『春夏秋冬 〜あたしの横にはあなたがいない〜』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:紅い蝶                

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           「春夏秋冬 〜あたしの横にはあなたがいない〜」



――――春
そよ風が気持ちいい。そこらじゅうに色々な花が待ってましたとばかりに咲き誇る。そんな季節。
昔からずっと一緒だったあなたは、本当にこの季節が好きだよね。あたしも好きだよ。春も・・・・あなたも。
一緒に桜を見に行って、おにぎり食べて、一緒に草むらに寝転んだ。その時間がとっても幸せで、最高だった。
とにかく、あたしもあなたも一番好きな季節。

――――夏
せみがうるさいくらいに鳴いて、どうやって黙らそうかなんて子供みたいなことを必死に考えてたあなた。
「ファーブルはせみ食ったんだ。俺に食えないはずがない」
ホント、子供だよね、あなたって・・・・・。
本当にせみを食べようとしたから必死に止めたあたし。そしたらあなたは笑ってあたしの頭を撫でてくれた。
海にも行った。怖いって言ったのに無理矢理飛び込ませたよね・・・・。本当に怖かったんだから・・・・。
でも、そんなやりとりがすっごく楽しくて、幸せだった。
紫外線がいやだけど、どうしても嫌いにはなれない・・・・・・そんな季節。

――――秋
赤く染まった紅葉がきれいで、あなたはあたしに最高にきれいな紅葉を採ってくれた。うれしかったよ。ありがとう。
サッカーやってるあなたは、この秋にある大会で一生懸命がんばってた。みんなびっくりしてたよ。あいつあんなにうまかったんだ・・・・って。
あなたは、あたしの自慢の彼氏・・・・・。

――――冬
寒いけど、暖かかったのがこの季節。気温は寒いんだけど、あなたがあたしを包んでくれるから暖かかった。本当に・・・。
クリスマスに、初めて一緒に夜を過ごしたよね・・・・。すごい、うれしかった。あなたとずっと一緒にいたいって思った。あなたと離れたくないって思った。






なのに・・・・・・・・なんで?どうしてなの?
あなたはあたしの前から姿を消した。
道路に飛び出したボールを拾おうとして、トラックに轢かれそうになった子供を助けて・・・・・・・。
それはきっと偉いんだと思う。すっごく偉いんだと思う。
だけど・・・・・・・バカだよ。
こんなこと言ったら、その子の親に怒られるかもしれないけど・・・・・・・バカだよ。
あの夜に、あたしのこと絶対に悲しませないって言ってくれたじゃない。
あの夜に、あたしのこと死んでも離さないって言ってくれたじゃない。

悲しませてんじゃん・・・・・。
離してんじゃん・・・・・・・・。
うそつき・・・・・。


なんで人間ってこんなに脆いんだろう・・・・・。
こんなにも簡単に逝ってしまう。
どんなに離れたくないって思ったとしても、簡単に離れてしまう。簡単に死んでしまう・・・・・。



あたしはあなたを失った・・・・・・。
あなとたいうかけがえのない人を失った・・・・・・。





あたしの横には・・・・・・あなたがいない。

2004/05/06(Thu)20:02:57 公開 / 紅い蝶
■この作品の著作権は紅い蝶さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ちょっと短いですかね・・・・。
前々から考えていたものを文章化してみたんですが・・・・・・。

指摘・感想等、お願いいたします。





kana様>感想ありがとうございます。悲しい話を書きたかったので、悲しいと言って貰えるとうれしいです。

雫様>うわぁ・・・・いい彼氏っすねぇ。うらやましいです。

村越様>改めて読み返してみて、僕自身も四季の部分が少ないかなぁと思いました。次回からはその点に気をつけたいと思います。

蘇芳様>詩みたいですか・・・・・。確かにそうですが彼女自身の視点から書きたかったので・・・・・。でも少しくらいは客観的に書くべきでしたかね^^;ホロリときてくれたことが、うれしいです。

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