『証言』 ... ジャンル:ショート*2
作者:松家                

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「――ええ、そうです。訊かれたことに、お答えしただけなんです。気がついたことがあったらなんでもいいからって、だから、わたしは、あの女のことを正直に申し上げただけなんです。――いえ、そんな、刑事さんが謝られることではありません。ええ、本当にいいんです。こういう場所に来るのが初めてなので、わたしも、少し戸惑ってしまって……先ほどの刑事さんに、失礼な云いかたをしたかもしれません。……ええ、そう、まだ一晩しか経っていないものですから、上手く整理のつかないこともあります。――もちろん、承知しています。重大な事件ですものね。わざわざ警察まで来たのですから、お付き合いします。……それで、彼との出会いからお話すればいいのですね。
 わたしと彼が知り合ったきっかけは、わたしの勤める病院へ彼が治療に来たことです。半年ほど前のことでした。病気ではありません。足首の骨折です。――そうです、市立総合病院です。入院加療だそうで、彼は五階の個室でした。わたしは外科病棟の担当ですし、フロアがちょうど自分の持ち廻りでしたので、一週間のうち何度かは、彼の病室に入りました。――いえ、怪我はたいしたことありませんでした。バイクを運転中に転んだということでしたが、スクーターでの単独事故だそうで、さいわい足首の骨折以外は擦過傷程度のものでした。――そう、それにしては長い入院でしたね。長いと云っても三週間くらいのものでしたけど。まあ、うちの病院では、たまにあることなんです。政治家なども利用しますから。……判りますでしょう?
 ――処置後の入院が長引いた理由ですか? それは判りません。部長か、院長に訊いてください。彼は、その種の人ではないですから、別に、病院側が隠し立てをすることはないと思います。――わたしの意見ですか? ……ええ、まあ、察しはつきました。……いえ、そうではなくて、彼が病室でノートパソコンを操作しているのを見て、直接に訊いたことがあるのです。はじめは、流行のネットベンチャーの社長かと思いました。いえ、初日はパソコンなんてなかったんです。だって、救急車で運ばれて来たのですから。だから、誰か、見舞い客が持ち込んだのだなって、そんなふうに思ってました。それに、ほら、彼の顔、ちょっと似ているじゃないですか、このところ話題の、なんとかって云う社長に。……でしょう。だから、わたし、声をかけてみたんです、松田さん、社長なんですかって。
 ――ええ、そうです。彼の名前は『松田あきら』です。運ばれて来たとき、ちゃんと意識がありましたから、彼自身が名乗ったのだと思います。病室の名札にもそう書いてありました。――いいえ、最初は教えてくれませんでした。なんか、はぐらかされてしまって、彼、面白がって笑うんです。もちろん、ネットベンチャーの社長ではありませんでした。……そう、わたしも、小説は結構読みますから、なんとなく引っかかることがあったのだと思います。帰りがけに駅前の本屋さんに寄ったんです。彼、あまりメジャーじゃないから、すぐには見つけられませんでした。……ええ、ありました。中高生向けの書棚に二冊だけ。――買いましたよ。それで、翌日、彼の病室を訪ねて買ったばかりの文庫本を見せたんです。いえ、驚くというより、彼、ちょっと気取ったふうでした。わたしが、有名人さんだから是非サインを、とねだると、仕方がなさそうに、表紙の裏にサインをしてくれました。
 ――ええ、嬉しかったですね。本に作者のサインをしてもらったのは生まれてはじめてでした。その晩は夜勤だったのですが、手隙の時間に読みました。――内容ですか? 恋愛小説ですね。男女が恋に落ちて、様々な試練をかいくぐり、最後はハッピーエンドという……。そうですね、こういう具合に云ってしまうと、いかにもありきたりで、つまらなそうに聞こえますが、結構おもしろいですよ。恋敵が現れたりとか、波乱万丈があって……。
 ――ええ、そうです。だから、パソコンで小説を書いているのだなって気づいたんです。いえ、彼の口から聞いたのではなくて、ちょっと覗いたら、パソコンの画面に沢山の文字が並んでいましたから。もちろん、ふだんは、そんな不躾なことはしません。本当に、ちょっと覗いただけなんです。患者さんのプライベートなことですから、最初は全部わたしの想像です。でも、そうですね、ほとんど確信してましたね。……ほら、よく云うじゃないですか、小説家は、ホテルや旅館に缶詰にされて、小説を書かされることがあるって。だから、わたし思ったんです、骨折をいいことに、彼が編集者に云われて、ここで小説を仕上げているのだなって。小説家が病院に缶詰っていうのは、あまり聞かないですけどね。さいわい、足首以外は本当に健康でしたから、ちょうど良かったのかもしれません。実際、彼のマンションに行くようになってから、彼がそうやってパソコンで小説を書いているのを見ました。
 ――はい。お付き合いをはじめたといっても、三ヶ月ほど前からです。彼が退院してからは、連絡の取りようがありませんでしたから。とくに電話番号を訊いていたわけでもありませんし。そりゃ、調べようと思えば調べられましたけど、そういうことは、してはいけない規則になっていました。……ええ、そう、街で偶然に彼を見かけたんです。はい、わたしから声をかけました。彼の名前を呼んで、お加減はいかがですかって。――ええ、たいがいの人はそう云います。白衣を着ていないと、そうみたいですね。彼も、最初は、わたしが誰だか判らなかったようです。それで、わたしが病院と自分の名前を名乗ったら、すぐに思い出してくれて。いえ、そのときは、もう、彼は松葉杖は使っていませんでした。ちゃんと靴を履いていましたから、ギプスも外れていたようです。――いいえ、お茶を飲んだだけです。そうですね、彼の書いている小説のことを話したと思います。わたしが感想を云うと、彼は興味深そうに、もっと話してくれと。正直なところ、わたしは子供っぽい意見しか云えませんでした。評論家ではありませんから、本当に他愛ないものです。はい、でも、彼はもっと聞きたがって、それで、また逢うことにして、お互いの連絡先を教えあったんです。
 ――ええ、行きましたよ。お食事とか、映画とか、何度かそういうデートをかさねた後に、誘われたので、彼のマンションについて行きました。――いいえ、マンションは仕事部屋だと云ってました。実家は郊外にあるのだって。そう、新聞もとっていないようでしたし、郵便もなかったですね。引っ越しをしたばかりと云ってましたから、家具の少なさも、そのせいだと思っていました。テレビも炊飯器もなかったんですよ。ええ、本当になにもない部屋で、デートの後に泊まるだけでした。でも、わたしも新聞やテレビは見ないですから、とくに不思議とも思いませんでしたね。――いえ、彼は無口な人でしたから、そういったことはあまり口にしません。一人っ子で、実家にはご両親が住んでいると聞きました。よくは知りませんが、たまに実家に帰っていたようです。洗濯物とか、着替えは、そのときに取り替えていたのだと思います。彼のほとんどの荷物は、まだそのままにしてあったみたいですね。
 ――はい。間違いありません。昨日、事件があったのは、そのマンションです。
 ――わたしの行動ですか? 昨日は、わたしは日勤でした。それで、五時には仕事の引継ぎを終えて病院を出ました。ええ、彼と約束をしていましたから、そのまま待ち合わせの場所に行きました。――そうです、駅前の広場です。一時間ほど待ちました。その間に、何度か彼に電話をしたのですが、電源が切れていたようで繋がりませんでした。――いいえ、一度もありません。デートに遅れそうなときは、いつも彼のほうから連絡をしてくれました。ええ、だから、おかしいなって思ったんです。そう、彼のマンション以外は思いつきませんでしたから、それで、とりあえず向かいました。
 ――はい。鍵は掛っていませんでした。二、三度ベルを鳴らしても応答がなかったので、ノブを回してみたんです。ええ、開きました。玄関から呼びかけたんですが、返事がなくて、奥の部屋まで行ったんです。彼が倒れていたのは、その部屋です。うつ伏せで……ええ、血まみれでした。背中に包丁が刺さっていたのは、すぐに判りました。――いえ、そのときは、なんとも。はあ、そうですね、強盗かどうかはともかく……ええ、しばらくは何も考えられなかったです。はい、わたしは看護婦ですから、彼の脈を調べました。もちろん、冷静ではなかったです。何度、名前を呼んでも、彼、動いてくれなくて。――いいえ、病院とは違います。こういう場面に慣れているわけじゃないです。他に誰もいなくて、わたしひとりだけですし。でも、とにかく、彼を助けたくて……。
 ――ええ、本当に。はい、お気遣いくださって、ありがとうございます。昨夜は、ほとんど眠れなくて……ええ、大丈夫です。続けてください。
 ――そうです。わたしが、救急車を呼びました。そう、警察に通報したのは救急隊員の方です。たしかに、そのときまで、その、殺人事件だなんていう発想はなかったです。実を云えば、いまでもそういう感覚はありません。そうなんです、彼を失ったっていう実感がわかなくて。――いいえ。昨日からずっと新聞もテレビも見ていません。ええ、まだ、そんな気持ちにはなれません。どんな報道をされるかなんて興味ないです。それに、昨日の今日では、見る暇もありませんでしたから……。
 ――犯人の心当たりですか? ええ、そうですよね、判ります、どんな情報でもいいんですよね。……その、これは、先ほども他の刑事さんにお話したことですが、実は、彼は、わたし以外にも、もうひとり女性と付き合いがあったようなんです。ええ、そう、『みな』という女です。
 わたし、以前に、マンションで彼のパソコンを開いて見たことがあるんです。いえ、電源が入ったままでしたので、彼がバスルームにいる間に、ちょっと覗いて見ただけなんです。――ええ、そうです。彼宛の電子メールを盗み見てしまいました。もちろん、罪悪感はありました。でも、なんて云うか、そのときは好奇心が勝ってしまって。いえ、本当に偶然なんです。てっきり、小説を書きかけたままにして、シャワーを浴びにいったのだろうって思ったんですけど、電子メールのソフトが画面に出ていて……ええ、いけないとは思ったんですけどね。……その、ラブレターみたいだったんです。それで、送信者のところに『みな』ってあったものですから。
 ――ああ、彼のパソコンからプリントしたのですね。ええ、そうです、これです。いえ、見たのは、四、五通だけで、全部は読んでいません。でも、『みな』からのメールは、びっくりするくらい、たくさんありました。ほとんど毎日のように送ってきていました。ええ、たしかに、最初は、わたしも彼のファンかとも思ったんですけど、ただのファンが毎日ラブレターを送ってくるはずないじゃないですか。それに、内容があまりにも露骨でしょう。ずいぶんと親しげでしたし、口調も恋人そのもので。――そうでしょう? 誰だって、これを見たらそう思います。だから、わたし確信したんです、わたしの知らないところで『みな』は彼と付き合っていたんだって。
 ――携帯電話ですか? いいえ、そこまではしません。
 ――恋人の動向を気にするなら、真っ先に携帯電話を調べるはずだと? ええ、そうですね。そのとおりです。確かに、最初に盗み見たのは彼の携帯電話です。お恥ずかしい話ですが、彼と付き合うようになってから、わたし、すごく心配だったんです。だって、ほら、彼、ほとんどなにも云わないじゃないですか。友達のこととか、家族のこととか、なにも話してくれないんです。そりゃ、わたしが訊けば、少しは話してくれますけど、なんか白けちゃうっていうか。……ええ、それで、なんとなくそういう話題はしないようになってしまって。――いえ、秘密とか、そう云うんじゃなくて、本当に、彼、無口なんです。
 ――ええ、それで、あのラブレターを読んでしまったものですから、いてもたってもいられなくなってしまって。いえ、『みな』の電話番号は見つけられませんでした。それで、イニシャルでエムとか、いろいろ探したんですけど、それらしいのはなかったんです。――はい、調べました。でも、メールのところは、広告ばかりだったし、着信履歴とか、リダイヤルとかにも残ってないんですよね。ええ、でも、絶対に『みな』の連絡先はあります。だって、不自然じゃないですか、あれだけラブレターを送ってくるような女が電話をかけてこないなんて。だから、きっと男性の名前で、判らないようにしていたんだと思います。ええ、そう、『みな』が、そういうふうに仕向けたんです。
 ――いいえ、嫌ですよ。そんな『みな』が彼と逢っているところなんか、見たくもなかったです。でも、わたしに隠れて密かに逢っていたのかもしれません。きっと、『みな』は、陰でわたしを笑っていたんです。わたしをさしおいて、二人で幸せになるつもりでいたんです。――ええ、間違いありません。だって、わたし見つけたんです。あれは、三日前のメールです。すごく短い文章でした。はっきりと憶えています。『みなとあきらは結婚します』と、そう書いてありました。いえ、それも本当に偶然なんです。そんな、毎回チェックしていたわけじゃありません。――ええ、そうですね。気になって、しかたがなかったのは事実です。たしかに、おっしゃるとおり、くせみたいになっていたのかもしれません。
 ――どう思ったかって? それは、最初はびっくりしましたよ。もちろん、悩みました。でも、かってに携帯電話やパソコンを調べた後ろめたさもありましたから、すぐには彼に問い詰められませんでした。――どうしてって、そんな、嫉妬深い女だなんて思われるのは嫌じゃないですか。それに、彼は人付き合いのことを訊かれるのを、あまりよく思ってなさそうでしたから。だいいち、彼には、わたしという女がいるんです。それを、そんな横から奪うなんて、絶対にできるわけないんです。――ええ、もちろんです。彼の気持ちは、わたしにあったんですから、全部『みな』が思い込んでいただけなんです。
 ――いいえ、わたしは機械は苦手なほうですから、コンピューターのことはよく解りません。――ブラインド、カーボン、コピー? ……ああ、なるほど、大勢の人にいっぺんにメールを送れるんですね。そこまでは憶えていないのですが、云われてみれば、たしかにそんなマークが付いていたかもしれません。つまり『みな』は、知り合い全員に、彼と結婚すると、報せていたんですね。
 刑事さん、……わたし、やっぱり『みな』が犯人だと思います。『みな』以外に、彼を傷つけようだなんて考える人間は思いつきません。だって、わたしと彼が離れるわけがないんですから、いくらかってに思い込んだって『みな』が彼と結ばれることなんて出来ないんです。だから、あんな嫌がらせのようなメールを送りつけたりして、彼を困らせていたんですよ。そんなことをしたって、彼が振り向かないのは当然です。きっと、彼も、本当に嫌気が差していたんだと思います。それで、彼に冷たくされて逆上したんです。
 ――誤解って、どういうことですか? わたしがなにを誤解しているというのです?
 ――アドレス? ドメイン? はあ、よく解らないのですが……それは、彼の携帯電話を『みな』が使っていたということですか。そんなの、ありえませんよ。だって、彼は、いつも持ち歩いていたんですよ。――違うって? 刑事さんがおっしゃっているのは、そういうことでしょう。
 ――意味が、よく解りません。彼が表示名を『みな』にしていたって……つまり、それは、わたしが見た『みな』という名前で書かれていたものは、彼の携帯電話から送信されたメールだったということですか。どうして、そういうことになるのですか。――思いついたことを忘れないうちに? ……出先から、送っていたというのですか? 小説のアイデアを? ちょっと待ってください。それじゃあ、あのラブレターは、全部、彼が書いたっていうんですか。
 ――嘘です! だって、彼の携帯電話には、そんなメールを送ったようなしるしは、なにも残っていなかったんですよ。――削除した? 彼自身が消したっていうんですか。送信した直後にいちいち消していたというんですか。どうして、そんなことがいえるんですか!
 ――いいえ、信じません。そんな通信記録なんて、でたらめです! そんなの、刑事さんが、いいように考えただけです。絶対にそうだなんて云い切れないじゃないですか。『みな』は、わたしから彼を奪うつもりだったんです。それができないと知って逆恨みしたんです。それで、彼を刺したんです。『みな』が彼を殺したんです! 
 ――わたしは落ちつています! そんなことより、早く『みな』を捜したらどうなんですか。――いいえ、とても、そうは思えませんね。もっと捜しようがあるでしょう。こんな意味のない話ばかりしてるくらいなら、聞き込みとか、いろいろすることがあるじゃないですか。人を馬鹿にしたような顔をして、なにがおかしいんですか。
 ――だから、さっきも云ったように、わたしは、昨夜からずっと新聞もテレビも見ていません。だいたい、昨日は帰ったのは夜中です。今日は朝から警察に呼ばれてここにいるじゃないですか。ええ、彼は有名人ですからね、そういった記事はたくさんあるでしょうね。そんな面白おかしく書き立てた記事なんて見たくもない。――だから、わたしが知らないって、どういうことです? ――彼の名前? 刑事さん、なにを云ってるんですか。彼の名前は『松田あきら』です。さっき、そう云いました。マンションの表札にだって、ちゃんとそう書いてあったでしょう。見なかったんですか? いまさらなにを云っているんです。――ペンネーム? 彼の名前『松田あきら』がペンネームだっていうんですか。……だから、なんだっていうんです?
 ――彼の運転免許証? ええ、見せてください。
 ――湊晃……みなとあきら……。これが……彼の、本名なんですか。
 ――待ってください。これは、なにかの間違いです、刑事さん、悪い冗談はやめてください。
 ――ええ、この写真の顔は、確かに……彼です。……そんな、それじゃあ、あのメール、『みなとあきらは結婚します』というのは、彼が、自分の友人や知人に送ったメールだったんですか。でも、じゃあ、『みな』は、そういう名前の女は、本当に存在しないっていうんですか。――嘘よ……わたしの彼を横取りしたのが『みな』じゃなかったら……だったら、彼は、誰と結婚しちゃうっていうんです!
 ――彼が、周囲に話していた? 市立病院の看護婦と結婚すると? いいえ、知りません。わたしは、そんな出版社の人とは、まったく面識がありません。だいいち、彼の友人やご両親にも会ったことがないんです、そんなこと、わたしが知るわけないじゃない。
 ――ちょっと待ってください。……刑事さん、それじゃあ、あなたは最初から、それを知っていて、わたしにこんな証言をさせていたんですか? ……なんてことを。ひどいじゃないですか! あんまりじゃないですか! 人を馬鹿にするのもいい加減にしてください! これじゃあ、なにもかも台無しじゃないですか! わたしは彼に、わたしだけの彼になって欲しかっただけなのに……なのに、どうして、こんな滅茶苦茶なことにしちゃうんですか! ……ええ、そう。あの包丁は、わたしが買いました。他の女に、彼をとられるくらならって、そう思って、買ったんです。だって、本当にとられたくなかったんです。彼はわたしだけのものなんです。ようやく、わたしだけのものになったんです。
 ――そんなこと、彼に云えません。……なぜって、彼は、そういうことを話したがらなかった。だって、わたしから問い詰めたら、彼に嫌われちゃうじゃないですか。あたりまえでしょう、彼に、わたしと結婚してほしいなんて、そんなこと、云えるわけないじゃない……。
 ――自白、……ええ、……ええ、……そうね、そう受け取って頂いて構いません。……ええ、大丈夫です、正気です。……判ります、調書ですよね。――弁護士? ああ、その台詞、誰かの小説で読んだことがあります。まさか、現実になるなんて……、本当に、思っていませんでした……」



2005/05/30(Mon)00:56:18 公開 / 松家
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