『闇夜の梟』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:堕天使                

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黒より濃い空「闇夜」
この闇の夜に一人の青年が逃亡を続けていた。
青年の名は「レイル・シルフィード」
彼が肩に乗せているのは「鬼梟」という不吉な鳥。
レイルはさらさらの銀髪に赤い瞳、そして軽装。
鬼梟の名前は「ウィズリィ」
黒い体に鋭い眼、レイルと同じ赤い瞳を持つ。
ちなみにウィズリィは喋る事ができる。

レイルは街中を走っていた。
「ったく何処まで追いかけてくんだよあいつら」
溜息混じりにそう吐き捨てた。
その時肩のウィズリィがレイルに言った。
「お前があんな事するからだろう?この阿呆」
「なっにぃ・・・」
レイルは走りを止めウィズリィを見た。
「本当の事だろ?他にどんな理由がある?」
それを聞いたレイルはその場に座った。
「確かにそうかもしれねぇ」
頭をくしゃくしゃと掻くとレイルは夜の空を見上げた。

それは逃亡するほんの10分前だった。
レイルは屋敷に侵入し、家宝を盗んだだけでなく
そこに捕まっていた人質を逃がしたのだから。
・・・追われるのは当然の事である。

「けどよ、人質を逃がすのは普通だろ?」
「普通はな・・・だけどお前はその屋敷の家宝を盗んだからな」
ウィズリィは冷たく吐き捨てた。
「だって、綺麗だしさ」
明るい声でレイルは言った。
「俺初めてみたよ・・・あの子」
うっとりしながらレイルは続けた。
「凄く可愛くてさ、眼が綺麗で」
「一目惚れかよ」
ウィズリィは呆れながら言った。
「なっ・・何言ってるんだよ////」
レイルは立ち上がった。
「と、とにかく逃げるぞ」
レイルはまた走り出した。
「見つけたわよ!レイル・シルフィード!」
「ちぃっ・・・」(でも、女の声?)
レイルは顔を上げて声のする方を見た。
そこには・・・
「き、君はさっきの・・・」
さっきまで人質だった少女がレイルの前に立っていた。
「さっきはありがとう・・・レイル・シルフィード」
少女は嬉しそうに笑いながらレイルに言った。
「あ、あぁ・・・」
照れながらもレイルは言った。
「そういえば君、名前は?」
「ごめん、言ってなかったね、私はリナ」
リナは笑顔で言った。
リナは茶色の髪で眼は青く、服装はレイルと同じ軽装である。
「それより何で俺の名を?」
「あなたの名前、有名よ?」
リナはゆっくりと歩き出した。
「私も聞きたい事があるの」
「何?」
「その黒い梟」
リナはレイルの肩にとまっているウィズリィを見て言った。
「あぁ、こいつは俺の相棒のウィズリィだ」
「へぇ~可愛い」
リナはウィズリィの頭を撫でた。
「・・・この子眼つき悪いわね」
羽をつんつんする。
「止めんか」
「!!!」
リナはウィズリィから離れた。
「今、しゃべった・・・・?」
「そう、こいつは特別なのさ」
得意気にレイルは言った。
「こいつは鬼梟っていってな、この赤い眼が特徴なんだよ」
「へぇ〜」
「ちなみに俺と力を合わせる事だってできるんだぜ?」
レイルは口元に笑みを浮かべながら言った。
「合わせる事ができる・・・?」
リナは首を傾げた。
「・・・まぁ、今使わないけどよ」
レイルは辺りを見回しながら言った。
「あいつらもういないみたいだな」
歩き出すレイル。
「オレさ追われてんだよね・・・」
レイルは溜息混じりにそう言った。
「何で?」
追いながらリナは聞いた。
「家宝盗んじまったんだよ・・」
「家宝?」
「これだよ・・・」
ポケットをごそごそとあさる
そして、取り出したのは・・・
「ダイヤモンド・・・・?」
「そうだよ・・・」
嬉しそうにレイルは言った。
「オレさ・・・梟(ハンター)なんだよ」
「梟(ハンター)?」
「そう、梟は夜のハンターだって言うだろ?」
レイルはウィズリィを手に乗せ宙に浮かばせた。
「だからオレは盗みをするのさ」
「それってただの泥棒なんじゃあ・・・」
「な、なんだよ・・・」
図星のようなのか、焦り気味である。
「そ、そうかもしれないけどさ・・・」
「まぁ、いいんじゃない?レイルがそうしたかったらさ」
微笑みながらリナは言った。
「リナ・・・?」
「でも、もう少し人の役に立つ事してみたらどう?」
明るい声でレイルに言った。
「そ、そうだな」
レイルは足を止めた。
「もう、遅いから寝よ」
「うん」

二人は眠った。

翌朝・・・
騒がしい音に二人は眼を覚ました。
そこらへんから叫び声とガラスの割れる音で・・・



2004/04/19(Mon)23:22:35 公開 / 堕天使
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