『華』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:ぺぽ                

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こんな顔に生まれたのは私のせいなの?

可愛くて綺麗だったら何してもいいの?

私は何のために生まれてきたというの?






暖かい春、まだ、入学して間もないけれど桜は緑に変わろうとしていた。

そんな時

「ムカツク…」

毎日この教室という牢獄に聞こえる言葉。

誰が言ったのかは分からないけれど、それが私に向けられた言葉ということはすぐ

に分かった。

「美華」

美華、それが私の名前、美しい華と書いて美華。

誰がつけた名前なのか知らないけれど、見た目と似合わない名前をつけられて迷惑

してる。

「美華、私予習してくるの忘れちゃってさぁ、ノート貸してくれない?」

綾だ…学校がある朝、綾は私に絶対言ってくる。

「早く貸せよ!」

ためらっていた私に苛立ったのか強引に私からノートを奪った。

「何だ、やってんじゃん借りるねー」

そういって自分のグループにもどる綾。

綾はクラスで一番目立っていて女子にも男子にも人気。とうてい私には手の届かな

い存在…

どうやら彼女の目には私は目障りらしく…いや、私の知ってる人たち全員はそう思

ってるに違いない。

私はこれでもか、というくらいに醜い顔立ちをしているからだ。



そして一限目が始まった。

しかし綾が持っていった私のノートは帰ってきてない。

昨日は筆箱、その前は教科書。一限目の教科は必ず何かが私の机に足りないのだ。

「なんだ?また忘れたのか、お前いいかげん二年にあがれないぞ?」

「それは―…」

と、私が言葉を詰まらせた。そのとき後ろの席から手紙が回ってきた。

『チクったら分かってるよね?』

(綾だ…)

背中にゾクッと寒気を感じた。

(見られてる…)

「それは?」

先生の言葉にハッとし私は下を向いたまま首を横にふった。

(怖い…)

私の中で綾に対する思いが定まった。

私はこれから毎日こんなことをさせられるのかと思うと空気がぐんっと重くなった

気がした。





2005/01/06(Thu)13:29:32 公開 / ぺぽ
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