| ゚Д゚)』
 ユミリは返信を押し、すぐさま文章を作り始める。
『補習??まじでぇ?頑張ってねぇヾ(゚ー゚ゞ)私は今部活中。こないだ公園行ったときの写真もできるカモ??できあがったら見せるわ(≧▽≦)』
 紙飛行機が何度も虹の向こうへ飛んでいくのが写り……『送信完了しました』。ユミリは自分の顔がにやけるのがありありと実感できた。みっちゃんにまた何か言われては嫌だから必至でポーカーフェイスを装うとするが、なかなか難しい。心臓は脈打つ。鼓動の間隔は短くなってはいるが、なぜかその間は妙に長く感じた。
 ごまかすためにユミリはおにぎりを頬張った。少し塩気が多いがそれもご愛嬌だ。
「それ、自作?」
 みっちゃんはユミリのおにぎりを見て言った。
「うん。あとはおかかと梅干と昆布があるけど。なんか食べる?」
 ひとつひとつ指差しながら言う。実際どれの中身が何なのかはっきりと自信はなかったが。
 みっちゃんは目を輝かせて手を合わせた。
「食べる! 昆布、食べる! ちょーだいー」
「ええよー。どうぞ」
 少しおにぎりを割ってみたら、左から二番目のが昆布だった。みっちゃんは制服のスカートで手を払い、大きな口でそれを食べた。
「うーん、うまーい! いいお嫁さんになるよ、ユミリん」
「おにぎりでオオゲサなやつー」
 そうユミリが梅干おにぎりに手を伸ばした時、再び携帯の液晶が輝いた。みっちゃんは眉を上げ意味ありげに目を細めながら、おにぎりをもう一口でがぶりと飲み込み、口をもごもごさせて作業に戻った。
『あの時ゎめっちゃ暑かったょな((((;゚Д゚))ぅん、写真できたら見せて★じゃぁ勉強してきます(-_-)』
 がんばってね、と心の中で呟いて、またもやユミリは自分の口角がじわじわ上がるのを止められなかった。
 ぱこんと携帯電話を閉じて、彼女は鞄のポケットにすべりこませる。
「ユミリん。食べ終わったらもう焼付けしてもいいと思うよ」
 やはりまだ見慣れぬ髪型のみっちゃんが言う。
「りょうかーい」
 ゆみりは携帯が入っている鞄をちらりと見て、ふわりとにやけて作業の準備をした。
 
  
    
 




2005/11/13(Sun)10:30:37 公開 / いみや
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■作者からのメッセージ
なんでもない、普通の恋の話です。普通ですが、何通りとある恋の中のひとつとして、ちょっとでもリアリティを感じていただけたら、と思っております。
お久しぶりです、もしくは初めまして。文字に対して最近離れがちになっていたので、ちょっと練習のような感じですが、ちょっときちんと取り組んでいくつもりです。
感想・アドバイス・批評等ありましたらお手数ですが遠慮なく言ってください。
まだまだ導入部分ではありますが……。
今回展開もなくほんと淡々としてしまいましたが、次につなげたいと思います。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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