『LAST KISS』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:Cano                

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「ママ・・おなかすいた」
あたしはテーブルにうつぶせになって眠ってしまっていた
午前7時、娘の奈々があたしを起こす
「奈々、おはよう」
「おはよう、ママ」
「何食べたい?」
「四角のパンにバターぬったのと、めだまやき!」
あたしは高校の時、付き合っていた塾の講師の子供を一人で産んだ
大学にも行きたかった
高校を3年間きっちり楽しみたかった
だけど、この子も産みたかった
あたしはフライパンに卵を2つ割りいれて
丁寧に焼いていく
奈々は一人でテレビに夢中になってる
彼女の彼に似た端正な顔立ちはあたしを暗い過去へと呼び覚ます


高校2年の秋、あたしは大学受験を控えて駅前の進学塾へと入る
塾の生徒は皆真面目であたしには少しついていくのが辛かった
河上ナオキ、彼と出会ったのも入塾がきっかけだった
24歳、まだ新米な英語講師の彼は緊張して授業がしどろもどろだったことを覚えている
少し茶髪に染めた髪と鋭いけれど大きな眼、あたしはひと目惚れした
塾に行く事が苦痛だったあたしは彼に会うために塾に行っていたようなものだった
おかげで成績もあまり伸びなかった
周りの皆より遥かに頭の悪いあたしを心配して先生は放課後、あたしに英語を教えてくれた
「じゃぁこのプリントやってみてください」
「先生・・わかんない」
「え?これも分かりませんか??」
「うん。」
「んーどうしようかなぁ。じゃぁ、どういうところが分からないの?」
「何が分からないのかも分からない」
先生は少し笑うと、緊張した感じの敬語もなくなってきて
あたしも少し、先生に近づけたと思った
あたしはその日から先生の”お気に入り”になった
授業でもあからさまにヒイキしてくる
あたしはそれが嬉しかった
ある日、先生にちょっとした誘惑をしてみた
「ねぇ、先生、ご飯おごってよ」
「え?僕が?」
「うん。いいでしょ?」
「だめだよ。もうこんな時間だし」
「いいじゃん、ファミレスなら空いてるよ」
「だけど・・」
「先生、お願い」
「じゃぁ・・準備してくるから駅で待ってて」
彼はそういうと急いで部屋を出て行った
駅のベンチで待ちながら、あたしの妄想は膨らむ
先生が、帰りに家に連れていってくれたりして
いろんなことを考えているうちに先生はいきを切らして走ってきた
「ごめん。」
「いいよ。本当につれてってくれるの?」
「須藤さんが言うから来たのに」
「ありがとうございます」
あたしはとびきりの笑顔で彼に返す
先生は照れたように下を向いて
「ここじゃ・・他の生徒に会うかもしれないから、電車に乗ろう」
「はい」
あたしたちは先生の家の最寄駅で降りて近くのファミレスに入った
そこで先生はあたしの成績のこととか、学校のこと、いろいろ聞いてくれた
あたしはどんどん先生を好きになっているのが分かった
帰り道、あたしはずっと聞きたかったことを聞いた
「先生、彼女いるの?」
「いないよ、全く。須藤さんは彼氏とかいるの?」
「ううん。」
あたしは首を振って俯く
「先生、あたしじゃだめ?」
そういった途端、先生の理性の糸は切れて
あたしにキスをした
あたしたちは抱き合いながら深くて熱いキスをした
「先生・・・」
埋もれるような幸福と満足感であたしはつぶれそうだった
その日、先生はキスをしただけであたしを帰した
あたしはもっと先へ進んでもよかった
先生が相手なら。

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あのキス以来、初めて塾へ行く
もうあたしは先生の特別な存在なんだ
嬉しくてしかたなかった
あたしが教室に入るとすでに授業は始まっていた
席について 参考書を開く
先生・・こっち向いてよ
あたしはちらちらと先生を見る
だけど一度もこっちを見てくれない
授業が終わった後、逃げるようにして帰ろうとする先生を引き止める
「先生、ここ教えてください」
「ああ・・悪いけど 今日は」
「5分でいいですから」
先生は小さく頷いた
「ねぇ、先生・・。キスして」
「すまない、須藤さん、俺たちはやっぱりこういう関係にはなっちゃいけなかった」
「講師と生徒だから?」
「ああ・・それだけじゃない。須藤さんは受験もあるし。こんなことしていたら
志望校に行けなくなるよ」
あたしは何も言えなくなった
先生はあたしを好きなんかじゃない
この前のはあやまちだったんだ。
「冗談だよ。先生。一回キスしただけじゃない」
ちゃかすようにあたしは誤魔化す
だけど膝の震えは止まらなかった


あれからあたしは塾にいけなくなった
一人で舞い上がってたあたしが恥ずかしい、それに
先生と会うのが怖かった
やけになってあたしは 何人かの男となんとなしに付き合って
処女を捨てた
少しは大人の仲間入りができると思ってた

塾に行っていないのが親にばれて
散々怒られた
成績も下がっていく一方で 留年の危機にさらされた
仕方なく塾へ行って 重いドアを開ける
先生はまだ来ていなくて
あたしは適当に席に座る
携帯をいじって座っていると 隣の男子がこっちを見ている
「何??」
「いや、別に」
彼は目をそらすと ぼんやり天井を眺めていた
「最近 入ったの?」
「ああ、お前は?見かけない顔」
「ずっと来てなかったから」
「ふーん」
「ねぇ、英語って河上先生だよね?」
「そうだけど?」
あたしは自分が何を言っているのかも 訳が分からなくなって
下を向く、すると突然ドアが開いて 先生が入ってくる
全然変わっていなかった
あたしのことを気にする様子もなく 淡々と授業は進んでいく
隣を見ると 真剣にノートを執っている
あたしは 涙で掠れた黒板をじっと眺めていた

授業の後、あたしは先生の後を追った
「先生!!」
「須藤さん・・・久しぶりだね」
「元気だった?先生」
「ああ・・。須藤さん、あの時はゴメン、僕、君の気持ちを考えていなかった」
「別にいいの・・・気にしてない」
「塾終わった後 暇かな?」
「うん!」
あたしは最高の笑顔で返した
だけど、本当は 不安だった。

それから、あたしと先生はこの前行ったファミレスに入った
先生はこの前の事を必死で謝ってた
その時の、先生の少し怯えたような顔があたしには愛しくて仕方なかった
あたしは先生ともっと深くかかわりたいと思った
何もかも先生の事が知りたい

あたしは先生に思い切り抱きついて
「先生・・・あたし 先生の事もっとしりたい」
そんな風な事を言った
少し戸惑っていた先生は
あたしを抱きしめて
「もう、この前みたいに君を傷つけないから」
そういってキスを交わした
先生は あたしの手を強く握って
ゆっくり歩き始めた
先生の部屋につくと
あたしたちは獣のように お互いを求め合った
目覚めた時、あたしたちは裸で抱き合って眠っていたことに気がついて
あたしは幸福と、喜びに満ち溢れていた

---------------------------続く

2004/09/05(Sun)14:04:51 公開 / Cano
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■作者からのメッセージ
読んでくださってありがとうございます。
今回、アップさせていただいたものはまだ
序章、のようなものなので
話はいまいち分からないかもしれませんが
これからわかると思います

駄文ですが、お許しください


*初回の投稿より随分遅れてしまいました
申し訳ございません。

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