『狼人形(ろうにんぎょう)【読みきり】』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:瀬尾ちま                

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彼が気づいたのは高校に入ってからだった。
今まで満月なんて見たことも無かったマット。
高校の合宿会でキャンプをしたとき、満月を見たマットは
狼男の様に、邪悪な心を孕んだ。

そして彼は満月の夜になると女性を殺してしまう。
・・・狼男の様に。

マットはその事実をあまり理解していなかった。
自分が狼男になっているときは、意識がなく
目を覚ますと隣に女性の骨があって不思議な気持ちだった。
そんなマットも大学生になり恋をした。
出会いは外国語のテストの時、マットはうっかり筆記用具を忘れてしまったが
隣にいたリーが貸してくれ、マットは惚れてしまった。
そして今、マットとリーは付き合っている。
ある夜、ふたりでバーに行ったときのことだった。
リーは突然吐き気をうったえた。
リーの吐き気は学校や次のデートでも起こった。
そして、リーは事実を言った。
「ごめんなさい、マット。私子供が出来たの」
リーの子供はマットとの子供ではなかった。
リーは目から涙を出して、マットの前から去った。
これでリーとマットの関係は完全に終わったと思ったが違った。

ある夜、マットは大勢の友達とパーティーをしていた。
「おいマット!リーも来てるぜ」
マットの友達はマットをリーがいる場所へ無理矢理連れて行った。
「ふたりだけになれよ」
そう言われ、二人は外に出た。
「なあリー、俺はまだお前が好きなんだ」
「でも・・・」
リーはお腹をさすった。
そしてマットはリーを抱きしめた。
その時、マットの目に丸く、光る、そう満月が見えた。
マットは急に目を黒く輝かせ、抱きしめていたリーを突き飛ばした。
リーは芝生の上に倒れた。
「キャァァァァ!」
思わずリーは悲鳴を上げた。
マット、いや狼男はリーの膨らんだ腹部を引き裂いた。
同時にリーは息を引き取った。
狼男はリーを喰った。もちろん、お腹にいた子供も。

それから時が経ったころ。
マットは急に腹部の痛みを感じた。
Tシャツをめくると、腹部で何かが動いているのがはっきり見えた。
そして、マットのお腹は日に日に大きくなっていく。
マットは何かを孕んでしまったのだ。
それでマットは医者に見てもらった。
医者はマットを触診したり、お腹の音を聞いたりした。
そして超音波検査ではモニターにある物体が写った。
「奇跡です、あなたは何かを妊娠していますね」
マットはわかった。これはリーの子供だと感じとった。
マットの腹の中の物体は急激に成長した。
そしてマットは陣痛のような痛みを感じた。
医者はマットを分娩室へ運んだ。
苦しい痛みがマットを襲った。そして腹の中の物体はぐるぐる動いている。
どうしようもないので医者はマットの腹を切開した。




腹の中から狼が飛び出した。






マットはその狼に噛み殺されてしまった。

2004/12/24(Fri)18:27:42 公開 / 瀬尾ちま
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■作者からのメッセージ
はじめまして、瀬尾ちまです。
なんか終わり方が思いつかず、変にきれてしまいました。
・・・難しいです。
このようなものですが、よろしければご感想をお願いします。

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