『彼方へ』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:湶乃海豚                

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こんな景色もあるんだな。

悪魔は牢屋に入れられながらも、やけに澄んだ蒼い空を見上げていた。

悪魔が悪い事をして、何が悪いだろうか?

人間たちを観察して、奴等はこの地球上で最も腐った生物だ。

破壊精神しかない生物だ。

ここが、本当に自分のいるべき場所なのかもしれない

彼が特にそう思うのは、太陽のわずかな光も消えていく夕方の頃。

夜は、比較的好きな時間だった

闇で覆いつくされるこの牢屋は、なんだかもう一人の自分がそこにいるかのように思えた。

でも、別段明るいのが苦手、というわけでもなかった。

空が曇っているその日の夜には、もう一人の自分は現れないのだ。

まるで、縁側で偉そうにして丸まっている猫のよう。

体は動かせないから、悪魔は首だけを持ち上げて、ボーッとする目をこじ開けて

天井の分厚いガラスがはめ込まれている窓の外を、日向ぼっこでもするかの

ように、陽を浴びるようにして見ていた。

空を飛ぶ鳥を、うらやましいと思ったことは一度もなかった。

自由には、孤独という強いマイナスの力がつきまとう。

そして、その重圧に耐えられなくなった人間を、

彼はたくさん見てきていたからだった。

腐ったりんごの中に、蜜はもうない。

簡単に傷はつけることなら出来る心は、治りはしないかのように

それにしても、俺が綺麗だ、なんて思ったのはこれが初めてじゃないか?

その相手が、まさか人間が汚しているあの空だとは。

黒の中には、白いものも混じっている。

ただ、黒が今強すぎるから

出てこれないだけなんだ。

先入観を捨てろ、アホな人間ども。

そうじゃなきゃ

俺は一生この中で暮らす羽目になるじゃないか。

腐った心は

永遠に解放されないじゃないか。

2004/01/20(Tue)20:02:32 公開 / 湶乃海豚
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■作者からのメッセージ
ああ、いい感じ(爆)。言いたい事を、ここでやっとぶちまけられたって感じがします。

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