『BABY IN MEN』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:吉河なさ                

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「サム、あなたにプレゼントがあるわ」
アメリカの海岸沿いのベンチに座って夕陽を眺めていた時だった。
僕、サムの彼女エミリーは僕にプレゼントがあるといってきた。
「なんだい?」
「偉大なものよ」
エミリーは僕の胸から腹部までを指でなぞる。
「ダイヤかい?」
「違うわ、ちょっとしたシュミレーション」
「それはどんなことだい?」
エミリーはバッグの中から緑の液体を取り出した。
「グリーンジュースかな」
「そう思って飲んで」
エミリーは僕の手に渡した。僕は鼻に近づける。
「青臭い匂いじゃないな・・・まあ飲んでみる」
エミリーはニヤッと笑った。
僕は飲んだ。喉をつるっと通り勢いよく流れていったのを感じた。
「グレープフルーツの味だったでしょ」
「いや、味が無かった」
またエミリーは笑い僕を立たせた。そして僕の腰をきつくおさえた。
そのとたん眠気に襲われた、そして目を閉じてしまった。

目がさめると僕は上半身が裸になっていた。
起き上がるとまわりはガラス張りで密室だった。僕は診療台の上に乗っている。
「どうだい、サム君」
右のドアから誰かがやってきた。うしろにはエミリーもいる。
「エミリーどういうことなんだい?」
僕は尋ねた。
「あなたの身体は実験に使われたの」
エミリーの言葉が頭を突っついた。
「おっと挨拶が遅れた。わたしはディーン、ドクと呼ばれている。
 君は非常に実験に適した体つきをしている」
「何をしたんだ」
「落ち着いてサム」
エミリーは僕に服を渡し、隣に座った。
「いいかい?君は私の助手エミリーの恋人だね」
「はい」
「君は痩せてもいなく太ってもいない実験に適した身体でね。
 君の身体に胎児を入れさせてもらった」
僕は自分の腹部を見てみた。腹部のいたるところに管がつながれており
すこし膨らんでいるように見えた。
「冗談じゃない、これは夢だね」
「夢だとしても、デジャヴだ。つまり君は妊娠したんだ」
「ごめんなさいサム、私サムが子供がすきだって事を知ってて自ら産んで欲しくて」
「エミリー、僕は死んでしまうんじゃないのか?」
妊娠したかよりも自分は生きていられるのかが心配だった。
「大丈夫、命の保障はするよ。産まないで中絶する方が危険だ。だから落ち着いて」
僕は何がなんだかわからなくなってただ混乱していた。
そんなとき胃のあたりからスーッと吐き気がやってきた。
僕は近くにあった洗面所にいき吐いた。口は酸っぱい味がして喉を突く痛みが襲う。
「・・・はぁはぁ・・・僕は妊娠したんだな・・・」
「やっと感じたか。君は今から男性妊娠一号になるんだ」
「わかった、産むよ。産めばいいんだろ、そうすれば死なないんだな」
タオルで口を拭き、お腹を摩ってみた。
「エミリー、君も責任をとってくれ。僕はこの格好で仕事に行くのか」
「サムあなたは偉大な人になるの。恥かしがる事は無いわ」
「はずかしいだろう、これから腹が膨らんでいくんだろうし」
僕は冷静にはなれない。
「ごめんサム・・・」
エミリーの目にほんのり涙がうつった。
「泣くな、わかったわかった。僕は頑張るから」
吐き気が襲いながらも、僕は産む決意をした。

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2004/03/01(Mon)19:21:02 公開 / 吉河なさ
■この作品の著作権は吉河なささんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
男が妊娠するということに興味がある人、そうでない人。
これは未来では可能になる可能盛大です。

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