『capacity 第一章』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:羊                

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第1章:テスト!?

生物は常に進化している。昔からそうだった、人間に不思議な力が宿ったのも人間が進化したからなのだろう。その不思議な力とは人間が昔からあこがれてきた「魔法」に外見的には近く、そして実質的には程遠い物だった。人々はその力の事を「魔力術」と名づけた。あえて「魔法」と名づけなかったのは実質的に魔法と異なるものだったからだろう。しかし、その「魔力術」に反対する者があらわれたのだそれは「魔力術」が備わらなかった人間である、それから「魔力術」を反対する者は「戦士」と呼ばれるようになった。なぜ「戦士」なのか? それは、その者達が人間の限界であろう力を備えていたからである、その者たちは「魔力術」さえ備わらなかったものの「人間の限界の力」というものを備えたのだ。そして「魔力術」が備わった人間すなわち「魔術師」と「戦士」とに分かれて300年もの時が流れた……



ジリリリリリ、目覚まし時計の音が部屋に響く。
「うるせぇ〜な…」
独り言を言って俺は布団の中から手を伸ばし目覚まし時計のボタンを叩いた。
そして、静かになった部屋でまた眠りにつこうとした、その時俺の上から声が聞こえてきた。
「兄さん!起きなさい」
俺の眠りを妨げに来たこの女性は俺の妹、困ったことに俺の世話を焼きたがる。
「後5分」
「寝ててもいいけど、今日は入学式だよ〜。遅れたらさぞ恥ずかしい思いをするんでしょうね〜」
「ぐぉ、そうだった!」
俺はそう言うのと同時に布団から跳ね起きて時計に目をやった。時計は8時00分という時間をさしていた。
「やべぇ〜!」
俺はそういうと階段を1段飛ばしで降りていき、顔を洗い、タンスの中から新品の制服を出して着替え、靴を履いた。
時計を見ると8時05分をさしていた。
「ふぅ、これならなんとか・・・」
「間に合う」
と俺のセリフを横取りして妹が俺に話しかけてきた。
「俺のセリフを取るなよな、恵理」
「別にいいじゃない、でも兄さんはいい妹を持ったわね〜。私が起こしてあげなかったら入学早々有名人になってたところだよ〜」
と、怪しい口調で俺に話しかけてくる。
「それはそうと、今週お風呂の掃除当番なのよね〜、私」
「…へ、へぇ〜」
「誰か変わってくれないかな〜」
「……俺が変わりにやります」
「じゃあ、お願いね〜」
「それはそうと、恵理お前も急がないと学校に遅刻するぞ?」
「私の学校は明日からなの」
「ふ〜ん、知ってたけどな」
「むか〜、早く学校へ行け、バカ兄さん」
「へいへい、朝から新たな称号を増やしてくれてありがとよ」
と朝から妹と愛情あふれるコミュニケーションを交わし俺は学校に向かった。
俺がこれから通うことになった学校は主に「魔力術」を教える学校だ。俺がこの学校を選んだ理由は俺が勉強が嫌いだった、ということもあるのだが決定打は俺の家系は人間に「魔力術」すなわち「魔術」が備わってからずっと「魔戦士」をやってきていたからだ。「魔戦士」というのは「魔術」を専門的に習った者の事を
指す。「戦士」とついているのは「魔術」を習った者は「戦士」並みの力を持つからである。俺は親にほぼ強制的に受験させられ、そして何となく受けてみたら受かったのだ。勉強が嫌いな俺にとって「魔術」だけで
入学できるのはとてもうれしかった。しかし、俺はうれしかった反面、不安も感じていた、本当にこの面倒くさがりやの俺が「魔戦士」何かになれるだろうかと…
「おはよ」
俺が物思いにふけていたら後ろから見覚えのないやつに声をかけられた。
「おはよ…誰ですか?」
「ん? 俺は今年からこの勇美学園に通う事になる、佐藤 一樹だ。お前は?」
「俺はお前と一緒で今年からこの勇美学園に通うことになる、朝乃 流輔だ。」
「お、俺と一緒の学年か〜、よろしくな」
「こちらこそ」
と俺は一樹と会話をしながら学園に到着した。学園に到着すると何やら昇降口の前に人だかりができていた。
俺は何だろうと思いながら近づいてみたら容易に理由がわかった。
「クラス割か」
一樹がつぶやいた。俺はクラス割の紙の1年の部分を見た。今年の1年はA〜Dまでクラスがあるみたいだった、他の学年にくらべると2倍近く人数が多かった。30秒ぐらいで自分の名前がB組に書いてあるのを見つけた。
「俺、B組だ」
と、一樹に報告した。そうすると一樹も俺に報告してきた。
「俺は…B組だ!」
「マジ!?」
「おう。よろしくな」
「朝も言ってたぞ」
「あ、そうだったな」
そんなくだらない会話をしながら俺達は1階の1−Bの教室に入っていった。すると、黒板に張ってあった 座席表が目に入った。
「うげ、俺一番前の席じゃん……」
「当たり前だろ、苗字が「あ」からはじまってんだから」
「はぁ〜……一番前か、嫌だな〜」
「まぁ、そんなに落ち込むなって」
と、一樹が笑いながら俺に言った、と次の瞬間一樹の目が一点に釘付けになった。俺は不思議に思い一樹が見つめてる先を見た、それは座席表だったそれも俺の隣の席……「佐藤一樹」と書いてある席だった。
「……ご愁傷様」
「はぁ〜、人生そううまくはいかないってことだな」
「そうだな……」
そんな会話をかわしつつ俺達は入学式が行われる体育館へと向かった。

1時間後後、俺達1年生は無事入学式を終えてまた教室に戻ってきた。
「なぁ、一樹」
「ん?何だ?」
「先生ってどんなやつだと思う?俺、きびしいやつだったら嫌だなぁ〜」
「う〜ん、工藤 迅って書いてあるから男ってことは間違いなさそうだな」
と、一樹が机の上に元々置いてあったプリントを読みながら答えた。
コツコツ何かが歩いてくる音が聞こえてきた。
「おいでなすった」
「朝乃、初日から怒られないようにな」
俺は一樹を無視して優等生っぽい顔を作り、きちんと席に座り先生を迎えた。
ガラガラ、ドアが開いた。と、そこには誰もいなかった、クラスのやつらもざわめきだした、と次の瞬間
教卓のほうから何やら声が聞こえてきた。
「え〜、今日からこの1−Bの担任になった工藤迅だ。よろしくな」
クラス中が呆気にとらている。それもそのはずドアは開いたが肝心の開けた人間が突然教卓のほうに移動していたのだから。クラスの誰もそのことについて質問しないので俺がそのことについて質問してみた。
「あの〜先生」
俺は手を挙げた。
「ん?何だ、え〜と…朝乃」
「先生は今どこからお入りになったのですか?」
「どこからって普通にドアからだ」
「でも、俺がドアのほうを見たとき先生はいませんでしたが?」
クラスメイト全員が首を立てにふった。
「それはだな、俺が魔力術すなわち魔術を使ったからだ」
「何の為にですか?」
「ん?気分」
と、軽く流されてしまった。俺がこの時この人が先生であることを疑ったのと同時にこれから先の授業への不安が高まったのは言うまでもない。
「話は変わるが明日の授業についての話をする」
この言葉を発すると先生の表情がキリっとした。俺はこの時この人が先生だということだけは理解した。
「明日は皆の魔術に対する知識がどの程度あるのかテストをするからそのつもりでいろよ」
「はい」
とクラスメイトが返事を返した。
「よし。それでは解散」
その言葉を口にすると先生の表情は再び気楽モードになった。
「一樹〜、明日のテスト自信ある?」
「ないよ、でもさ明日は皆がどの程度魔術に対する知識があるかのテストだからこのままでいいんじゃないかな」
「そうだよな」
と気楽な会話を交わしつつ俺達は帰りの用意を済ませ学校を出た。

30分たらずで俺は家についた。
「ただいま〜」
「おかえり〜、兄さんどうだった?」
「どうだったって言われてもな〜」
「友達とか出来た?」
「ああ、出来た。てか、君は俺の保護者かね?」
「兄さんがもうちょっとしっかりしてくれたら私もこんなに世話を焼かなくてもすむんだけどね〜。仮にも
お父さん達が海外にいる間この家をまかせられているんですから」
俺の親は海外に転勤になり海外に住んでいる。俺たちは親の「学校を優先しなさい」という言葉にしたがい
残ることになった。
「…すいませんね」
俺はそう言うと靴を脱ぎリビングに入ろうとした、その時奴の声が聞こえてきた。
「ちょっと〜、朝の約束忘れたの?」
「おしいっ」
「何が、“おしいっ”よ!」
俺の顔と口調を真似て恵理が言った。
「はいはい、やればいいんだろ、やれば」
「よろしい」
「はぁ〜」
俺はため息をつくと風呂場に向かった。風呂掃除というものはけじめをつけないとなかなか終われないと頭の中ではわかっているのに、ついつい細かいところまで掃除してしまったせいで、約30分間も風呂掃除に費やしてしまった。泡をシャワーの水で流す、するときれいになったタイルが顔をだした。「うんうん」と心のなかで満足しながら浴槽に水を入れていると、台所の方から恵理の声が聞こえてきた。
「ご飯できたよ〜」
「わかった今行く〜」
俺はそう言うと台所に小走りで向かった。浴槽に水をいれていることなんか忘れていて、この後恵理に
小一時間程「水の貴重さ」について説教してもらったのはこの際別の話である。

「眠い〜」
俺はご飯を食べた後、自室に戻りベッドに横になっていた。
コンコン、俺の部屋のドアがノックされる。
「ど〜ぞ」
ガチャ、ドアが開くとパジャマを着た恵理が俺の部屋に入ってきた。
「どうした?」
「明日、私も学校あるから兄さんを起こしにいけないかもしれないから目覚ましセットしといてね」
「それだけか?」
「うん、じゃあ、おやすみ〜」
「ああ、おやすみ」
恵理はそう言うと俺の部屋から出て行った。俺は目覚まし時計をとり目覚ましをセットした。
「よし、これで明日は小姑のような妹の不快な声で目が覚めることはないな」
「なんですって〜」
と隣の恵理の部屋から声が聞こえてきた。
「いや〜、恵理の声は…やさしい感じがするからから朝起きるとき目覚めがいいんだよな〜」
俺は壁越しでも聞こえるように少し声のボリュームを上げて言った。
「何で、間があったのよ」
「それはだな、えと、恵理の声をどう表現しようか迷っただけだ。も、もちろんいいほうの表現だぞ」
「はいはい、じゃあおやすみ〜」
「安らかに眠りたまえ」
「スゥ〜、スゥ〜」
「眠りにつくのはやすぎだろ…俺も寝るかな」
俺は布団を引き寄せ目を閉じた。初めての場所へ行って疲れていたのかすぐに眠りにつけた。

「兄さん、兄さん起きてよ」
「ん?朝か」
「そうだよ、ホラ朝の挨拶してよ」
恵理はそう言うと俺に近寄ってきた、そして目線があい、顔が近づいてきてそして……
ジリリリリ、目覚まし時計がなっている、そして…
「兄さん、兄さん起きてよ」
「ん?朝か」
「そうだよ」
そして、まだ夢見心地の俺は恵理に迫った、次の瞬間、恵理の拳が俺のみぞおちに飛び込んできた。
「何しようとしてんのよ〜、変体兄さん!」
「ぐぁ・・・がは・・・」
こうして、今日の朝もまた俺に新たな称号が増えたのであった……。
「そろそろいくか」
俺はみぞおちの辺りを手で押さえながら、恵理に言った。
「ごめんね、兄さん。その、思いっきり殴ちゃって」
「俺も悪かったし気にするな」
「うん」
そう言うと俺と恵理は家をでた。俺は通学路の途中で一樹を見つけた。
「おはよ、一樹」
「おはようございます」
と恵理も丁寧に挨拶をする。初めて会った人に対する恵理の態度はいつもこの様な感じである。言うなれば「上品恵理」ってところだろう。
「おはよ…彼女?」
「なわけないって、大体こんなの彼女にしたら大変なことにな…イテテ」
恵理が俺の足を思いっきり踏んできた。恐らく…いや、確実にわざとだろう……
「あら、ごめんなさい。…一樹さんですよね?」
「はい」
「私、コレの妹です」
俺の事を代名詞で呼ぶ妹。ここは兄として注意せねばと思い注意してみた。
「コレとはなんだコレとは」
「兄をよろしくお願いします」
俺の注意は完全に無視された……
「いい妹さんだな〜、朝乃」
「それがだな…」
俺が恵理を見ると恵理はまた俺の足を踏もうと狙っていた。
「……そうなんだよ〜、しっかりしてるだろ」
「ああ、俺もこんな妹ほしかったよ」
俺は心の中で「こんな妹もったら後悔するぞ」とつぶやいた。
「じゃあ、兄さん私はここで分かれるね」
「ああ、また家で会おう」
「うん」
恵理はそう言うと友達らしき人物の方へと走っていった。
俺と一樹は恵理が行くの見届けてからまた学園へと歩き始めた。
「そういえば、朝乃〜お前勉強してきたか?」
「してないよ、てかお前がしなくてもいいんじゃないかって言ったんじゃないか」
「あ、そうだったな」
「ったく」

学園についたのは8時30分だった。先生が来るまで後20分ある。俺はクラスメイトの行動を観察することにした。勉強を熱心にしてるやつ、女子の名前を聞いて回っている男子、何やらテレビ番組について口論をしているやつ、寝ているやつ…ボーと過ごすのももったいない気がするので俺は一番近くにいた女子に話しかけてみた、身長は俺より少し低いぐらいの女子だった。
「おはよ、テスト自信ある?」
と、俺は一番話しやすい話題をした。
「ないよ」
「俺も全然ない」
「あ〜あ、じゃあ今から勉強したら?」
「勉強はちょっと……まぁ、ペーパーテストごときでは俺は図れないってことだな」
「あはは、君っておもしろいね」
「そ、そうか?」
俺は少し照れながらそう言った。キーンコーンカーンコーン
「あ、チャイムだ、席に戻らなくていいの?」
「じゃあ、戻るよ。テストお互いがんばろうぜ」
「うん」
ガラガラ、俺が席に座ると同時に工藤先生が入ってきた、もちろん普通に。しかし、工藤先生の手にはテスト用紙がなかった。
「先生、テスト用紙はどうしたんですか?」
クラスメイトのやつが先生に聞いた。
「ん?誰がペーパーテストをやるっていった?」
その言葉にクラス中がざわめきだした。さっき話していたあの子はとても不安そうな顔をしていた。
「これから皆にやってもらうテストは実戦だ」
「先生、実戦って何をするんですか?」
「字のごとく、実際に戦うんだよ」
「誰とですか?」
「俺と」
クラス中があっけに取られた。先生と戦う?無理に決まっている。俺はそう思った。俺は、先生に聞いてみた。
「あの〜、先生相手に勝つのは無理だと思うんですが」
「別に勝たなくていい、ただこの俺を一回でも魔術でこけさせるんだ。それに俺はハンデとして重りを装備する」
俺達は言葉もでなかった。そして先生はチームを作れと俺達に指示をだした。
「3人1組だぞ、組めたものから実習室にくるように」
俺と一樹はすぐにくっついたが残りの一人が見つからない。俺達がうろうろして探してるとさっきの子が目に入った。
「俺、ちょっとスカウトしてくるよ」
「おう、まかせた。名スカウトマン!」
俺はその女子に近よって行き話しかけた。
「俺達とチーム組まない?」
そう言うと、その女子は少し考えてから首を立てにふった。
「おっしゃ、きまりだな」
俺達はそう言うと、学園にある実習室に向かった。実習室につくと何やら中から音が聞こえてきた。
「どうやら先客がいるみたいだな」
俺が言うと2人もうなずいた。俺は待つ間暇だったので自己紹介をすることにした。
「君、名前何ていうの?」
「私?私は澄乃 凛よ、あなたは?」
「俺は、朝乃 流輔だ。で、こいつが佐藤 一樹」
「朝乃君に佐藤君ね、わかった」
ガラ、扉が開いた。
「お、俺達の番がまわってきたぞ」
「よし、やるぞ!」
「うん」
俺達は気合を入れて部屋の中に入った、するとそこには前にテストを受けていた人達が泣きくずれていた。
「なんだぁ?」
「さぁ」
俺達は不思議に思いながら部屋の中心へと向かった。部屋とはいえこの部屋はとてつもなく広く、一番端から中心にいくまでに2,3分はかかってしまうほどだ。それになぜか、部屋の中なのに地面があり、植物が生えているのだ。俺達は23分歩き先生のいる所までたどり着いた。
「よし、きたな」
「「「はい」」」
3人同時に返事をする。
「今から、お前達にこのテストの詳細を話す」
「やだなぁ、先生昨日はなしてたじゃないですか。“明日のテストは皆がどの程度魔術に関する知識があるかのテストだ”って」
「う〜ん、あれは肝心な部分を抜いてしゃべってたんだよ」
「え!?」
「よし、話すぞ。このテストはお前らがこの学園の生徒にふさわしいかどうかを判別するためのテストだ!」
いきなりの事で俺達は理解するので精一杯だった。
「じ、じゃあこのテストで不合格だったら?」
「残念だが、退学だ」
俺はその時入学式の日に見たクラス割の紙を思い出した。1年生は他の学年より2倍近く人数が多かったことを。
「このテストは受かる確立二分の一のテストだ心してかかれよ!」
俺は心の中で「やっぱり」とため息をついた………

2004/11/20(Sat)00:57:11 公開 /
■この作品の著作権は羊さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めて投稿させて貰った「羊」です。
この小説は始めて書いたものなので色々と問題があるとおもいます。
是非皆さんの意見をお聞かせください。

(余談)題名の単語には色々な意味があるのですがここでは「備わった潜在的な能力」という意味合いでつかっています。

作品の感想については、登竜門:通常版(横書き)をご利用ください。
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