『曲芸士 V』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:you                

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鋼も、静かに電話を切った。鋼はエレナの方を見て、叫ぶように言った。
「かっ母さん。俺っていつか旅に出ることになってたんだな?」
「そうよ。14歳になったら私たち、そして瑠璃葉ちゃんの方は旅に出るのよ。よかった。私、安心できて出迎えできるもの」
作家・曲芸・美術。そんなにできるの?と、写真にエレナは鋼が2階にいるまでずっと言い続けていたらしい。鋼は準備のためにまた2階へ上がった。

ここは、幻影都市・エディフィス。瑠璃葉と鋼が住んでいる大きな街。
瑠璃葉はある日記帳を手にした。それは、オリアンの父が書き残したもの。
瑠璃葉の我が家はドワーフ、曲芸士たちがいる。瑠璃葉は毎日、
オリアンの手伝いをしていた。そして曲芸の修行をアリアから受けている。
(私、踊り子を目指して旅に出るんだ・・・)
小さい頃から曲芸士に憧れていていた。いつか、鋼と結婚して、曲芸一座でも作ろうかな。きっと楽しいだろうなぁ。
あ、でも鋼は作家になるんだっけ。瑠璃葉は悩む。
「いいんじゃないか?鋼は曲芸の小説を書きたいって言ってたからさ」
父のスペルが言う。まだスペルは笑っている。そういう気がした。
「お父さん。グラディス地方って、時間が早いんだよね」
「あぁ。それがどうかしたかい?」
瑠璃葉はオリアンが木で作った時計を指差した。
「で。もう昼に近いよ。私が2階にいたのは約23時間ぐらい」
「そうだな。でも昼はもう少ししてからするから鋼君の家に遊びに行きなさい。いい話が出来そうだよ」
瑠璃葉はうなずいた。そして、2階から日記帳を持ってきて家を出た。
「オリアンのお父さんは、瑠璃葉に日記を残してくれました。ありがとう」

鋼と瑠璃葉の家は300メートル離れている。鋼はもう家の玄関で待っていた。瑠璃葉は手を振りながら、こっちへ向かってくる。
「ん?何だ。その日記帳は?」
「これね。お母さんのお父さん。つまりおじいちゃんからもらったの」
「そーか。ちょっと1ページ見せてくれないか」
瑠璃葉と鋼はある1ページの日記を見た。

ーオリアン。私はお前をドワーフとして、人として育ててきた。
私の孫である瑠璃葉は元気だろう。14ものとしになったら旅に出るよな。
すごいぞ。瑠璃葉!で、私からこの日記帳をプレゼントしてやる!
 ー私の変わりにたくさんの日記を刻んでくれよ!ー

瑠璃葉は涙を流していた。私のおじいちゃんは、私を応援してくれてるんだね。ありがとう。おじいちゃんの願いを絶対かなえてあげる。
鋼も心にキュンときた。瑠璃葉のじーちゃん。優しいなぁ・・・。

そしてしばらく鋼と瑠璃葉は話をした。今日の夜には、出発する・・・・。
親としばらく離れても、2人は泣かないって決意をした。
昼にまわった。スペルが、鋼の分まで昼ごはんを持ってきてくれた。
「いいえ。別にいいのに・・・・・・」
「ついでですから。エレナさんも楽になるでしょう」
「ありがとうございます」
スペルはエレナに昼食を渡して家に帰っていった。瑠璃葉と鋼は台所で
昼食をとった。祖父の日記帳を昼ごはんのときも大事に持っていた。
エレナは瑠璃葉を見つめている。
この子、鋼を導くことが出来る・・。きっと・・・。
それから夕晩まで鋼の家に過ごした。夕暮れの空を2階から見ると、
羽ばたくようにきれいだった。そして、瑠璃葉は自分の家に帰った。
「おじいちゃん。私、絶対夢を叶えるからね!」
夕暮れの空を見ながら瑠璃葉はおじいちゃんに向かって言った。



夜になる。瑠璃葉はすごい緊張していた。少し、家族と離れるのが寂しいが、勇気を出してリュックを背負う。
「お父さん、お母さん、おばあちゃん・・・・!私、必ず帰ってくるっ」
「おぉ!瑠璃葉!家族たちに希望と期待を持たせてくれよ!」
「うん。お母さん、ありがとう」
コンコンとドアの音がする。鋼が迎えに来たんだ。
「鋼。私、おじいちゃんの為にも頑張る」
「あぁ。俺も父さんのために頑張る!」
エレナも来ていた。
「瑠璃葉。鋼を頼むねッ!」
「母さん。恥ずかしいじゃねーか」
「ゴメンよ。でも、瑠璃葉は頼りになるのよ」
鋼と瑠璃葉は玄関の前まで来て家族たちに挨拶をした。
「いってきます」
「気をつけろよーーー!!」

鋼と瑠璃葉は手をつないで幻影都市・エディフィスの道を通った。
                       

2004/02/01(Sun)18:29:02 公開 / you
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■作者からのメッセージ
第3話です。
管理人さん、すみませんでした。
以後気をつけます。

そして、読んでいただいた皆様、
ありがとうございます!

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