『「人というイキモノ。」[完結]』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:シア                

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私は、街にある大きな図書館に行った。
私はこの街は先月引越したばかりで、初めてやってきた。
広い本棚、その中につまっているたくさんの本。
すると、ふと一つの気になる本を見つけた。
いたってデザインはシンプルで、黒い表紙、背表紙に裏表紙。
タイトルだけが白。
「人というイキモノ。」そんなタイトル。
すっと手にとった。どんな作者の人なのか。見てみると……十四歳の少女。
第三章というちょっと薄い本。
こんな歳でまともそうな本をかけるなんてどういう本だ……。
そんなワケで、借りてみた。
そして、今机の上、この本を開いた。


[第一章 人の表、裏。」
 人というイキモノは、心で思っている事を隠す事ができるイキモノだ。
良い意味でいうと、我慢できるだとか、場に応じたもっとも的した態度を
とる事できるだとか。悪い意味でいうと、その事もそうなのだが、自分にとって何事にも得するように動くとか、そういうものだ。まぁ、私としても誰だとしても人というイキモノは得するように動くのがもっともな態度だと思うのだが。そこで一人の女性のエピソードをあげよう。


今日からふと始まったこの一言。
「麻樹!ちょっと宿題見せてくれるー?」
亜佐美は何とぞも迷いのない顔で、麻樹が書いた宿題の答えとなるノートを
麻樹の応答もなしにバッと素早く手に取った。
そんなあっけにとられたノートをとり、宿題を写す亜佐美に不快を覚える
麻樹だった。
(それ、一番難しかったのに……。二時間もかけてやったのよ……?
 それを亜佐美はたった二分や三分で私の答えを見て終わらせる気……?
 ふざけんじゃないわよ。でも、亜佐美はクラスで一番権力を持ったヒト。
 逆らうと何されるかわかんないわ……。)
「なーに、亜佐美ぃー!やってなかったのー??もー」
と、笑顔満面に言う麻樹は亜佐美にイラツキの態度を抑えているのだった。
亜佐美は麻樹が取るだろう態度がわかっている、そして私が一番強い人。
そう思っている。反抗する事なんてできないわ。そう思っているのだ。
それからと言うもの、亜佐美は宿題を毎日毎日麻樹に借り続けた。
そんなイラツキを、抑えられない麻樹は数々の亜佐美の陰口を友達に言うのだった。
「亜佐美の奴チャクくない?まじでキライなんだけど……。」

そんなある日の事。
周囲の友達が麻樹の顔を見ていうのだった。
いつものように、宿題を借りにいく亜佐美。笑顔でいうウワベを飾った
麻樹。
「ねー。麻樹ってさ、亜佐美の事キライじゃないのー?何よ、あの顔。
 何あれ、いわゆる『ウワベ友達』って奴?最悪ー。見損なったー。」
そんな事を口々にする周囲の友達。
麻樹のウワベを飾った笑顔に、周りの人々は不快を感じるのだった。


こんなエピソードは数少なくない。
本人の裏を知る人達はその本人の表をも見る事になる。
このエピソードで言うと、キライなクセに何でそんな態度をとるの…?
とか。自分はそういう事もあるだろうが人というとそう思ってしまうのだ。
本人がする事を周りは本人の心の裏を知っている事で不快に感じてしまう。
人の心とは一番難しいと思う。
そんなヒトというイキモノについて、考えてみようと思う。


[第二章 人の感情。]
 人というイキモノは、何かを感じる事ができるイキモノだ。
楽しい事、悲しい事、いろんな事を感じ、それを伝える事ができる。
楽しい事。そんな事があったら人というイキモノは楽しいといった感情を
笑って相手に伝える事ができる。悲しい事があれば、人というイキモノは、
悲しいといった感情を伝える為に涙をながしたりする。
 そんな悲しいといった感情が、怒りに変化したらどうだろうか。
悲しい事と言ったら『なぜそんな事になったのか。』真っ先にそう感じるのではないだろうか。そのような事に似た前のエピソードの続きを教えよう。

「ねぇ、美香!……ねぇ、ねぇってば!」
美香というのは、麻樹の友達といったクラスメイトだ。
麻樹はそれからというもの、皆に無視され、一人ぼっちになっていた。
「何よ……皆……。」
周りのクラスメイトは見向きもせず、いつものように皆で遊んでいた。
亜佐美はそんなクラスメイトが何故麻樹を無視しているのかを
聞きつけ麻樹が言った陰口を聞いてしまったのだ。つまり亜佐美への陰口。
「ねぇ、鈴丘さん。」
鈴丘というのは、麻樹の名字。
「な、なによ、亜佐美?」
周囲の目線が麻樹の方を見る。
亜佐美は冷笑をうかべた表情でこう言った。
「私の陰口、言ったわけ?そりゃそうよね。陰口を言ったのなら、
 貴方だって陰口をうけるわよね。」
「………!」
亜佐美はクルッと向きを変え、友達の方へ去っていった。
「ねぇねぇ、何もそう言わなくてもよかったんじゃなぁいー?」
まるで面白かったのように美香を含めたクラスメイトが笑う。
(………裏切られた。)
私がこの前言った亜佐美への陰口を思い出しだ。
陰口をチクラれた。友達といえるべき存在なのかというヤツに。
悲しみのあまり、麻樹は廊下をかけだし、保健室へ行くのだった。
「……すみません、具合が悪いんです。」
保健室の先生は私がしているだろう顔の表情を見て、言うのだった。
「何かあったの……?」
「いいえ……。具合が悪いんです。」
(具合、心の具合がね。)
「そ、そう……。じゃあしばらくベッドの横にでもなってて……。」
私は涙ぐんだ目をキッとこらえいそいそとベッドの方へ行くのだった。
白い天井を見つめ、ひたすら思う。
(何でアイツらは亜佐美に私の事言ったの。)
涙が頬をつたう。
(悲しくなんかない、誰だってあんな事があったら私のように言うんじゃな
 いの……?亜佐美が悪いんだから…!)
「絶対復讐してやる……。」
小さく声をふるわせながら麻樹は言う。
涙をガッと腕でぬぐい白い天井を見るのだった。
心の具合が悪い麻樹は……。
   

悲しいといった感情が怒りと変化する時。
『復讐』と言ったような恐ろしい言葉を目の当たりにする。
 このエピソードの場合、前エピソードのように、麻樹が悪いのではない。
と感じるのではないだろうか。亜佐美や友達、クラスメイトが悪いんでしょ?と感じるのではないだろうか?
そこで今回のキーワードともいえる、陰口というものを私の個人的に説明しよう。
陰口、というものは人の悪口。
つまり、悪い事。嫌な気持ちにならないだろうか。
陰口。共感できる場合、良い気持ちとはいたらないが、そんな感情をもつ。
あ、やっぱりそう思ってるんだね。といった悪い安心感とともに。
もう一つ、共感できない場合。
エピソードでいくと、麻樹はこう言った。
「亜佐美の奴チャクくない?まじで嫌いなんだけど……。」
共感してしまうと、友達達はリーダー的存在亜佐美に逆らう事になってしまう。自分が何かされるのではないか、という恐怖心。ゆえに、嫌な感情を
もってしまうのだ……。そして、陰口は人を不快にさせ……。
陰口といった悪い事は必ずふりかかる。それがどうしようもない時でも。
 人の感情とは時には優しく、時には恐ろしく……そんな人というイキモノ。


[第三章 人というイキモノ。]
 人、というイキモノについて主に『心』についてそれぞれ考えてきた。
怒ったり泣いたり楽しんだりそんなのが感情。
どうしたらこうなるとかそういうのを思考。
そんな人。
あなたはどう考えているだろうか?
まあ、考える……としても、人というイキモノといったら自分だ。
人生の多くを使って、自分について考えてみたらどうだろうか……?
きっと新たな自分がわかるハズだ。
良い所、悪い所をどんどん見直していけばいい。
他人もそうだ、人というイキモノなのだから……。
自分が嫌な事、そりゃあ他人だって嫌だ、そんな人というイキモノ。
耳が聞こえにくいとか、足を片方なくしたって、同じ人というイキモノ。
何が違う?自分と同じ感情、思考を持っていない?
障害者、いいえ、同じ人というイキモノに差別をしていないだろうか。
嫌な事をしていないだろうか……。
同じ人というイキモノだろう……?そこら辺も考える必要があるのではないだろうか。障害者とはかぎらない、同じ人というイキモノ達だ。
 人というイキモノは、束になるとそれはものすごい強さとなる。
その強さを間違ったモノに使ってはいけない。
大きいものに例えると……戦争……が一番近いだろう。
そんな間違ったコトをしていた人というイキモノは戦争が終わった後
どう考えただろうか?ここ、日本はどう行動したのだろうか?
そう、日本、人というイキモノはこう語った。
『二度と戦争をしない。』
人というイキモノについてよく考えた上この上ない事ではないだろうか。
日本とはかぎらない、他の国も必ず平和な世界を願っているハズだ。
そう、人というイキモノが住む平和な世界に−……。

PS.
 このエピソードの中身を説明したがこの後はどうなったのか……?
それは教える事はできない。
何故なら貴方は人というイキモノ。感情、思考、その他のたくさんを
考える事ができる生物だ。
それは他人という考えと全く一緒にはならないだろう。
何故なら、人というイキモノはたくさんいるのだから……。
                           END


私はパタンと本を閉じた。
人というイキモノ。私、友達、両親、御先祖様、先輩、先生………。
限り無い人というイキモノ。
これからも生き続けるであろう……。
そんな生き続ける中たくさんの人というイキモノに関わっていく。
そんな中で自然と人というイキモノは人について考えてみるのだ。
この十四歳の少女も今人というイキモノについてよく考える時期だろう。
でも彼女はもう他の大人達よりはるかに人というイキモノについてわかっている……。そんな事は考えない。人というイキモノをそう決めつけてはいけないのさ。
何故なら?何故なら、たくさんの感情、思考……心というモノを人というイキモノはもっている、人というイキモノはたくさんいるから……。



2004/03/09(Tue)20:02:42 公開 / シア
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