『記憶探し』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:ゆうな                

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優奈(ゆな)はベットに寝ている少女を見ていた。

……?

優奈はベットの上の少女を見ながら考えていた。
少しの考えの結論の末…。
「これってあたし?」
自分のことを指差しながら優奈は言った。そう。優奈の前にベットで横たわっている優奈がいる。
(そうよ)
突然声が聞こえ…いや正確には直接頭の中に聞こえてくる感じだ。
優奈は本能的に後ろを振り向いた。そこには死相が出ている美白の少女が優奈のことを見ていた。
「あなた誰?天使?ていうかあたしどうなっちゃてんの?死んじゃったの?これがよく言う幽体離脱?」
膨大な質問を言われても少女は何一つ顔を変えず静かに優奈の質問に答えた。
(天使?……そうね。あなたたちの世界ではそれが一番適している言葉ね)
少女は少し笑みを浮かべながら言った。
(あなたは今、世界と世界のちょうど間にいるの…)
「はぁ」
(あなたは死んでるわけでもない。かといって生きてるわけでもない)
優奈にはチンプンカンプンだった。
「でも…。なんでこんなことに?」
そうだ。考えてみればなんでこんな事態になっているのか意味がわからない。
(昨日は確か……あれ?あたし、昨日なにしてたっけ?つーかあたしって誰?)
記憶がだんだんおぼろげになってきている。なんでさっき目の前に横たわっている少女が自分だとわかったのかもわからない。
たった数分まえの出来事が理解できない。
(覚えてないの?このまま行けばあなたはもう一つの世界に行くことになるわね)
動揺している優奈を見て少女は苦笑した。
「もう一つの……世界?」
だいたい予想はできるが……
(あなたたちの世界で言えば「あの世」とか「天国・地獄」がもとっとも適してる言葉)
「えっ何?死んじゃうわけあたし!?やだやだ絶対やだ!」
(どうして…)
 少女は平然と聞き返す。
「だって死んだらなんにもできないし。まだやりたいことも…」
(生前の記憶がないのに、何かあるの?)
確かにそうだ。とっさに「やりたいこと」と言ったものの記憶がない。
「じゃあたしどうすれば…」
 優奈はさらに動揺した。記憶は…ない。でも何かをやり残した気がする。
(あなたにはまだ記憶が残ってるみたいね。半紙の厚さくらいに等しい記憶が)
「…?」
優奈は首を傾げた。優奈の仕草を見て少女は少しだけ苦笑した。
(あなたの記憶を探すのはどう?)
「え?」
(このままでいいというなら『死』という世界にいくし、記憶を探して生きたいと思うなら『生界』にいくこともできる)
優奈は思い悩んだ末……。
「あたし…探してみるよ」
優奈は何かをやり残しているような気がした。その『何か』がとても気がかりでしょうがない。
だから
(そう…)
少女は澄んだ瞳で優奈を見た。
(なら行きましょう…)
少女が言った同時に優奈は眩い光に包まれた。

-続く-

2005/01/10(Mon)12:02:51 公開 / ゆうな
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■作者からのメッセージ
なんかふと思いついたので書いてみました。(笑)
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