『−B−第一章』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:最低記録!                

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第一章 「Bの存在」

朝日が、顔に差し込んだような気がした。
その微妙な眩しさに、俺は目を覚ました。
眼を開けると、少し固めのソファーに毛布をかけられていた。
「・・・ん、俺は・・・」
起き上がって、周りを見てみると地下室のようだった。
打ちっぱなしのコンクリートに包まれている部屋だった。
別に朝日が射している訳ではなかった。ただ、気付くと真上にある蛍光灯が異様に眩しく光っていた。
「俺は・・・なんでこんな所に居るんだ?」
しばらくして、ふと思い出した。
「そ、そうだ!あの、不思議な光景を見て!・・・捕まって・・・それで・・・・・・」
絶望とも言えるのだろうか、自分でも重苦しい複雑な思いに縛られた。
「・・・なんで、こんな事にならなくちゃいけないんだ・・・・・・」
頭に家族の事が浮かんだ。
俺の家は、俺・親父・母さん・兄貴・妹の5人家族で普通の平凡な家庭だった。
親父は、サラリーマンで、母さんはパート。
どちらかと言えば、教育熱心な家庭で子供は皆、高い金を払って塾に行かされた。
兄貴と、妹は頭が良くて、勉強好きだったが、俺は決して勉強を好きになれなかった。頭はそれほど悪くなかったが(自分で言うのも難だが)、そんな生活が嫌いだった。
昨日の晩も塾の帰りだった。
塾先(塾の先生 略)に反抗して、補習をしていたのだ。
そして、いつのまにか雨が降り、どしゃ降りになって・・・そして・・・・・・
涙が零れていた。
家族に会いたい、友達に会いたい。本来なら、今日も今頃学校で、友達と楽しく喋っていたはずだ。なのに・・・
俺は、こうなる運命だったのか?なんでこんなめに遭わなくてはいけないんだ?
「目が覚めたか?」
後から男の声がした。
振り向くと、そこに居たのは昨日の刃物の方の男だった。
「おいおい、そんな怯えためで俺を見ないでくれ」
確かに、俺は少し怯えていた。その・・・何と言うか・・・奴の風貌にというか・・・・・・
「眠れたか?」
何を話す気にもなれなかった。
「おい、何か話してくれないか?」
いい加減にしてくれ。あんたが、居なければ俺はこんなめに遭わなかったんだ。
「・・・そうか。そうだよな。俺のせいだから・・・だよな。」
男はうつむいて、悲しげな眼をすると再び言い放った。
「悪かったな。変な事に巻き込んで・・・。だがな、どうしようもない。・・・まぁ、もうしばらく休んでいてくれ。いずれ、お前にも色々と話してもらわなくてならない。」
男は、本当にすまないと思っているようだった。
しかし、俺には昨日の夜の事がしっかりと眼にやきついていた。
それを、繰り返し繰り返し、頭に流される。
「とりあえず、名前だけでも教えてくれないか?」
あまり、言いたくなかった。口を動かしたくなかった。
しかし、この男なら何か助けてくれるかもしれない。
もしかしたら、交渉する事で俺を元の場所に返してくれるかもしれない。
何者なのか?どんな奴なのか?それはわからない。
けど、この男は俺に情をかけてくれている気がした。
「香田・・・健二・・・・・・」
そういうと、少しビックリしたような顔をしたが、すぐに笑顔に戻って
「ありがとう」
と言った。
すると、男は奥の部屋へ歩いていった。
階段を上る音がしたので上へ行ったのだろう。
男が行ったのがわかると急に、体に疲れが出たような気がした。
そして、再び横になった。

どれくらい時間が経っただろう。
おそらく、2時間も経っていない。
横になっていた所に、男が来てついて来いと言ったので、上の階に行った。
少し、希望があった。やはり、交渉する事での釈放が望みだった。
それが、たった一つの希望だった。
それを胸に、男についていく。
上の階に上ると、奥のほうに電子機器がいっぱい並べてある所に向って歩いた。そこに、素手で戦っていた男が居た。
「本部に連絡は取った。あとは、どうなるか・・・本部に行かないとわからん。」
と、素手が言った。
「わかった。・・・悪いな、迷惑かけて。」
そう、刃物(この呼び方ではおかしいが名前がわからないので)が言うと、
少し顔をうつむいて素手が言った。
「お前の気持ちがわからんでもないさ。」
と言い、ソファーに座った。
「じゃあ・・・香田君そこに座ってくれ。」
刃物がそういうと、俺は何も言わずに小さな丸イス座った。
座ったのを確認して、刃物も素手の隣に座った。
そして、まず刃物が言った。
「彼の名前は香田 健二だ。」
そういうと、素手がほぅと言った。
すると、もう一度刃物が言った。
「じゃあ、これから質問する事に答えるんだ。
 まず、歳は?」
「14」
「住所は?・・・あぁ、詳しく無くていい。」
「葛館区白羽・・・」
このような、個人的な質問をいくつもされていった。
そして、質問に協力ありがとう。と、言うと、本題に入ると言って、真剣な眼差しで更に続けた。
「本名は名乗れないので、コードネームで言う。
 私はカリウスだ。」
「俺は、イオという。」
そう素手も名乗った。
「君が信じる信じないは勝手だが、説明をさせてもらう。
 まずだなぁ、この世界には2つのタイプの人間が居るんだ。」
何を突然言い出すかと思ったら、2つのタイプだそうだ。
男と女か?それとも、強い、弱いか?
「AかBかだ。」
!!?
A? B?
「誰がどう創ったのかは、わからん。
 しかし、確かにここに実在する。
 君たちのような、人間をA。そして、我々のような人間をBと言う。」
なんだ?なんだ?なんなんだ?
どういう意味だ!?
「何がどう違うのかは、我々にもよくわからない。しかし、Bは確実にAとは違う。君も見たね?昨日の晩。我々の動く早さ、攻撃力、そして、エネルギーを。」
そういえば、確かに素早かった。
それに、あの技を、閃光を確かに見た。
「いいかい?
 Bは、Aと違って、ザイバルというエネルギーを体に秘めているんだ!」
「ザイバル?」
俺はふと声を出してしまった。
そのカリウスの声の力のこもり具合の強さゆえに。


2003/11/09(Sun)23:00:22 公開 / 最低記録!
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序章からの続編です。
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