『ファンタジー・サークル VOL.7』 ... ジャンル:未分類 未分類
作者:青井 空加羅                

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 空に浮かぶその大魔王のしもべは背中から漆黒の二枚の翼を生やし、全身を黒い服で統一しているためか、白い肌がくっきりと際立っていた。

「・・・政子さん。あれ誰なんですか・・・?」

事態を予測していたのか政子は美久ほど取り乱してはいなかった。

「あれは、オクト・パースラの直属の部下、大魔女「テレサ」よ」

しかし、テレサを調べた政子は愕然とした。
美久もつられて調べる。

「れっLv50・・・!?」

美久の声は震えていた。

「美久さん!仲間が来ないうちに倒すわよ。HPが半分になったら私が回復するから心配しないで、準備は言い?」

美久は頷くとテレサ目がけて走り出した。
体中が軽くなり、美久は現実とはかけ離れたスピードで走っていた。

「・・・プロテクト!(効果:ダメージ軽減)」

美久の体が一瞬青い光を放つ。
政子のその呪文が戦闘開始の合図となった。
美久はテレサの真下まで来ると、そのまま5・6メートル飛び上がり、頭上から蹴りを入れようとした。
間一髪、かすかに掠めるがテレサは身を翻し、これをかわした。

『くっ!』

テレサから呻き声がもれる。

「美久さん、すごい!」

政子が歓喜の声を上げた。

「うーん。ゲーム好きだったかいあったかな・・・。Lv50だし」

美久はテレサから目を離さずに答えた。
こんな状況でなければ、確かに魅力的なゲームだと思った。
しかし彼女は思った。

どんなに人間の娯楽が進歩しようとも、意思あるものをこんなところで利用するために作ってはいけないと。

「次、生まれ変わるときはちゃんとした人間になりなよ」

そう言うと美久は再びテレサに駆け出した。
テレサは片手を前に出すと呪文を唱えた。

『ワープ』

その瞬間、テレサの姿が消えた。
すぐ背後にテレサの気配を感じる。
美久が振り返るのと、後ろに回ったテレサが獲物の大鎌を振り下ろすのはほぼ同時だった。
美久は大鎌を横に避けてかわし、続いて向かってきたキックを片手で受け止めた。

HP4500。

そのままテレサの足を固定すると、美久のこぶしはまともにテレサの腹に命中した。

『がはっ』

テレサはそのまま地面に落下する。
その時、美久のグラスに何か文字が浮かんでいるのに気づいた。

必殺技:ストーム・レーダー

美久は躊躇せず必殺技を選択した。
美久の体の周りに風が沸き起こる。
風を操るのはかなり困難だったが、吹きすさぶ強風を美久は両手でゆっくりとテレサに近づける。

左右から風で挟まれたテレサは逃げ場をなくす。
上には美久がいる。

「ストーム・レーダー」

テレサの頭上だけ落雷が起こる。

『ワープ』

ドガガガガッ。

落雷と風で近隣の家が吹っ飛ぶ。

「外されたわ」

政子が冷静に言った。

「どこっ!?」

美久が叫ぶ。

『お前の後ろだ』

言うのと同時にテレサの手刀が美久の背中を直撃した。
思わず地面にたたきつけられる。

HP3000。

「あっあだだだだ・・・。いったーい。ゴホッゴホッ」

土煙の中から美久が出てくる。

『ファイア・ボール』

間髪いれずにはなった炎の玉は有無も言わさず美久に命中した。

HP2000。

「美久さん!大丈夫?」

美久はよろよろしながら

「いっ痛いし・・・ものすごく熱かったです・・・。やけどしてないのが不思議なくらい」

政子は回復呪文を唱えた。

「リカバリー・ウィンド(HP2500回復)」

美久の身体を光る白い風がやさしく包む。

HP4500。

気持ちいい風だと美久は思った。
テレサが政子を睨みつける。

『お前・・・白魔導士か・・・』

テレサは政子に向き直る。

「政子さん!狙われてる!」

美久が叫び、早くとどめをさそうとテレサに飛び掛る。

『エレクトリック・ショック』

テレサがそう唱えた瞬間、美久の体から自由が奪われた。

「うっ動けない〜〜〜」

テレサは美久をちらりとみて、

『すぐ解ける。お前を倒すには不十分な時間だけれども、邪魔者を先に片付けるには十分な時間だよ』

そういうとテレサは不敵に笑った。
整えられた作られた顔が美しくほころばす。

「くっ」

政子が身構える。

「美久さんが回復するまで持たせるしかないか・・・」
『持つわけないでしょ』

テレサが言い放った。

確かにそうかもしれない、と政子は思った。

『ファイア・ボール』

テレサの手から炎の玉が政子に向かって放たれる。
政子のスピードでは避けきれない。
政子の肩を炎が掠めた。

HP2000。

「ぐっ」

政子は肩を抑えながら、ふと後ろに振り返りおもむろにこぶしを繰り出す。

『ぐっ!!』

一瞬で後ろに回ったはずのテレサは顔を抑えながら後退する。

『キサマッ・・・』

政子は小ばかにした視線を向けると

「馬鹿の一つ覚えみたいに後ろに回るしか脳がないのかしら?」
「政子さん!まだ解けない!」

政子はため息をついた。
まだ奥の手がある。
政子はあくまで冷静だった。




2003/10/05(Sun)01:04:56 公開 / 青井 空加羅
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