『恋は平等主義者だから。』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:闇螺 駆弄                

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 一国の王女として、この世に生を受け16年。

恋をする事なんて、一生無いと思ってた。
しかし、そんな彼女にも、恋は訪れました。
恋は平等主義者だから。
彼女の恋は唐突に始まったのでした。
なんの、前触れも無く。








 リスダム暦5687年の、4月1日。

その日は、リスダム王国の王女、
シフォン・テス・リスダム67世の16歳の誕生日の前日でした。

 夕暮れ時の、日が沈む時間。

王国の中心、リア城の、王女の部屋に、シフォンの姿はありました。
シフォンは、お洒落な感じの椅子に腰掛けて、
開け放たれた窓から、外を、寂しげで、どこか期待に満ちた目で見つめていました。
シフォンは長い、黒髪の美しい美女で、まだ少し子供のあどけなさが残っていましたが、
落ち着いた雰囲気を醸し出していて、それは、この部屋の雰囲気にもあっていました。
その時です。
部屋のドアが開きました。
シフォンが驚いて振り向きましたが、
相手が誰か分かると、すぐに表情を緩めました。
部屋に入って来たのは、城の兵士達をまとめる、兵士長のラグナーでした。
ラグナーは、いつもの様に鎧姿でした。
歳は、だいたい25歳くらいでしょうか。兵士史上異例の若さで、
兵士長に上りつめたラグナーは、とてもがっしりとした体つきで、みるからに頼りがいがありそうでしたが、
見かけによらず、心配性で、生真面目すぎるところが玉にきずです。
でも、なんだかんだ言って、シフォンは、この生真面目な兵士が好きでした。
ラグナーは、シフォンに敬礼した後、跪いてから話しかけようとしましたが、
シフォンは、それを止めました。
「ラグナー。もうやめて!
跪くとか、そう言う形式上の事はしなくていいって言ったじゃない。
ほら立って!」
ラグナーは、渋々と言った様子で立ち上がりました。
そして、珍しくラグナーはシフォンに講義しようと、口を開きかけましたが、
シフォンがそれを制しました。
ラグナーは、力なく口を閉じ、その後、用件を言いました。
「明日、姫様の誕生日に、城の演劇の間でフィアランスと言う劇団が、一国の王女と市民の恋を表した演劇を行います。
姫様の誕生日記念のようなものなので、夜の9時に演劇の間に来てください。
姫様は特別席ですので、他の貴族より見やすい位置になっています。」
シフォンは、上の空で答えました。
「ええ、行くわ。」
ラグナーは、敬礼して、「失礼します。」と一言言って、去っていきました。

 一人部屋に残されたシフォンは、ため息をつきました。

そう。シフォンは、なんの変わり映えも無いこの生活に、いい加減飽き飽きしていました。
シフォンは、一国の王女として生まれた事自体、あまり、よく思っていなく、
どちらかと言うと普通の市民として生まれたかったのです。
王女としての生活は、確かに、普通の市民より、ずっと裕福ですし、
贅沢が出来ます。
しかし、シフォンは、王女のままでは、絶対にかなわない物を求めていました。
それは“自由”、そして、“恋”でした。
もう、シフォンは、“城”とゆう名の檻に、閉じ込められたくありませんでした。
“姫”とゆう名の鎖に、縛られたくありませんでした。
そして、シフォンは一度くらい、自由に“恋”をしてみたかったのです。
シフォンは、十日前から、城から、そして、姫としての義務から逃れるために、脱走を考えていました。

 十日前の朝の事です。

その日は、見事な快晴で、空には雲一つありませんでした。
シフォンがいつもの様に城の大きな庭で、散歩をしていると、
後ろから、シフォンの友達で、城の掃除係を担当している、ルアナがやって来ました。
ルアナはシフォンに「おはようっ!」と声をかけました。
シフォンも「おはよう。」と返しました。
ルアナは、シフォンより2歳年下で、シフォンにとっては妹的存在です。
前より少し、大人っぽくなったとはいえ、その愛らしい笑顔は、まだ子供そのものでした。
いつも元気で明るい性格ですが、少しハイテンションすぎるので、ついていくのが大変です。
シフォンは、こんな無邪気なルアナが大好きでした。
ルアナが興奮して言いました。
「聞いて、シフォン! 大ニュースよ! 大ニュース!」
シフォンが、「えっ、なにそれ?」と聞き返すと、ルアナは楽しそうに答えました。
「シフォンの誕生日に、フィアランスって言う劇団が、城の演劇の間で一国の王女と市民の恋を表した演劇をするんだって。
ラグナーと、シフォンのお母さんが話してたよ。」

 それは、シフォンにとって、またとないチャンスでした。

シフォンは、このときから、脱走計画を練っていました。
演劇当日の日に、フードのついた服でも着ていけば、脱走する時に、うまく貴族達に紛れ込めますし、
シフォンの母、シルビア女王や、女王直属の兵士、ラグナーなども、きっと、演劇に夢中で、シフォンがいなくなったことには気づかないでしょう。
シフォンはベットに横になりました。
そして、明日への期待をこめて眠りました。

 ついに、シフォンの誕生日の日がやってきました。

夜が来るのをあまりにも待ちわびていたせいか、
シフォンは朝の時間や昼の時間が過ぎるのをやけに遅く感じました。

 同じ時間、劇団フィアランスは、

城の控えの間で、劇の練習をしていました。
「おまえとセシリアがどんなに愛し合っていても、結婚はならぬ!
セシリアは、このクライス王子と結婚するのだ。」

2005/03/22(Tue)17:17:14 公開 / 闇螺 駆弄
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■作者からのメッセージ
小説を書くのは初めてです。
頑張って、面白い作品に仕上げたいと思います。

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