『ブツン』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:I                

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最近みんなが私を避ける。
声をかけても無視をするし、肩を叩いても知らん顔。
友達だけじゃない。家族までもがそんな態度をとる。
まるで私がいないみたいに…。
最近みんなの様子が変だ。
よく泣くのだ。それも普通の泣き方じゃない。わんわん泣く。母や親友の由梨なんか毎日のように大泣きをする。それも私にゆかりのあるものを見たり聞いたりするたびに。
彼女達が泣くたびになぜか私は自分が泣かしたようなひどい罪悪感にとらわれる。
最近私も変だ。
なぜかご飯が食べたくない。いや食べなくても大丈夫になっているといったほうが正しいのかも知れない。
眠る必要もトイレに行く必要もないようだ。
暑いとか寒いとかそういうのも感じない。


そんな生活が怖くなった。自分が消えていきそうだ。
怖い怖い怖い怖い。

我慢が出来ない。不安に耐えられない。誰か話を聞いて…。

その日の夜、母が一人で私の大事にしていたぬいぐるみを見つめていた。
なぜかその姿はすごく悲しく寂しく感じた。
「ねぇ…お母さん。」
返事がない。
「お母さん。」
返事がない。
「お母さん…お母さん?お母さんってばぁ!!」
母がうなだれて
「ああ、どうしていなくなっちゃったの。美恵…」
美恵…なんだったっけ…美恵、美恵…。
!私の名前だ!何故忘れたんだろう…。大切な名前なのに…。
そういえば友達の名前もわからなくなってきた。
それよりも母は何故いなくなったなんて…?
「なに言ってるの?私はいつも此処にいるよ?おか…あさん?」
いま母のことも忘れかけたのか。
私は驚き恐怖に震える。
ふと母の目に水がたまり膨らんでいくのに気がついた。
「泣かないでよ。お母さん!私は此処にいるよ!」
母の肩が震えだす。

私は母の顔を見ながら必死で「泣かないで」と叫んだ。
母が顔を上げる。もう…泣かないよね?

安心した矢先、母の口が動いた。
「美恵…なんで死んでしまったの?」

ブツン

あれ?あの女の人は誰?私は何をしているの?早く天国に行かなくちゃ。










2005/04/24(Sun)13:00:10 公開 /
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■作者からのメッセージ
初めまして、新参者ですがよろしくお願いします。

小説、かなり短くなってしまいすみません。
話は「自分が死んだことに気づいてない主人公が自分が死んでいることに気づいた瞬間、本当に死んでしまう」って話です。

感想、ご指摘お願いします。

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直してみました

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