『ワタシとアナタ』 ... ジャンル:恋愛小説 恋愛小説
作者:ラィ                

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―――ワタシとアナタ―――


今、何をされているのだろう……

その疑問だけが頭の中を駆け巡る。
その疑問の答えが知りたくてし切りに目を動かして辺りを確認した。
体も動かしてみたかったのだが、どうも思うように動かない。
それだけでも私を不安にさせた。
ここは何かの部屋のようで、壁はコンクリートでできている。
辺りは薄暗く私の体だけに上から光が当たっている。
あちらこちらには、2、3人。いや、5、6人はいるだろうか。
難しい顔をした人達がせわしなく動いている。
そういえば…私は何と言う名前なんだろう……
何故、このような状況に陥っているんだろう……
私には家族や恋人はいるのだろうか……
どうして何もわからないんだ?自分自身の事なのに…
あ…もしかしたら、どっかで頭をぶつけて…それでぶっ倒れて病院に運ばれて記憶喪失になってるとか?
しかし、頭をぶつけた記憶など全く無い。
いやそれは当たり前か、記憶が無かったらそれ以降の記憶も忘れてる可能性もありうる。
じゃぁ、やはり記憶喪失になっているのか…
「あとは、データを入力するだけですね」
すると、希望に満ちた声が耳をかすめた。
データ?いったい何のデータだと言うのだろう。
入力するっていったい何処に?
まぁそんなに深く考えることでもないか。
どうせ、パソコンにでも入れて、何かしら病気にでも役立つ資料でも作っているんだろう。
それにしても私の傍でそんな資料作りなんてしなくてもいいのに…

ウィン…ウィン…

何だ…?この音は…
医者が使っているパソコンの音か?
でも、私の周りから聞こえる音ではない…
音は第一、耳を通じて能に送られるはずなのだが…頭の奥深くから聞こえてくる気がする…
人間ならこんなことは必ず無いはずだ。
というか、私は人間なんだろうし…
違う。私は人間だ。
「先生、私の子供はどうでしょう?」
扉らしき物が開くと同じに不安そうな声が聞こえた。
子供?あぁ、私の事か…
となると、この人は私の親ということになるはずなのだが…
「順調ですよ。あと少しです」
「先生には本当に感謝しています。お金ならいくらでもありますから…どうか…」
低く少し歳をとったような声とおちついたでも少し心配そうでしかし、綺麗な声が響きわたる。
お金ならいくらでもあるって、そんなに私は重い病気なのだろうか?
だから、体も動かないのか…?
そうだとしたら、うまく事がまとまる。

ウィン…ウィン…

まただ。これは本当に何だろう…
これだけはまとめられない。
良く聴いて見たところ、どうやら何かの機械音みたいだ。
ん?機械音?
普通、人の頭の中から機械音なんて鳴るのか?
鳴るわけない。機械音なんておかしすぎる。
頭打って、どうかしたのかもしれないな。

ブツッ…

あ…れ…意識が…
それにさっき、ブツッなんて音が頭からして…
なんか意味がわからなくなってきた。
「あとは、これで目を覚ませば完成です」
「ありがとうございます」
「さぁ、どうぞ。最高のロボットを―――――――」
ロボット?
私は急いで周りを見まわした。
そんなものは何処にも見当たらない。
あ…もう…駄目か……
どんどん意識は薄れていく。
しかし、私はそんな中でも頭を最大限に回転させた。

≪データを入力するだけですね≫

≪順調ですよ。あと少しです≫

≪ウィン…ウィン…≫

≪目を覚ませば完成です≫

≪最高のロボット≫

え…もしかして……
その瞬間私の意識は完全に停止された。
やっと導き出した答えを頭の中で言葉にしないまま―――――



 シーン1 【始まり】


がぁぁぁーぐぉぉぉーぐぁぁぁー

普通じゃない、このいびきが教室中に響きわたる。
どこからこんな声が出せるのだろうと、問いたくなるくらいすごい、いびきだ。
桜の木はすっかり花びらが散ってしまい緑の葉っぱが青々と茂っている。
教室には5月ならではのいい感じの日が差し込み、カーテンを軽やかに揺らし、体をポカポカさせ、生徒達を睡魔へと導く。
そんな中で最も導きやすい奴が居た。
斉藤華奈(さいとうかな)である。
1番席の端っこに彼女の居場所があり、いつもそこで堂々と寝ているのだ。
また、その場所は最も眠ってしまうバットポジションで、華奈はそのバットポジションに居なくても必ずと言ってもいいほど寝てしまうのに、そこにいると余計に深い睡眠へとはまっていく。
他の生徒達も何度も眠気に襲われるのだが、華奈のいびきによって何度も助けられていた。
そんないびきが鳴り響く中先生は朝の儀式である、生徒の出席を確認している。
次々に名前が呼ばれ、また生徒も次々に返事を返していく。
「斉藤華奈」
もちろん華奈の名前も呼ばれた。
しかし、全く反応しない。
斉藤ー斉藤華奈ーと何度も名前を呼ばれているのだが、起きる様子がまったくしない。
先生はついに、痺れを切らし席と席の間を縫って歩き華奈の席まで来た。
「斉藤ー起きろ。ここは、お前の家じゃないんだぞー」
すると、どっと教室がざわめく。結構周りがうるさくなって来たと言うのに華奈はまだ起きない。
「華奈ちゃん、華奈ちゃん。起きて」
ささやくように、隣の席の柊麻美(ひいらぎまみ)が声を掛けた。
もちろんそんな起こし方では華奈が起きるわけがない。
それが判っていても麻美は何回も声を掛け続ける。
そんな姿を先生はしばらくずっと見ていたが、麻美が可愛そうになったのか、もういいと言い麻美の頭をぽんぽんと軽く叩いた。
「いいかげんにしろっ!!ささっと目ぇ覚まさんかっっ!!」
机をダンッと叩きこう言い放った。
さすがにこれには目を覚まし、バタンと音をたてながら椅子から転げ落ちる。
クラスメートはその光景をみてさっきよりも大きな声で笑い、空気もヒートアップしてきた。
「華奈ちゃん……」
どこか呆れたような、心配するような声が麻美の口から漏れた。
男子の止む事がないような笑い声が教室を回っている中、華奈はゆっくりと体を起こした。
下を向きスカートについた汚れをぱんぱんとはたいて、落とす。
ごみは、ぱらぱらとゆっくり下に落ち、日の光に当たってキラリと光って少し綺麗に見えた。
そして静かに椅子を直して、スカートのプリーツを揃えて座った。
その様子を見届けた後、時計をちらっと見て足早に歩き、また教卓についた。
「はいはい、みんな静かにしろ。出席とるぞ」
先生の一言でさっきまで、めちゃくちゃうるさかったクラスが一気に静かになった。
先生は普通に言ったのだが、この先生はよほど、生徒に認められているのがわかる。
しかし、さっきの刺激はなかなか治まらないようで、一部の男子は静かに笑っていた。

2005/08/07(Sun)13:12:46 公開 / ラィ
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