『DEIZU』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:鼎                

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『―ジルド、もし、もしもだよ?私が魔女だったら、ジルドはどうする?』
『そりゃぁ、驚くよ。何でも願い事叶えて欲しいね。なんでそんな質問すんだ?』
『ううん、ただ、何となく。』
そう・・・ただ、なんとなくだったんだよ、本当に・・・。その頃は。



「先生、またジルド君が寝ています。」
「何?全く・・・ジルド!!起きなさい!!」
「ぐわ!!・・・っ先生〜、そんな耳元で大声出さないでよー。」
「勉強を聞かないあんたが悪いんでしょ?・・いい?じゃぁ話すわよ。」
「うへ〜・・い。」
「―今から約500年前、この世界は魔女と私達、イセリミ人が住んでいたの。イセリミ人は魔女と平等に暮らそうと思っていたの。でも、魔女は平等なんて嫌だ、て言ってどっちが上か、戦争を試みたの。もちろん、イセリミ人は戦争を嫌がったわ。でも、魔女がどんどん攻撃してくるから、遂に戦争に参戦した。結果はもちろん敗北だった。この世界は、ほとんど魔女に支配された。しかし、そこに光の紋章が刻んである、「朱雀真琴」と言う剣を持った一人の若者が立ちはだかった。彼は強かった。瞬く間に魔女を消し去った。そしてこの世界に、イセリミ人に平和が帰って来た。しかし、魔女の生き残りはまだ居る。それを倒す為、「朱雀真琴」を自在に操れる勇者が出てくる事を、人々が願っていた。」
「んで、そのまま時が流れ、魔女も歳をとり、寿命が来て、死んでゆきました。ハイ、おしまい。だろ?先生。」
「馬鹿者!!そんな生易しい物だったら、戦争など起きん!それに魔女は歳をとらんと、何回言わせればいいんだ!!」
「歳はとりますよ、先生。」
「?デイズ、何か言ったか?」
「い、いいえ、先生、別に。」
「そうか。とにかく、皆も魔女の生き残りを見かけたら、すぐ知らせるように!彼等の全滅も近いからな!ではここまで!!」


「うひ〜、今日の先生、怖かったな〜。」
「ジルドが授業聞かずに、居眠りしてるからだよ。」
「デイズはいつも辛口だな〜。」
「フフ・・・でも、魔女の生き残りがまだ居るなんてビックリ。」
「あぁ。早く全滅すりゃーいいのにな。」
「・・・・・。」
「?どした?」
「あ、ううん、何でもない。ねぇ、ジルド。」
「何だ?」
「もし、もしもだよ?私が魔女だったら、ジルドはどうする?」
「そりゃあ驚くよ。何でも願い事叶えて欲しいね。なんでそんな質問するんだ?」
「ううん、ただ、何となく。」
「そっか。」
「うん、じゃあ私、ここ曲がるから・・・。」
「おお、じゃぁ明日な。」
「うん、バイバイ・・・。」

その頃は、ちょっと信じてもいいかな、って思った。でも、やっぱり、いざとなると、怖くて足が竦む。こんな私って、弱虫だよね・・・。


続く...

2004/12/13(Mon)21:06:58 公開 /
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