『グレープフルーツオーケストラ 0〜1』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:ゲーズ                

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目の前に海が広がる
かつて彼女と来た場所だ
よくこの砂浜でコーラとアイスクリームを食べた
コーラの酸っぱさとバニラの香りが僕らを包んだ
そして、お決まりの言葉で彼女は必ずこう言った

「海の向こうで一体何が起こってるんだろね」

僕はいつもこう答えた

「誰かが傷ついてるんだよ。きっとね」

そう、誰かが確実に傷ついているに決まってる
理由はどうであれ傷ついてるんだ
僕がそう答えると彼女は黙っていつも僕に微笑んだ
そんな彼女の顔を見て、僕は自分がここにいることを確認できる
彼女がいるから僕は存在している
僕がいるから彼女は存在している
そんな輪で繋がれていたんだ
愛とか恋とかそんな言葉は聞き飽きた
僕はそれ以上に素晴らしいものを貰ったんだ
彼女を通じて僕はそれを知ることが出来たんだ


目の前に悲しい液体が広がる
真っ赤で凝固するとベトベトする液体
僕の体は真っ赤に染まっている
目の前には彼女が倒れている
僕は自分の存在を殺してしまったのだ
僕の存在が消えていく瞬間を自分の目ではっきり確認できた
でも、どうしてまだ僕はここにいるのだろうか
いつもは彼女の微笑みによって僕は存在を確認できたのに
今はその微笑みなしに存在を確認することが出来たのだ
僕は不思議に嬉しくなった
理由はない
ただ、心の中から熱くなってきて
嬉しかったのだ
そして、僕は思った


こんな話をさせて一体なんの得があるんだ?
僕はそう思った
この話を真剣に聞き入る盲目の女
女は言った

「あなたって本当に寂しい人間なのね」

僕は言った

「言ってる意味がよく分からない」

「時機に分かるわよ。あなたがどれだけ最悪な人間だってことがね」

僕は自然に不快感を感じてきた
でも、こんな話をしたのはこの女が初めてだった
そして、女にこう言われた

「あなたは壊すことって好き?」

「壊す?何を壊すんだ?」

「何もかもよ。とにかく何かを壊すことは好き?」

「まぁ。嫌いではないけど」

「だったら、一緒においで。いいもの見せてあげるから」

そう言われて僕は女についていき
女はドラム缶を指さした
そのドラム缶には「BEACH」と書かれていた
僕はこれが何かと尋ねた

「これが何もかも壊してくれるものよ」

「こんなドラム缶が何もかも破壊するだって?」

「えぇ。これが私とあなたを幸せにしてくれるのよ」


僕はこのドラム缶に不思議な思いを抱いた
このドラム缶が僕の「存在」を受け入れてくれる
そう確信したのだ
でも、考えてみれば
このドラム缶と出会わなければ
僕はもしかして「いい人生」というやつを送っていたのかもしれない


++++++++++++++++++++++++++++++++++



盲目の女と出会ったのは単なる偶然から生まれた
女が杖を使いながら歩いていたら、僕にぶつかったのがきっかけだった
ぶつかった拍子に女は杖を落とした
そして、僕はそれを拾って渡そうとした時
女はこう言った

「拾わないで!」

周囲50メートルに響きそうなデカイ声を出して言った
僕は驚き、杖をその場に置き、逃げようとした
すると、女は言った

「どこに行く気?」

「イヤ、悪かった。余計な事したな」

「君の名前は?」

「僕の名前聞いてどうするつもりだ?
 しかも、普通に自分から名乗るのが先だろ?」

「いいから!名前は?」

「名前なんてない」

「そうなんだ。私はミキ。」

そんな下らないことを必死で聞いた女の場所から早く消えたかった
そして、僕はもう用は済んだだろと言ってその場を去った
僕の頭の中では「ミキ」という名前がループを描きながら回転していた
必死にその名前をかき消そうとしたがしつこく残ってしまう
僕は諦め、公園を足を運んだ
別に理由なんてない
ただやることがないから公園に行く
それだけのことだった

ベンチに座ってから20分後くらいに例の「ミキ」が現れた
着けられたのだろうと思ったが、目が見えないのにそれは不可能とすぐに悟った
ただの偶然だろうと思い、僕はその場をじっとした
すると、ミキはいきなり叫んだ

「名無しさん!いるでしょ!?」

僕はびっくりした
心臓の鼓動が早まるのが確認できた
ミキは僕の姿が見えているかのように慎重に近づいてきた
僕はその光景を見てあることを思い出した
第二次世界大戦中の時にユダヤ人虐殺の時のユダヤ人の姿だ
テレビである貴重なフィルムが見つかったとかで特番が放送されていた時だ
その中で木の棒を杖代わりしていた老婆がナチスの軍人にこかされる
そして、起き上がり1メートルくらい進んだらまたこかされる
それの繰り返しで、挙句の果てに殺された
それを僕は思い出していた
ここにナチスはいない
しかし、公園のアスレチックに邪魔され、こけている
僕はどうするべきか考えた
もし、ここで手助けミキと関わってしまう
しかし、このままこの光景を見たくはない
逃げればまた、何処かで出会う気がするし
10分間くらい考えた
その10分間にミキを転んでいる
そして、僕はミキを手助けすることに決めた
理由はない
ただ、手助けしたかった
それだけだ
僕は走って、ミキの元を駆け寄った
ミキは僕を睨みつけ杖を振り回した

「どうして!どうしてここに来るの!?
 私がミジメだったから手助けしなくちゃとか思ったの!?
 だったら、余計なお世話よ!私は自分の力で君の所に行きたかったのに!
 最悪よ!本当に君は最悪な奴よ!馬鹿!」

僕は呆然してこう言った

「だったら元の場所に戻るよ。まだ、お前を手助けしてない
 だから、僕が元の場所に戻るから来いよ」

ミキは何処か違う所を見つめていた
そして、泣いていた
その涙の理由は分からなかったけど
元に戻れば、どうにかなると思い、僕はベンチまで戻った
そして、ミキは立ち上がりまた歩き始めた
また、あのユダヤ人のことを考えながらミキを見つめた
ミキは5分間の間に3回こけた
そして、30分して僕の元へ到着した
ミキは僕に微笑んでいた
僕は目を見つめていた
そして、ミキからはアイスクリームとコーラの酸っぱい匂いがした
あの時の海のように

2004/06/10(Thu)19:32:17 公開 / ゲーズ
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■作者からのメッセージ
読んでくれた方、アリガトウございます。
これだけじゃまだ内容は分からないと思いますので、是非次回も読んでくださいね。
それとなんか不気味な作品っぽいですけど
それもまた事実です。ダークなお話になってしまいますが、読んで損はしない作品にしようと思ってますので!でわ、次回まで

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