『倍々人間【読み切り】』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:新先何                

123456789101112131415161718192021222324252627282930313233343536373839404142
 俺は精神会社を営んでいる。今まで何もトラブルを起こさず今の状況に満足していた。そんな時、佐藤が来た。
「僕が増えてるんです」
 その時は何が言いたいか分からなかった。
 落ち着いて話を聞くとどうやら佐藤という人物が増え続けているらしい。
「最初は気づいたら隣に自分と似た奴がいたんです。ビクッリして呆然としていたんですけど気づいたら今度は4人に増えてるんです、はいそうですどうやら僕、30分ごとに倍々になってくんです。」
 30分で倍に、倍々人間とでも名付けようか。
「それは何分前かね?」
「2時間ぐらい前です。」
 となると……今は16人か。

 急に佐藤の顔が歪んでくる。すると、佐藤が二人になった。
「ああ……これで32人。」
 俺は唖然とした。

 テレビでは31人の佐藤が画面を窮屈そうに並んでる。
 原因はなんだろう?ウイルスか、突然変異か、それともこれは神の忠告なのかもしれない。

 何も解決策が無いのでとりあえず俺は佐藤が増えて行くのを眺めながらカウンセラーをしていた。
 もうすぐ佐藤が増え始めてから4時間30分、今佐藤は256人、あと6分で512人。
 5分
「先生どうしたらいいでしょうか?」
 3分
「しかし解決方法がないんじゃどうしようもないですよ。」
 2、1分、30秒、5、4、3、2、1

 佐藤が消えた。
 テレビの佐藤も消えてしまった。
 なぜだ、倍々人間は4時間30分できえてしまうのか?

 それからだ、うちの病院には倍々人間の患者が何人も来たがどの人も4時間30分で消えてしまった。
 外では倍々人間たちが最後の一時としていろんなことをしている。
 ある人は好きだった人に告白をして、ある人は借金をして大人買いを楽しんだり、またある人は万引きや銀行強盗など犯罪をする人もいる。
 この謎はいまだに原因がわからない。
 倍々人間か、いつか俺もなるんだろうか、そのとき俺はどうするだろう。
 倍々人間……倍々 人間
 その事実に気づくのが遅いか早いかはわからない。
 ただ俺の隣にはもう一人の俺がいて、俺はあと4時間30分で消えることに変わりはない。
 だから紙に遺言としてこの事実を伝えなければならない。

「倍々人間→バイバイ ニンゲン」

 そのころ地球の隣には地球があり、宇宙の隣には宇宙があるかもしれない。

2005/01/16(Sun)09:11:37 公開 / 新先何
■この作品の著作権は新先何さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
えー長篇ですが挫折してしまいました…
自分には長篇は難しすぎですのでこれからは静かに短編ばっかかいていきたいです。
本当にすいません。長篇の方は後ほど消させてもらいます。ご迷惑をおかけしました。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
等幅フォント『ヒラギノ明朝体4等幅』かMS Office系『HGS明朝E』、Winデフォ『MS 明朝』で42文字折り返しの『文庫本的読書モード』。
CSS3により、MSIEとWebKit/Blink(Google Chrome系)ブラウザに対応(2013/11/25)。
MSIEではフォントサイズによってアンチエイリアス掛かるので、「拡大」して見ると読みやすいかも。
2020/03/28:Androidスマホにも対応。Noto Serif JPで表示します。