この羽付精肉店三十二号店と羽付精肉店三十四号店の間にある路地の入口には、超速攻浸透性舗装完備商店街と書かれた看板が掲げられている。だけど名前とは正反対で、地面はいつもぬかるんでいる。ついさっきまで土砂降りであったかのようにグチャグチャだ。この路地に入るのなら路地に入ってすぐの所にある目村靴店で長靴を買うことをお勧めする。買うのなら五円五十銭とトビトカゲの尻尾三本の値段のゴム長靴が手頃だろう。一番安い二円十銭とメキシコドクトカゲの尻尾四本のゴム長靴を買ったことがあるけどすぐに水が染みてきて酷い目に遭った。安物買いの銭失いとはまさにこのこと。それ以来、五円五十銭とトビトカゲの尻尾三本の代金を支払ってMade in Jaqamと書かれたゴム長靴を買うことにしている。この長靴は履き心地もいいし水が染みこんでくることもない。ただ三日もすると蒸発して消えてしまうのが玉に瑕。まあ世の中には完璧なものなどないのだからしょうがない。 超速攻浸透性舗装完備商店街にはいくつもの露店が何層にも積み重なって店を構えている。この商店街で売っているものはすべて贋物なので気をつけて欲しい。露店に並ぶ人間の干し首や死刑囚の左手のミイラなどもすべて贋物。それをわかって買うのなら止めはしないが、干し首のつもりで買ったら、ひと晩じゅう呪詛を呻き続ける生首など言うこともあるので素人は手を出さない方が賢明だ。