『凸凹道』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:渚                

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「もう、あんたおかしいんちゃう?」
「お前のほうがおかしいんじゃ!!お好み焼きにマヨネーズなんて、邪道やで、邪道!!」
「邪道邪道言うな!!ソースの香りとマヨネーズの香りが混じって、ぜつみょーおな味がでんねん!!」
「うわ、きっしょ」
「なんやと!?」
「あんたらさっきから、しょーもないことで揉めすぎ」
由美が隣でため息なんかついてる。ため息つきたいんはうちの方やわ。
「なあ、由美ちゃんはどう思う!?」
「は?何が?」
圭太が意気込んで由美に尋ねる。でも、由美は多分あんまし話きいてへんから、意味ない。
「あたしそんなんどっちでもええわ」
「よーないわ!!由美〜、うちより圭太をえらぶんか?」
「知らんわ。もー、紗枝も圭太君も、しょーもないことで喧嘩しいな」
由美はそれだけ言うと、読んでる雑誌をまた読み始めた。うちはなんかめんどくさくなって、ため息ひとつ。
「…圭太、もううち、どっちでもええわ」
「ほんなら、俺の勝ちやな!?それでええんやな!?」
「へいへい、参りましたぁ」
「なんかむかつく」
圭太はフグみたいに膨れてる。ガキかお前は。




帰り道、由美が突然うちに説教しだした。
「もー、紗枝せっかく彼氏おんねんから、大事にしいや!」
「え〜…だって、圭太っていっつもうちと反対のことばっかりいうんやもん」
「ほんなら同意すりゃええやん」
「嫌や。なんでうちが折れたらなあかんのサ。圭太が折れればいいねん」
「…っもう、紗枝のアホッ」
「アホ!?なんでうちがそんなこといわれなあかんの!?」
「アホやからじゃ」
由美はそれだけ言うと、またため息。そんなにため息ばっかついてたら、ばばあになんぞ。
圭太とは、ちょっと前から付き合ってる。どっちが告ったか、って言われたら、まあ…それはうちなわけで。そんでまあ、めでたくカップルになりました。
でも、圭太とは毎日喧嘩しかしてへん気がする。なんとなく、いつも意見がかみ合わんねんなぁ。
「…なあ、由美」
「何、アホ紗枝」
「もう、アホはやめてや。なあ、うちってさ、圭太と相性悪いんかな?」
「どしたん、いきなり」
由美はちょっと驚いてうちを見た。
「…だってさあ、毎日喧嘩ばっかしでサ……」
「もう、だからさ、紗枝がもうちょっとおしとやかになればいいんやって」
「でも、うちおしとやかちゃうもん。性格詐称はあかんで。告訴されたらどうすんの」
「されるかアホ」
「あ、またアホ言うた!!」
「ボケでもええで」
由美はけろけろと笑い、じゃああたしこっちやから、と手を振って走っていってしまった。
うう、冷たいなあ。親友が悩んでんのに。
まあ、うちも由美の「彼氏ほしい」って言う相談、ほとんど聞いたってないからお互い様か。







090−85−63−1475。
もう、空で言えるぐらい何回もかけた、圭太の携帯番号。あ、なんかしゃれになってもうた。
なんとなく圭太に電話かける。いや、ホンマになんとなく。別に「声が聞きたくなっちゃった」とかそんなんやない。
『もっしー?』
「はぁ?なんやそれ」
拍子抜けするわ。あのアホめ、乙女が悩んでるときに。
『なんや、紗枝か』
「なんやて何やねん。彼女から電話やねんから、もっと喜べよ」
『へいへい、圭太君うれピー』
「うわ、きっしょ」
『何やねんお前は。喜べ言うから喜んだらきしょいんかい』
「だってホンマにきしょいねんもん」
『何やとぉ!?』
圭太が電話の向こうでいきり立ってんのがわかる。あまりにも想像出来すぎて、思わず吹き出す。圭太がさらにおこったのがわかった。
『お前、今わろたやろ!?』
「わろてませーん」
『じゃあ今のブッて音は何や!!』
「くしゃみや、くしゃみ」
『あんな汚い音のくしゃみがあるか。…んで、なんか用か?』
いまさらやっと本題か。なんかもう、話す気も失せてもうたがな。
「…忘れた」
『はあ!?』
「ごめん、じゃあうち、今からお風呂はいるから」
『おい紗枝、ちょい待て』
「何、のぞきに来る気ぃ!?おまわりさ〜ん、痴漢ですぅー」
『ちゃうわ、おい紗』
プツッ。プープープー。
って自分で効果音いうてどうすんねん。アホかうちは。
やっぱやめよう。それこそ、いまさら聞くことでもないわ。
うちらって相性いいんかな?とかさ。





「おい紗枝」
教室に行った途端、圭太が詰め寄ってきた。あ、そっか、昨日途中で電話きったんやった。
「おはよーございますぅ、圭太君」
「お前、昨日一体何のようやってん」
「だから忘れたんやって。あ、おはよう由美」
「嘘つけ」
「嘘ちゃうて」
うちは圭太をすっとかわして席に座る。隣から由美が口ぱくで「おしとやかに」ってずっと言うてるわ。そりゃ無茶やわ、由美さん。
「ホンマのこというまでここにおんぞ」
「だから、忘れたんやって」
「う・そ・つ・く・な!!」
「ほ・ん・ま・で・すっ」
「ほんまかぁ?」
「大事なことやったら忘れへんわ」
「……もうええわ」
圭太はため息をつくと立ち上がった。うちは内心ほっとした。
「お前のつるつるの脳みそに付き合ってるほど俺ヒマやないねん」
「つるつる言うな、ハゲみたいやんか」
「お前なんかハゲじゃ」
圭太はベーって舌出して、どっかいった。ホンマガキやな、あいつは。
「もうっ、紗枝!!」
由美が机からずいと体乗り出してきた。うわ、また説教されるっ。
「あ、うち、ちょっとご不浄に……」
「トイレて言え、アホ」
「すんませーん」
うちはさっさと由美から逃げた。一回つかまったらながいんや、あの子は。
廊下にもたれかかって、またため息ひとつ。あかんわ、うちばばあや。
なんか、相性いいとか悪いとか、そんなんどうでもいいわ。別に悪いから付き合っていかれへんってこともないし。
もう、圭太と二人、凸凹道の上ふらふらゆらゆら付き合っていきますよ。
うちはひとつ伸びをしてから起き上がった。

2004/11/02(Tue)18:05:06 公開 /
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■作者からのメッセージ
こんばんわ、渚です。
…ん〜、仲の悪い二人って、書くの楽しいですね。
ちなみに、渚は大阪人ですので、この大阪弁は自分が普段使ってるようなものです。もし意味がわからない方がいらっしゃいましたら、聞いてくださいな。
意見、感想等お待ちしております。

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