『黒の大陸 V章 「言葉の真意」』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:Rue                

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シオンと梨絵がいなくなってから3日。
まだ、2人の悲報は届いていない。
光慈達は今まで通り、
慌しい日々を過ごしていた。

「第2班、神谷 光慈。ただいま戻りました。」
「報告を頼む。」
「はっ、第5ブロック、及び第7ブロック付近にて、
 狂暴化した犬、5体を駆除しました。」
「またか・・・。いや、ご苦労。行っていいぞ。」
「はっ。」

日に日に状況は悪化している。
『SATAN』に感染する動物は後を絶たない。
兵士たちの精神力も限界に近い。

「シオン、梨絵・・・。2人とも無事か?」

光慈はそうつぶやいた。

「大丈夫やって、あいつらやったら。」

光慈は後ろを振り返った。
仁だ。

「よっ、久々。」
「・・・昨日会っただろ?」
「そんな冷たいこと言うなや・・・。
 折角、俺が明るい雰囲気をつくりだそうとしてんのに。」
「よくこんな状況で明るくできるな。」
「それはちゃうで。こんな時やからこそ明るくするんや。」

光慈は思わず笑った。

「・・・そうだな。」

2人は休憩室に入った。
聖香もいる。
3人は長椅子に腰を下ろした。
さっき、仁は明るくしろと言ったが、
状況が状況だけにそうもいかない。
3人の話題は自然と『SATAN』のことになった。

「最近の感染状況はどうなん?」
「もう異常よ。先月の3倍くらいに膨らんでるわ。」
「動物達もエサがなくなって、
 抵抗力が低下してきているからな・・・。」
「でも、不幸中の幸いでヒトの感染者はまだ出てないわ。」
「そうは言っても安心できないんだろう?
 発表によるとヒトにも感染する可能性はあるらしいし・・・。」

3人は黙ってしまった。
しかし、すぐに仁が口を開く。

「あ〜・・・、もうこの話やめへん?
 嫌なこと口にすると本当になる言うし。」
「・・・そうだな、もうすぐ休憩時間も終わりだ。」

3人はそれぞれの持ち場に戻っていった。

「嫌なことを口にすると本当になる、か・・・。」

光慈は何故かこの言葉が気になっていた。

「何もなければいいが・・・。」


その夜、神戸防衛本部に警報が鳴り響く。

『緊急指令!緊急指令!
 第6居住区に狂暴化した生物が侵入した模様!
 手の空いているものは援護に向かってくれ!』

2003/11/06(Thu)23:27:25 公開 / Rue
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だんだん自分でもなに書いてるのか解らなくなってきました・・・(笑)。でも、なんとか最後まで書ききりたいと思います。

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